【臨床症状】70代 皮下腫瘤に気づき受診
【問題】画像所見と診断名は?
※脂肪抑制、T1WI、T2WIの順に表示
➡ 横断像
※脂肪抑制、T2WIの順に表示
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- 浅指屈筋近傍に約2センチ大の腫瘤を認める
- T1WIで筋肉よりもやや低信号、T2WIでは被膜を認め、また辺縁が高信号、中心部が比較的低信号のtarget appearanceを認める
- 上記より神経鞘腫が疑われる
- 他、橈骨頭付近には約1センチの嚢胞性病変を認めガングリオン疑い
【神経鞘腫/神経線維種】
・神経原性腫瘍は抹消神経(神経線維、神経鞘)由来と神経節および傍神経節に由来するものがある
・末梢神経由来の腫瘍は次の2つがある
- 神経鞘腫:比較的大きな神経の神経鞘内に発生、被膜を持ち、細胞成分の多いAntoni A領域と細胞成分の少ないAntoni B領域から構成される
- 単発、孤発が多いが、NF1(von Recklinghausen)病に合併する事は稀だが、NF2では多発する傾向がある
- 神経線維種:皮膚や皮下などの小さな神経から発生し、紡錘形に発育し被膜を持たない事が多い
- 腫瘍内に神経を含有する
- 孤発性と多発性があり、後者は神経線維腫症(neurofibromatosis)と呼ばれる
- 形態的には限局性と特殊型があり、特殊型には神経に沿って数珠状の形態や、びまん性のケースがある
- 組織分類には、神経鞘腫(schwannoma)、神経線維種(neurofibroma)、悪性神経鞘腫(maligrant schwannoma)(いずれも神経線維/神経鞘由来)と、神経芽腫(neuroblastoma)、神経節神経芽細胞腫(ganglioneuroblastoma)、神経節細胞腫(ganglioneuroma)(いずれも神経節由来)がある
- 傍神経節由来には組織分類に傍神経性腫瘍(paraganglioma)がある
・画像所見は、Target appearanceが有名で、神経鞘腫、神経線維種の両方に認められる事があると言われている
・その他には被膜の有無なども鑑別材料になる事がある
・びまん性の神経線維腫では、脂肪抑制画像で低~高信号で、やや不均一、造影効果は一般的に強い傾向がある
参考書籍:ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド 第2版