救急15

【臨床症状】50代 DM、高コレステロール血症 検診異常精査

【問題】画像所見と診断名は?

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➡ 冠状断(造影)
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    ▶答えはこちら
    • 腹部大動脈は紡錘状に拡張しているのが確認できる
    • 一部低吸収域を認め、造影効果も認めない事から壁在血栓疑い
    • 前回と比較して32mmから48mmと、2年間で1cm以上増大しており、腹部積極的治療対象なる可能性がある
    • 上記より腹部大動脈瘤(紡錘状)と診断された
    2年前の画像と比較(左側が2年前の画像))
    • 他、左卵巣動静脈瘻あり

    【腹部大動脈瘤】

    ・大動脈瘤とは、大動脈が局所的に突出もしくは、全周性に拡大した状態のこと

    ・大動脈の一部が局所的に拡張してこぶ状に突出する「嚢状瘤」と、前周性に拡張して径が正常の1.5倍以上となった「紡錘状瘤」がある

    ・腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm:AAA)は腎動脈分岐レベルとの関係から次の3つに分類される

    1. 腎動脈上腹部大動脈瘤(suprarenal AAA)
    2. 傍腎動脈腹部大動脈瘤(para-juxtarenal AAA)
    3. 腎動脈下腹部大動脈瘤(infrarenal AAA)

    ・AAAの多くは腎動脈下部に見られ、40%の割合で腸骨動脈にまで径の拡大が及ぶ事が多い

    ・腎動脈上AAAや傍腎動脈AAAでは腎動脈上に大動脈遮断を置く必要があり、手術手技が複雑になる

    紡錘状の動脈瘤では、瘤径5cm未満では自然破裂率は3%程度だが、5~7cmでは6~11%、7cm以上では20%との報告がある

    ・また瘤径の拡大速度が半年で5mm以上の場合も破裂の可能性が高いと言われている

    ・嚢状瘤の場合は、瘤径が小さくても破裂のリスクが高い事が知られている

    ・動脈瘤が今にも破裂しそうな状態の事を大動脈瘤切迫破裂と言う

    ・主な所見は腹痛や腰痛、背部痛など

    ・画像診断では、切迫破裂には次のようなものがある

    • high-attenuating crescent sign:HAC(壁在血栓に亀裂が入り単純写真で新鮮血種/高吸収域を認めること)
    • 大動脈瘤周囲の液体貯留
    • 急な瘤径の拡大
    • 内腔や壁在血栓の変形
    • 血栓内腔比の低下 など

    参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版、これだけは知っておきたい心臓・血管疾患の画像診断