【臨床症状】80代 検診で胸部異常陰影
【問題】画像所見と診断名は?
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- 肝内胆管にガスを認める
- 中枢よりのガスである事、胆摘後である事から門脈ガスよりは術後の変化が疑われる
- リンパ節腫大や胸水は認めない
- 両肺には下葉を中心にすりガラス陰影と胸膜下曲線陰影 (Subpleural curvilinear shadow; SCLS) を認める
- 鑑別に石綿肺やNSIPがあがるが、石綿粉塵暴露の既往が無い事や3年前の画像(非提示)と比較しても大きな変化がない(多少の顕在化は認めるが)事から、経過観察となっている
【胸膜下粒状影(subpleural dotlike lesion)/胸膜下線状影 (Subpleural curvilinear shadow; SCLS) 】
・胸膜下粒状影とは、細気管支周囲の線維化を反映した画像所見
・胸膜から1~2mm程度離れた領域に数mm大の粒状影として密に認められる
・この病変が進行すると肺胞壁にも線維化を来し、気管支病変間の結合が起きる
・この状態が胸膜下線状影として描出される
・胸膜に並行して走行する曲線陰影で、進行すると蜂巣肺や牽引性気管支拡張像を認める事もある
・石綿肺の画像所見の一つ
参考書籍:困ったときの胸部の画像診断
【胆管気腫】
・通常胆管内には胆汁が充満しているが、胆摘後やVater乳頭の弁機能が悪くなると胆道内にガスを認める事がある
・これを胆道気腫(pneumobilia)と呼ぶ
・他に潰瘍などによる穿通によって胆嚢と腸管が交通した場合もガスを認める場合がある
・ガスは中枢よりに見られるのが特徴
・術後にガスが見られる場合は、特に治療の必要はないとされている
【門脈内ガス】
・門脈内ガスは腸管の壊死によるものが多く、早急な対応が必要である場合が多い
・胆管気腫と鑑別を要する事があるが、門脈ガスは抹消寄り(肝表の2cm以内)に見られるのが特徴
・上腸間膜静脈(SMV)や腸管内にもガスを認める場合もある
参考書籍:肝胆膵の画像診断 -CT・MRIを中心に-