もくじ
【概要】
- 著者:松永 茂久
- 発売日:2021年12月22日
- ページ数:240ページ
本の目次
- 第1章 なぜ「聞く人」はうまくいくのか?
- 第2章 人に好かれる人の聞き方
- 第3章 嫌われない聞き方
- 第4章 「また会いたい」と思われる人の聞き方
【結論(1番の訴求ポイント)】
人は感情が満たされると満足する
世の中には聞く事が上手い人がいる。中にはそれを商売(サービス)にしている人もいるくらいだ。そして、そんな人達は大抵人気者だ。これはそ話を聞く事に対して大きな需要があるという事でもある。では人はなぜ話しを聞いてもらいたいのだろうか。
人には自分の事を話したい、知って欲しいという感情がある。普段生活していると誰しもいくつもの仮面を被って生きている。職場での仮面、家庭での仮面、親としての仮面などだ。中には他人に見せるのが躊躇するような仮面もあるかもしれない。
この時に人には相反する2つの感情が出てくる。話したい(知って欲しい)という感情と、話す事で嫌われるのではないかという感情だ。この2つには共通点が無さそうに見えるが、実はこの裏には自分を肯定してもらいたいという感情が隠れている。満足感はこの感情が満たされた時に得られるモノである。この満足感、つまり自分を肯定してくれたという感情(安心感)を得るために、人は話しを聞いてくれる人を必要とするのである。これを理解していないと、話しを聞いても逆効果になってしまう事さえある。
あなたは人の話を聞けているだろうか?
【ポイント】
多くの人は話を聞けていない
あなたは人(パートナー)の話を聞けているだろうか?こう聞かれてNoと答える人は少ないと思う。しかし、実際にパートナーに「相手は話しをよく聞いてくれるか?」と聞いてみると、半数程度はNoと回答する現実がある。
この事から聞くというのは、相手が発する言葉を耳に入れるだけではダメという事が分かる。では何が必要なのか?
思い出してみて欲しい。パートナーと最初に出会った頃は、もっと真剣に相手の話を聞いていなかったか?相手をよく観察し、一挙手一投足から情報を得ようとしてなかったか?どんな事でも相手を肯定し認めてなかっただろうか?そして、その頃と今は同じだろうか?
著者は本書で、人は基本的に話したい生き物である。そして人は自分に一番興味がある。認めて欲しい、分かって欲しいという願望がある。そして自分の事を分かってくれる人の事を好きになる、と書いている。つまり話しを聞くだけで相手は自分の事を好きになってくれるのだ。
そして、全ての人が最初に求めるのは「安心感」だとも言っている。この安心感を与えられるかどうかが話しを聞くスタートラインだと言っても過言ではないだろう。そして、安心感は感情の共感があって初めて生まれる。もう一度思い出してみて欲しい。パートナーと最初に出会った頃は、安心感を与えられるように全力を尽くしてなかったか?
そしてそれは今も同じだろうか?
聞いて欲しいのは言葉ではなく感情
「今日、〇〇な事があってね、××だと思ったの。でも実際は△だったらしいのよ。ありえなくない?」
「あー、そうだね。」
「ちょっと!話し聞いてるの?」
どこの家庭でもありそうな一幕である。この場合、男性側は言葉は聞いている。頭の中で相手が話した内容も理解している。自分もそう思った。だから、「そうだね」と同調した。でも相手からは「聞いてるの?」と返ってきた。なにがダメだったのだろうか?一方でこちらはどうだろうか?
「今日、〇〇な事があってね、××だと思ったの。でも実際は△だったらしいのよ。ありえなくない?」
「えっ?マジで?ありえないねー、それでどうなったの?」
「それがさー、・・・」
どうだろうか?さっきよりは大分マシな会話ではないだろうか?この違いは何だろう?
それは、聞き手も感情を表現している事だ。これを「感情の共感」と言っている。自分は感情を出している。なので相手にも同じ事を求めているという理屈だ。この感情の共感があって初めて話しを聞いてもらえたと思ってくれるのである。言葉ではないのである。
では感情を共感するためには何をしたらいいか?それは聞くにあたって基本的な事をすればいい。うなずく、聞く姿勢、相手を見る、笑いなどだ。簡単に言うと、相手に興味を持つという事でもある。生返事ではダメという事だ。これが自分と相手の聞き方についてのギャップが生じる大きな原因の1つでもある。
感情の共感について、もう1つ別の例を出してみる。
多くの人は悩みを打ち明ける時に、自分の中で9割は答えが出ていると言われている。実は、悩みを話す時には、その内容の可否よりも自分の決断の背中を押して欲しいという意味が込められているのだ。つまり、ここでも感情の共感が必要になる。どんな経緯でその悩み(決断)に至ったのかのプロセスを質問し聞く事で、相手の感情を満足させるのが正解なのである。
話しを聞くにあたって、やってはダメなこと
逆にやってしまってはダメな事もある。それは、相手の話の内容をジャッジしてしまう事だ。上記の例では、相手は自分の背中を押して欲しくて話している。そこには内容の可否は(ほとんど)含まれていない。ここを間違えると相手からは嫌われる。2度と話してはくれなくなる。
この内容ジャッジは、特に男性はよくやりがちなので注意されたい。
聞いてもらえたかを判断するのは、あくまで相手
ここで重要な事が1つある。それは、話しを聞いてもらえたかどうかを判断するのは相手だという事だ。自分ではないのである。いくら自分では話しを聞いていると思っていても、相手がそう思っていなければダメなのである。話しを聞くのが上手い人は、総じてリアクション上手と言われている。自分のリアクションが相手のテンションを決めるのだ。それは上で話した、うなずき、聞く姿勢、相手を見る、笑い、本当に?などの感情を表す合いの手などである。
ついつい話してしまう相手の事を思い返してみて欲しい。良いタイミングでうなずきなどのリアクションがなかっただろうか?良いリアクションは相手を安心させる1つの方法なのだ。
人は誰しも不安を抱えている。その不安が大きくなり孤独になると正常な判断ができなくなってくる。だから安心感を求める。話しを聞いてくれる人を好きになる。
まずは相手の不安を無くす事だ。不安を無くす事が安心感に繋がるのである。他人とのコミュニケーションに悩んでいる人は、まずは聞く事から始めよう。
【個人的補足とまとめ】
感情を理解する
最後に話しを聞くにあたって、注意すべき事をまとめる。
- 相手を否定しない、認める、自分語りをしない
- 魔法の傾聴「表情、うなずき、姿勢、笑い、感情」
中には相手の話す内容がどうしても間違っている場合もあるだろう。このまま放置すると大事になるパターンだ。この場合は修正を入れる必要があるが、その場合は「自分は~だと思う」という表現を使ってみよう。こうする事で相手を否定している感が薄まる。自分の意見を言っているだけだからだ。さらに理由もつけると尚良い。
本書では他にもケーススタディや聞き方についてもっと詳細に記載されている。
「話しきいてる?」
ここ最近で、上記の言葉を言われた事がある人や、好かれている感じがなくなってきた人は一読してみるのを進める。