義経じゃないほうの源平合戦

【概要】

  • 著者:白蔵 盈太(しろくら えいた)
  • 発売日:2022年12月
  • ページ数:295ページ

本の目次

1、挙兵
2、旭将軍
3、義仲追討
4、宇治川の戦い
5、一ノ谷の戦い
6、三日平氏の乱
7、葦屋浦の戦い
8、屋島の戦い
9、壇ノ浦の戦い
10、造反
11、義経じゃないほうの造反

あらすじ

やっぱり鎌倉なんか、来るんじゃなかった・・・。誰もが畏れる知略家の頼朝と、戦に関しては天賦の才を持つ義経。2人の天才に挟まれた、地味だが堅実で非常になれない男、源範頼を描く。

源平合戦とは

源平合戦というと、平清盛率いる平家と源頼朝率いる源氏が日本全土で行った合戦の事をいうのは知っている人も多いだろう。

なにより中学生の歴史の教科書に載っているくらいなので、それだけインパクトが大きい出来事だったとも言える。

じゃあ何がインパクトが大きかったかというと、この源平合戦の結果、源氏が勝利し、武家政権に繋がっていった事だ。

これ以降、鎌倉時代から室町時代、戦国時代、江戸時代と武家政権が続く事になる。

そう言った意味では、ここで武家政権が誕生していなければ、後の足利氏、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった歴代の英傑は歴史の表舞台に立たなかったかもしれないのだ。

実は正式名称は、治承・永寿の乱と言うらしいのだが、源平合戦の方が有名でピンとくる人も多いだろう。

この源平合戦に出てくる重要な人物は以下の通りだ。

・平清盛
・木曾(源)義仲
・源頼朝
・源義経

海外(日宋)貿易などで得た富を独占し栄華を極める平家(平清盛)に対して不満を持つ、源氏(木曽義仲、源頼朝)が挙兵する事から始まる。

一時は木曾義仲が平家を打ち破るが、後に海上戦で敗戦してしまう。

その後、源頼朝が義経の活躍もあり一の谷の戦い、壇ノ浦の戦いに勝利し平家を滅亡させる。

その後、義経は謀反の疑いをかけられ頼朝に討伐されてしまう。

こんな流れだ。

源範頼とは

本書の主人公は、源氏は源氏でも頼朝でもなければ義経でもない。

源範頼である。

範頼?

歴史に詳しい人でなければ、はて、そんな人いたっけな?という感じだろう。

俗に言う「じゃない方」の人だ。

実際、頼朝、義経とは異母兄弟なのだが、母親が遊女という事もありあまり有名ではない。

遠江国蒲御厨(現・静岡県浜松市)で生まれ育ったため、蒲冠者(かばのかじゃ)や蒲殿(かばどの)と呼ばれる事もあるらしい。

凄まじい兄弟達に挟まれ、あまり存在感の薄い範頼だが、平家討伐の総大将を任されたり、義経討伐の総大将を打診されたりしている実は有能な武士でもある。

本書では最初は未熟な範頼が数々の合戦を通じて、武士として成長していく様子がコミカルに書かれている。

ダメダメだった武士が数々の戦を通して、リーダーへと成長していく。

是非、その過程を感じて見て欲しい。

登場人物も少なく背景が理解しやすい

読んでみると分かるが、実は登場人物はそれほど多くない。

それゆえ、背景が理解しやすい面もある。

そして脇役?を固める武士たちもいい味を出している。

リアリストの梶原景時、どこか憎めない和田義盛などだ。

実は、本書はリーダー像を学べるような書き方になっている。

主に頼朝のリーダー像、義経のリーダー像、範頼のリーダー像と三者三葉のリーダー像がある。

歴史の世界に浸るのもよし、誰かに感情移入して読むのも良し、自分が目指すリーダー像とはを確認してみるもよし。

今、自分が置かれている立場と重ね合わせて読んでみるといいだろう。

パワハラ上司が頼朝と重なるかもしれない。自由勝手な上司が義経と重なるかもしれない。優柔不断な上司が範頼と重なるかもしれない。

しかし短所は見方を変えると長所にもなる。

頼朝は決断力があるカリスマ上司、義経はチャレンジ精神旺盛なイケイケ上司、範頼は慎重派の上司といった具合にだ。

そんな事をイメージしながら読んでみるのもアリかもしれない。

もちろん純粋に物語としても面白いので、範頼の生き様として読んでもらってもいいだろう。

今よりも生死がもっと身近にあった時代において、どのように生きてきたか。

どのような処世術があったか。

歴史の教科書には出てこない面が色々と見えてくるのではないだろうか。

ちなみに範頼の最後もこの時代ならではだ。

本書には記載されていないが、読み終わった後で興味がある人は、wikiなどで調べてみるのも面白いだろう。

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