【臨床症状】80代 歩行障害(右半身のパーキソニズム症状)、尿失禁、認知機能低下
【問題】画像所見と診断名は?
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- 脳室の拡大を認める
- シルビウス裂の拡大も認める
- 高位円蓋部の脳溝狭小もある
- Evans Indexは0.4
- 脳梁角は80°
- 上記よりDESH所見ありとされ、臨床症状と合わせて特発性正常圧水頭症と診断される
【特発性正常圧水頭症】
・特発性正常圧水頭症(iNPH:idiopathic normal pressure hydrocephalus)とは、くも膜下出血や髄膜炎などの先行疾患がなく、歩行障害を主体として認知症障害、排尿障害をきたす脳脊髄液吸収障害に起因した病態
・高齢者に多く見られ、緩徐に進行する
・適切なシャント術によって症状の改善を得る可能性がある症候群である
・歩行障害、認知機能低下、尿失禁を3徴とする
・60代以上に多く見られ、DESH(Disproportionately Enlarged Subarachnoid space Hydrocephalus)と呼ばれる特徴的な所見がある
《DESH所見》
- 脳室拡大(Evans Index(両側側脳室前角間最大幅/その部位における頭蓋内腔幅)>0.3)
- 高位円蓋部脳溝の狭小化
- シルビウス裂や脳低槽の拡大
・脳梁角(callosal angle:CA)はほとんどが90°以下を示す
・脳梁角はAC-PCラインに垂直な後交連上の冠状断で測定する(AC-PCラインに垂直じゃないと誤差が大きいと言われている)
・MRIでDESH所見を呈しているにも関わらず、症状が無い(無症候)場合もあり、これはiNPHの前駆状態と考えられている
・高齢者の1.5%程度で見られるともいわれている
参考書籍:よくわかる脳MRI 改定第4版
参考文献:特発性正常圧水頭症診療ガイドライン 第2版