悪性腫瘍３９

• 多発性骨髄腫でフォロー中の患者
• 転倒による骨折や頭蓋内出血、硬膜下血腫は認めない
• 頭蓋骨に複数の溶骨性変化を認め、いわゆる punched out lesion の所見
• その他に左側頭葉底部に低吸収域を認め、陳旧性の脳挫傷疑い
• また大脳皮質に虚血巣が斑状に散在している

【多発性骨髄腫】

・多発性骨髄腫（multiple myeloma）は、形質細胞に異常が生じ、単クローン性の腫瘍性増殖が見られる疾患で、造血器悪性腫瘍の10～15％程度を占める

・形質細胞（骨髄腫細胞）の増殖や、これに伴う異常免疫グロブリン（M蛋白）により様々な症状が起きる

・腫瘍から分泌される破骨細胞活性化因子によって、骨皮質の菲薄化や骨粗鬆症が起き、その結果として（病的）骨折などがおきる

・また腫瘍細胞がM蛋白を大量に作る事で、免疫低下、腎障害、過粘稠度症候群、アミロイドーシスなどが起きる

・40歳以上の中高年に多い

・診断確定には、骨髄穿刺が必要

・亜型として、髄外性形質細胞腫、孤立性形質細胞腫、骨硬化性骨髄腫、非分泌緒型骨髄腫がある

・画像所見は、XpやCTでは進行すると溶骨性変化（打ち抜き像：punched out lesion）や、びまん性の骨濃度低下、病的骨折が認められる

・骨盤骨や肩甲骨、肋骨などでは、膨張性発育（soap bubble appearance）が見られる事もある

・MRIでは骨髄細胞数の増加によりT1WIで低信号、T2WIで高信号

・均一、または不均一なびまん性の異常信号を認める場合は、化学療法に対して抵抗性で予後が悪いと言われている

参考書籍：ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド 第2版