未来の働き方を考えよう

【概要】

  • 著者:ちきりん
  • 発売日:2013年6月15日
  • ページ数:223ページ

本の目次

序 働き方ブームが示すモノ
1 現状維持の先にある未来
2 世界を変える3つの革命的変化
3 新しい働き方を模索する若者たち
4 ふたつの人生を生きる
5 求められる発想の転換
終 オリジナル人生を設計するために

【結論(1番の訴求ポイント)】

働き方や労働内容は自分次第で変えられる

今までに人は3つの社会構造革命を経験してきた。農業革命、産業革命、情報革命の3つだ。

農業革命は狩猟社会から農業社会への移行、産業革命は農業社会から工業社会への移行、情報革命は工業社会から情報社会への移行である。そしてその都度、無くなる職業、新しく生まれる職業が出てきた。そしてその変化に対応してきた人だけが生き残ってきた。

今後も定期的に社会構造革命は起きるだろう。ただ厄介なのが、これらはある日突然来るのではなく、ゆっくりと移行している事だ。なので意識していないと気がつかない。気がついた時には大きな変化が起きた後で、取り残されてしまっている事も多い。

過去の成功体験は役に立たなくなってきている今、本書ではこの変化に対して流されるのではなく、どのような働き方をしたいのかを自分の頭で考えてみる事を推奨している。社会構造革命によって格段に働く自由度は増えてきている。今までに無い職業や働き方をする事も可能になった。それを生かすのも自分次第という事だ。

【ポイント】

時代は常に変化している

時代はゆっくりと確実に変化している。そして後になって振り返ってみると大きく変わっていたというケースが多い。

約20年前はスマホなんて無かった。インターネットも今ほど普及していなかった。SNSも無かった。初代iphoneの発売は2007年だし、youtubeが出来たのも2005年、インスタも2010年だ。2024年現在ではこれらが無いのは考えられないが、これらの事は20年前からゆっくりと確実に変化してきた。そして10年後のスタンダードなものにはChat GPTのようなAIがあるのかもしれない。

その時にどんな人が必要とされるだろうか?それは今のうちから色々な機能を使って遊んでいる人達である。知らない、分からないから触らないのではなく、知らない、分からないから試してみるのだ。この差が後々に大きくなる。好奇心が重要なのだ。

強烈な成功体験の弊害

日本は高度経済成長とバブルの大きな好景気を経て経済大国になった。これは色んな要素が絡んだ結果だし、人口増加によるものも大きい。戦後、焼け野原から世界有数の経済大国になった成功体験が強烈な経験となっている。しかし強烈な成功体験は時として弊害になる事もある。強烈すぎて抜け出せないのだ。

これが失われた30年の原因の1つでもある。

しかし時代は変わる。これは個人では止める事は出来ない。社会全体の変化だからだ。それに伴って当然働き方も違ってくる。ひと昔前までは必要とされていた職業が無くなる可能性だってある。あなたはその変化についていけているだろうか?

少子高齢化問題

少子高齢化は大きな問題だ。人口動態が変化する事で、単純に働き手の減少している。

総務省のデータによると、年間出生率はピークは第一次ベビーブームの時には270万人いたが、2023年では80万人を切るまでになっている。およそ1/3だ。労働生産人口で見ても、1990年には15~64歳が8,600万人いたのに対して、2020年には7,500万人にまで減っている。これだけでも単純に働き手が少なくなるのが分かる。

それに加えて情報革命も起きている。これらが何を意味しているかというと、過去の成功体験が現代では通用しなくなっているという事だ。当時とは条件や環境要因が違いすぎるのである。

人口が増えていた時代はマス層に向けて発信していれば良かった。何よりも認知を取る事が最重要だったからだ。しかし今やマス層が減ってきているのと、新しい技術がどんどん出てきている。大手と中小では戦い方が違ってきている。つまり過去と同じようなマーケティング手法では同じような売り上げを出せなくなっているのである。

国内内需の減少

また人口減少はもう1つの問題も含んでいる。それは国内需要の減少という事だ。

人口が増えていた時は国内マーケットも増加していた。しかし今は少子高齢化の時代だ。人口が減る事はほぼ確定路線になっている。人口減少する事で国内需要だけでは食べていけない業種も出てくるだろう。

ではどうするか?海外に目を向けるとインドや東南アジアでは人口が増えている国が多くある。その国の人と仕事をする機会も増えてくるだろうし、当然、働き方も変わってくるだろう。このように今までの働き方が継続出来る保証はどこにも無いのである。

本書ではインドに赴任する可能性や、外国人のパートナーによる宗教的な事柄についても想定されるケースとして紹介されている。10年前までならイメージが湧かなかったが、今はそれもありえるかもしれないと思えてしまうのである。

働き方の自由度は格段にあがった

一方でマイナス面ばかりではない。インターネットやパソコンが高スペック化した事により働き方も変わりつつある。

リモートワークも選択肢の1つとして確立され、出社しなくても仕事が出来るようになった。これにより8~9時間拘束される事なく働ける時間の融通が利くようになったりもした。今後は午前中と夜だけ働くという事も可能になるかもしれない。

つまり今までよりも自由度は格段に上がっており、個々で違った働き方が可能な時代になってきているのである。その中でどんな働き方をするのか、どんな働き方をしたいのかを考える時期に来ているのではとも思う。

本書では、1日のミクロではなく働く期間を10年単位で区切ったマクロでの選択例も載っている。20代、30代、40代、50代で自分のやりたい事は変わる。40年ずっと同じなのは研究者などのごく一部の人達だけである。無思考で定年まで働くのではなく、自分の意志で次の働く内容を決める事が重要だと言っている。

これから重要なのは、働くという事は人生の欲望を満たす土台ではなく、人生にとって重要なものへと変わってきている事なのである。これは簡単にいうと、労働が方法じゃなく目的になってきているという事だ。

人生において辛いのはお金が無い事よりも、やりたいと思う事が見つからない事という記述があり、これには100%同意だ。

【個人的補足】

どんな働き方がしたいか?

本書では若い段階で市場での経験を積んでおく事が重要だと述べている。市場から求められている能力と自分の能力のギャップに気がつけるからだ。そうすれば稼ぐ力も付ける事ができる。

この「市場から稼ぐ力」が上記で述べたような自由度が高い働き方が出来るための1つのキーワードになる。しかし逆に言うと、稼ぐ力が無いと選択肢が狭まる事とも言える。市場を無理に恐がる必要はない。市場は優しい。何度でも挑戦を受け入れてくれる。成功するまで待っててくれるのだ。

時代は常に変化している。今後も社会構造革命が起きるかもしれない。もしかしたら、働かなくても生きていける時代になるかもしれない。しかし変化には混乱が伴う。これは過去の例を見ても明らかだ。

その中において、あなたは市場からどんな能力を求められているのだろうか。働き方は自由だ。それを決めるのも自分次第なのである。

関連書籍

著者は他に3つの書籍がある。本書を含めて、これからに必要な能力について執筆したと言ってる。興味があれば他の書籍も一読してみると良いと思う。