【臨床症状】70代 男性 検診USで膵体部に腫瘤疑い CA19-9、CEAは正常値
【問題】画像所見と診断名は?
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- 各種シーケンスにて膵頭部から尾部にかけて主膵管の拡張を認める
- 主膵管型の膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と考えられる
- また主膵管径が21mmと10mmをこえている事、またDynamic画像に膵体部にやや濃染される充実性の腫瘤を認める
- 上記よりIPMN(主膵管型)からの膵管内乳頭粘液腺癌(IPMC)が疑われた
- その後、診断確定のために他院へ紹介され、膵癌と診断された
- その他の所見として、肝嚢胞(S2、S6)、右腎嚢胞あり、胆嚢腺筋症疑い
【膵管内乳頭粘液性腫瘍】
・膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)は、「粘液産生能を有し、乳頭状増殖を特徴とする上皮より構成される膵管内腫瘍」と定義されている
・高齢男性の膵頭部に好発する
・粘液が増殖する場所によって次の3つに分類され、頻度としては分枝型が多い
- 主膵管型(主膵管が全長にわたって拡張する)
- 分枝型(膵頭部に多く、ブドウの房状に見える多数の嚢胞として確認できる)
- 混合型
・主膵管型(混合型)は分枝型よりも悪性の可能性が高く、原則手術対象になる
・癌化したものを乳管内乳頭粘液腺癌(intraductal papillary mucinous carcinoma:IPMC)と呼ばれる
・一般的には、小さな分子型のIPMNで自覚症状が無い場合は、浸潤癌の頻度はかなり低いと考えられるが、約10%に膵癌が合併することがあるので注意する
・IPMNの悪性化の指標には次のようなものがある
high-risk stigmata(悪性を強く示す所見)
- 閉塞性黄疸を伴う膵頭部嚢胞性病変
- 造影される5mm≧の壁在結節
- 主膵管径≧10mm
worrisome feature(悪性の疑いを示す所見)
参考書籍:肝胆膵の画像診断 -CT・MRIを中心に-
- 膵炎症状
- 嚢胞径≧30mm
- 肥厚し造影される<5mmの壁在結節
- 造営される壁肥厚
- 主膵管径5~9mm
- 尾側に閉塞性膵炎を伴う主膵管狭窄
- リンパ節腫大
- CA19-9高値
- 2年間で5mm以上の嚢胞径の増大
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