救急40

【臨床症状】70代 肝硬変 他院にて上行結腸背側部に腫瘍疑い、門脈浸潤疑い

【問題】画像所見と診断名は?

0131
0130
0129
0128
0127
0126
0125
0124
0123
0122
0121
0120
0119
0118
0117
0116
0115
0114
0113
0112
0111
0110
019
018
017
016
015
014
013
012
011
CT_20240629101902_Image048
CT_20240629101902_Image047
CT_20240629101902_Image046
CT_20240629101902_Image045
CT_20240629101902_Image044
CT_20240629101902_Image043
CT_20240629101902_Image042
CT_20240629101902_Image041
CT_20240629101902_Image040
CT_20240629101902_Image039
CT_20240629101902_Image038
CT_20240629101902_Image037
CT_20240629101902_Image036
CT_20240629101902_Image035
CT_20240629101902_Image034
CT_20240629101902_Image033
CT_20240629101902_Image032
CT_20240629101902_Image031
CT_20240629101902_Image030
CT_20240629101902_Image029
CT_20240629101902_Image028
CT_20240629101902_Image027
CT_20240629101902_Image026
CT_20240629101902_Image025
CT_20240629101902_Image024
CT_20240629101902_Image023
CT_20240629101902_Image022
CT_20240629101902_Image021
CT_20240629101902_Image020
CT_20240629101902_Image019
CT_20240629101902_Image018
CT_20240629101902_Image017
CT_20240629101902_Image016
0199
0198
0197
0196
0195
0194
0193
0192
0191
0190
0189
0188
0187
0186
0185
0184
0183
0182
0181
0180
0179
0178
0177
0176
0175
0174
0173
0172
0171
0170
0169
0168
0167
0166
0165
01134
01133
01132
01131
01130
01129
01128
01127
01126
01125
01124
01123
01122
01121
01120
01119
01118
01117
01116
01115
01114
01113
01112
01111
01110
01109
01108
01107
01106
01105
01104
01103
01102
01101
01100
 

    ▶答えはこちら
    • S7に動脈相から平衡相にかけて造影不良域を認める
    • 動脈相にて膿瘍腔と浮腫性反応、区域性濃染からいわゆるduble target signが疑われる
    • 他院にて上行結腸背側の腫瘤疑いは、この病変である可能性がある
    • 上記所見から肝膿瘍が第一に疑われる
    左から動脈相、門脈相、平衡相
    • また門脈の抹消(P2やP6、P7中心)にて抽出不良を認め、血栓による塞栓が疑われるが、明らかな浸潤所見は認めない
    • 他、右肺胸水、肝嚢胞、腎嚢胞、憩室などを認める

    【肝膿瘍】

    ・肝膿瘍は細菌性と非細菌性(アメーバ性、真菌性)に分けられる

    ・症状は、発熱や肝腫大、腹痛などだが、非特異的な所見である事が多い

    ・感染経路は胆道性、門脈性、肝動脈性、隣接臓器からの直接性、外傷性、医原性などがあるが、原因が不明な特発性も少なくない

    ・胆道性は多発する事が多く、門脈性は孤立性(特に右葉)が多い

    ・門脈性は骨盤内や消化管の炎症を先行感染とする場合が多い

    ・アメーバ性は右葉後区域に好発し、単発で大きく円形(卵円形)の形態を認める事が多い

    ・治療法は抗菌薬の投与やドレナージなど

    ・画像所見は初期では充実性腫瘤と類似するが、膿瘍を伴う程度までになると、中心(膿瘍腔)が造影されないな単房性、または多房性の低吸収域を呈する

    ・周囲の肉が組織から成る膿瘍壁は造影でリング状の濃染を認め、平衡相にかけてリング状濃染が厚くなる

    ・その外側は反応性浮腫のために低吸収域になり、また区域性に造影効果を認める

    ※動脈相にて区域性に造影を認める理由は、炎症による門脈枝の狭小化や閉塞によって区域性に門脈血流が低下し、代償性に動脈血流が増加することによると考えられている

    ・これらを総合して、Duble target signと呼ぶ

    ・~30%程度に膿瘍腔内にガスを認める事もある

    参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版