なぁ、自分は自分の頭で物事を考えてる?
何ですかいきなり?
人間って考えてるようで全然考えてへんなと思ってな。そんな事を実感する出来事が先日あってん。
そこで感じたのは、多くの人が悩むと考えるを混同している気がするな。
ワシ的に悩むってのは答えを出さへん事。考えるってのはとりあえずでも答えを出す事やと思うねん。その繰り返しが深掘りになってくんやけど、この年になって思うんは、考えた経験が少ない人は話してても薄っすいねんな。深く考えた事があらへんのが何となく分かんねん。オリジナリティがあらへんっていうか。
あと厄介なんが、悩むと考えるの違いが分からんと悩み続けるという負の無限ループ落ちる事もあんねん。
せやから悩むって良い事が全然あらへんねん。でも世の中には悩んでる人がいっぱいおんねん。
もくじ
乏突起神経膠腫(oligodendroglioma)とは
乏突起神経膠腫の概要
乏突起神経膠腫の概要
さて、本題に戻るで。今日は乏突起神経膠腫についてや。どや?何か知ってる情報はあるか?
脳外を専門にやってる施設やないと、グリオーマという言葉は知っててもその中にどんな分類があるかっちゅーとこまでは厳しいかもしれんな。まずは簡単にグリオーマについて話していくで。
脳には多くの神経細胞(ニューロン)があって、の神経細胞を支えているのが神経膠(グリア)細胞という細胞なんや。この神経膠細胞には、星細胞(アストロサイト)、乏突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)、小膠細胞(ミクログリア)、脳室上衣細胞の4つがあるで。これらの役割は神経細胞を固定したり、栄養伝達、神経伝達物質の処理、血液中の物質が脳組織へ移動するのを制限したりしてんねん。
ほんで神経膠細胞から発生するのが神経膠腫(グリオーマ)やねん。グリオーマには大きく3つに分類されてて、星細胞腫(アストロサイトーマ)と乏突起膠腫(オリゴデンドログリオーマ)、膠芽腫(グリオブラストーマ)や。これらは基本的に浸潤するように広がっていくから、手術で完全に摘出するのは難しいと言われとる。
乏突起膠腫というのは、従来は乏突起神経膠腫(グレード2)と退形成乏突起神経膠腫(グレード3)に分けられてたんやけど、2021年のWHOの改定で退形成という表記が無くなってん。
じゃあ、何で分類するかというと病理組織の結果で分けるらしいねんな。病理が出てグレードが決まるって訳や。
ちなみに2021年の改訂では、乏突起神経膠腫だけやのーてastrocytomaはグレード4が追加になったりして、ちょいちょい変更があったんやで。新しい分類は以下の通りや。
ちなみに余談やけど、グレード分類は1が良性で2以上が悪性と考えてもらえればええで。数字の大きさによって進行のスピードが違うというイメージが近いかな。
乏突起神経膠腫の概要はこんな感じや。
- びまん性、浸潤性で緩徐の発育形式
- 40~50代に好発するが、他の年代でも発生する
- 大脳半球、特に前頭葉が好発部位
- グリオーマの中では比較的完治を見込める腫瘍
WHO2021年分類
参考までに旧分類と2021年の分類を載せておくで。
旧分類 | 概要 | 臨床症状 | |
---|---|---|---|
グレード2 | 乏突起神経膠腫 | 全年齢に発生で発育はゆっくり 大脳皮質、特に前頭葉に多く、腫瘍辺縁部の石灰化が特徴 | 痙攣 |
グレード3 | 退形成乏突起神経膠腫 | 乏突起神経膠腫から10年程度で発症する事が多い 壊死や出血を伴いやすい | 痙攣 |
2021年分類 | 概要 |
---|---|
乏突起神経膠腫 IDH変異型 グレード2 | グレード分類は病理組織で決定される 旧分類のグレード2乏突起神経膠腫 |
乏突起神経膠腫 IDH変異型 グレード3 | グレード分類は病理組織で決定される 旧分類のグレード3退形成乏突起神経膠腫 |
画像所見
乏突起神経膠腫の画像所見
さて、画像所見についてや。
特徴的なのはCTで石灰化を認める事や。これがあるか無いかで星状細胞腫との鑑別が出来る事があるんやけど、全部の症例に石灰化がある訳やなくて判別が困難な例もあるから注意や。ちなみに石灰化を有する確率は70~90%と言われとる。
MRIではT1強調で低~等信号、T2強調やFLAIRで高信号を示すで。浸潤性に発育するんやけど画像上は境界が明瞭な事が多い印象や。造影効果は様々で悪性度が高くなるにつれて増強部分が多くなるで。
そういう点から可能ならCTとMRI両方撮影した方がベターかもな。乏突起神経膠腫に特徴的な石灰化はCTでの方が見えやすいからな。でもMRIでも分からん事も無いで。参考までにまとめるとこんな感じや。
FLAIR | T2WI | T1WI | CE | 他 | |
---|---|---|---|---|---|
乏突起神経膠腫 | 高信号 | 高信号 | 低~等信号 | 様々 | 腫瘍辺縁に石灰化を70~90%で伴う 造影効果がある方が悪性度が高い グレード判別は病理結果で決まる グレード2は前頭葉、グレード3は前頭葉と側頭葉に好発 |
実際の画像については適当なものが無かったからRadiopediaから参照してるで。この症例はGrade3(乏突起神経膠腫 IDH変異型 グレード3)やで。
別症例のCT画像も載せておくで。石灰化があるのが分かると思う。
鑑別診断のポイント
星状細胞腫や多型黄色星状細胞腫 他
次に鑑別診断のポイントやけど、上でも出てきた星状細胞腫との鑑別やったり、多形黄色星細胞腫やdysembryoplastic neuroepithelial tumor:DNT、神経節膠腫なんかがあるかな。星状細胞腫についてはこっちを参考にしてくれや。
多形性黄色星細胞腫は表在性の嚢胞病変でdural tail signを伴う事が多いのが特徴やし、DNTは10~20代での発症と浮腫性変化と造影効果が乏しい点、皮質から脳室側に向かって楔状や三角状の病変が見られる特徴があるから鑑別の参考にしてや。
ただどの病気にも言えるんやけど何事にも例外っちゅーもんがある。上で話した内容はあくまで傾向や。乏突起神経膠腫も全例で石灰化がある訳や無いしな。
他に同じグリア細胞からの腫瘍化するものとしては膠芽腫があるで。膠芽腫についてはこちらから確認しておいてくれや。
まとめ
今日は乏突起神経膠腫についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
2021年に退形成乏突起神経膠腫は無くなり、病理診断でグレードが分けられるようになった。
同じような所見の病気に多形黄色星細胞腫やDNT、神経節膠腫等があるが、CTで石灰化を有するかどうかで本症例かの鑑別が可能な事が多い
CTで石灰化、T1で低信号、T2、FLAIRで高信号。造影効果がある方が悪性度が高い傾向
こんな感じや。実際の画像を見た事が無い人は、ネットで検索すると色々出てくるから1度見ておいてな。過去に症例の経験があるかないかで引っかけられるかどうかが決まるねん。これは結構重要な事やで。
読影は考える事が多い作業やねん。色んな可能性の中から最終的な診断を記載する訳やからな。せやからこのレクチャーもあれこれ考えながら聞くと頭の中に残りやすいと思うで。
ってな感じで今日はこのへんにしよか。
ほな、精進しいやー!