悪性リンパ腫(malignant lymphoma)

居酒屋とかで声が通る人おるやん?羨ましいわ。

知らないんですか?今ってほとんどタッチパネルですよ?

けっ!そんなん知ってるわ。せやなくて、ワシが言いたいのは何で声が通る人と通らない人がおんねんって事や。ワシ、店員さん呼んでも全然気がついてくれへんタイプの人間やからメチャ羨ましいねん。コツがあったら教えて欲しいわ。

ほれ、ワシってこうやってレクチャーしてるやん?実はこれだけやなくて、セミナーとか学会で発表せなアカン時があんねんけど、マイクを通しても聞きづらい時があるそうやねん。せっかく話しても半分も伝わってへんと、ちょっとやるせないからな。なんとかせんとなと思いつつ、先延ばしになってもーてるんよ。

ただ、来月の学会で発表せなアカンくなったから、ちょっと声の出し方でも学んでみよかな。

悪性リンパ腫(malignant lymphoma)とは

悪性リンパ腫の概要

今日はちょっとエエ声でやってみるで。

今日の内容は悪性リンパ腫や。正確には中枢神経系原発悪性リンパ腫、primary central nervous system lymphoma:PCNSLや。これは知らんやろからワシの方で解説を始めるで。

まずは悪性リンパ腫とは何かからや。悪性リンパ腫、PCNSLは原発性脳腫瘍の2%程度、悪性リンパ腫全体でも1%程度の頻度や。男性、高齢者に多い傾向があると言われとる。

PCNSLは中枢神経系のどこにでも生じる可能性はあるんやけど、好発部位としてはテント上の脳脊髄液に接する部位が多いで。

臨床症状は認知機能低下や麻痺で、腫瘍が出来る位置で症状も変わってくるで。

ちなみに余談やけど悪性リンパ腫は組織学的にいくつか種類があって、その中でもびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が90%以上やで。

テント上下-解剖

簡単にまとめると、こんな感じや。

  • 中枢神経系悪性リンパ腫(PCNSL)は男性の高齢者に多い
  • 発生する原因は良く分かっていない(免疫抑制剤を長期服用している場合は移植後のリンパ増殖性疾患として悪性リンパ腫が発生する事がある
  • 臨床症状は認定機能低下や麻痺など、腫瘍が出来る部位によって異なる
  • 好発部位はテント上の脳脊髄液部分
  • 最終的な確定診断は生検にによって確定されるが進行が早い事が多い
  • 多発する場合もある
  • 治療法は化学療法

後は免疫不全患者では若年層でも発症し、AIDS患者に合併しやすいとも言われとるが、あまり頻度は高くないと思うで。経過は数週間単位で進行するのが多いわな。せやから見つけたら早めに治療を開始せなアカンねん。予後は悪い方に分類されるで。

画像所見

悪性リンパ腫の画像所見

次に画像所見についてや。未治療の場合ではPCNSLが壊死、嚢胞変化、出血、石灰化を伴う事は希で、浮腫も比較的少ないことが多いで。

T2強調では等~軽度高信号、拡散強調画像では高信号で、造影効果も均一や。造影効果は脳室上衣への進展が典型的で、血管周囲腔に沿った刷毛で掃いたような造影効果を見た場合はPCNSLが鑑別にあがるで。T2強調で等~軽度高信号ということは、細胞密度が高い腫瘍であるっちゅー事でもあんねん。つまりは増殖が早いっちゅー事やねんな。

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悪性リンパ腫高信号等~軽度高信号等~低信号均一に造影刷毛で掃いたような血管周囲腔に沿った造影効果がある

ちなみに病変が単発やとも限らんくて、多発してる場合もあるで。ただその場合は進行している事の裏返しでもある事が多いな。

他には悪性リンパ瘤やから、FDG-PETやガリウムシンチなんかは全身検索には有効やな。ただ出来る施設が少ないのと検査の予約待ち時間が結構ある場合が多いのがネックやな。

悪性リンパ腫の臨床画像

次は実際の臨床の画像や。今回は適当な症例が無かったからRadiopediaから参照してるで。腫瘍が良く造影されているのが分かると思う。

上段左側からT2WI、DWI、FLAIR、下段左からCE2方向

Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

脳腫瘍との鑑別

鑑別診断のポイントやな。主な鑑別疾患は膠芽腫、転移性腫瘍、脳膿瘍、脱髄性疾患、サルコイドーシスなどや。

膠芽腫との鑑別は、不整形で不均一な造影効果や内部壊死の有無などで鑑別出来るで。

転移性腫瘍は概して多発し大きくなると周囲の浮腫も強くなるで。またリング状の増強効果も鑑別出来るポイントの1つやな。

脳膿瘍は拡散強調画像で著明な高信号を示してT2強調で被膜が低信号となるわ。また造影すると均一な厚さのリング状の増強効果を示すで。

脱髄疾患は増強効果が乏しい点が鑑別になるし、サルコイドーシスはT2強調と拡散強調画像の低信号が特徴的や。

まとめ

今日は悪性リンパ腫についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。好発部位と画像所見や。ポイントの内容は次の通りやで。

テント上の脳脊髄液に接する部位に多い

T2強調で等~軽度高信号で、均一に造影される事と脳室上衣への進展が典型的

他に鑑別すべき疾患も多くあったん覚えてるか?それぞれ画像所見の特徴があるからそれも覚えておくようにな。転移性脳腫瘍との鑑別はリング状の造影効果なんかがあったで。思い出してーな。

ふぅ、エエ声でしゃべるのもこれが限界や。やっぱ普段の話し片が1番楽やな。来月の学会どうしよ。

まぁ、なんとかなるか。てな訳で今日はこれで終わりにするで。

ほな、精進しいやー!