救急64

【臨床症状】70代 女性 胸痛精査

【問題】画像所見と診断名は?(まずは単純のみでチャレンジしてみてください / スライス113までが単純検査です)

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➡冠状断(造影)はこちらから
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    ▶答えはこちら
    • 上行大動脈置換後の所見あり
    • 単純検査にて大動脈に石灰化を認め、また大動脈弓部から腹部大動脈にかけて解離を疑う所見を認める
    • 造影検査では、上腸間膜動脈まで解離を認める
    • また偽腔は一部で濃染している事から、偽腔開存型と診断できる
    • 上行大動脈に解離腔は及んでいないと考えられ、Stanford B型疑い
    • その他の所見として、胆石、子宮筋腫あり
    参考画像(矢状断/横断像を再構成したもの)

    【大動脈解離】

    ・大動脈解離とは、「大動脈壁が中膜のレベルで2層に剥離し、動脈走行に沿ってある長さを持ち2腔になった状態」で、大動脈壁内に血流もしくは血種が存在する動的な病態とされている

    ・大動脈解離は真腔と偽腔から成り、両者は剥離したFlapにより隔てられる

    ・主な症状は突然の胸痛や背部痛

    ・高齢者の場合は無症状のこともある

    ・偽腔の血流状態による分類には次の3つがある

    1. 偽腔閉塞型:偽腔内血流がなく、tearやULPも認めない、偽腔は三日月形を示し(crescent sign)時に高吸収域を呈する
    2. ULP型:偽腔の大部分に血流を認めないが、tear近傍に限局した偽腔内血流(ULP)を認めるもの
    3. 偽腔開存型:偽腔に血流があるもの

    ・ULP型は経過中に拡大して瘤化したり、再解離をしたりする場合があるので注意する

    ・真腔から偽腔へ血液が流入するtearをentry、偽腔から真腔へ再流入するtearをre-entryとも呼ぶ

    ・解離範囲での分類には次のようなものがある

    <Stanford分類:上行大動脈への乖離腔の有無>

    1. Stanford A型:上行大動脈に乖離腔が及んでいるもの
    2. Stanford B型:上行大動脈に乖離腔が及んでいないもの

    <DeBakey分類:解離範囲とentry位置による分類>

    1. DeBakeyⅠ型:上行大動脈から下行大動脈まで乖離腔があり、entryが上行大動脈
    2. DeBakeyⅡ型:解離腔が上行大動脈に限局し、entryも同部位にある
    3. DeBakeyⅢa型:解離腔が下行大動脈にあるが腹部大動脈までは及ばなく、entryが下行大動脈
    4. DeBakeyⅢb型:解離腔が下行大動脈から腹部大動脈までで、entryが下行大動脈

    ・病期による分類では次の2つがある

    1. 急性期:発症2週間以内(発症48時間以内は超急性期)
    2. 慢性期:発症後2週間以降

    ・画像診断では、次の項目を確認する

    • 解離の存在診断
    • 解離の形態や進展範囲による分類
    • 合併症の有無(破裂、心タンポナーデ、大動脈の主要分岐閉塞による臓器虚血など)

    参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版

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