悪性リンパ腫(malignant lymphoma)

居酒屋とかで声が通る人おるやん? 羨ましいわ。

知らないんですか? 今ってほとんどタッチパネルですよ?

けっ!そんなん知ってるわ。ワシが言いたいのは何で声が通る人と通らない人がおんねんって事や。
ワシ、店員さん呼んでも全然気がついてくれへんタイプの人間やからメチャ羨ましいねん。

悪性リンパ腫(malignant lymphoma)とは

悪性リンパ腫の概要

悪性リンパ腫とは

てな訳で、今日はちょっとエエ声でやってみるで。

今日の内容は悪性リンパ腫や。正確には中枢神経系原発悪性リンパ腫、primary central nervous system lymphoma:PCNSLや。

その前に、まずは悪性リンパ腫とは何ぞやからやけど、悪性リンパ腫はリンパ球系腫瘍の総称なんや。

何らかの原因によって、白血球中のリンパ球が遺伝子変異(異常)する事で癌化すんねん。

この原因には、ウィルスや細菌感染、遺伝的要因、放射線なんかが関係してると言われているけど、正確には分かってへん。

罹患年齢は、60代以上が大半で、70代前半がピークや。

悪性リンパ腫の分類

また、悪性リンパ腫は各々の特徴によって90以上の細かい分類があるんやけど、大別すると次の3つに分類されるで。

  • B細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)
    • 濾胞性リンパ腫
    • MALTリンパ腫
    • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    • バーキットリンパ腫
  • T/NK細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)
    • T細胞前リンパ球性白血病
    • 抹消T細胞性リンパ腫
    • 成人T細胞白血病/リンパ腫
    • 急速進行性NK細胞白血病
  • ホジキンリンパ腫

また非ホジキンリンパ腫は、進行スピードや悪性度によって更に3つに分類されるで。

  • 低悪性度(進行は年単位)
    • B細胞性(濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫 など)
    • T/NK細胞性(成人T細胞白血病/リンパ腫(慢性型)など)
  • 中悪性度(進行は月単位)
    • B細胞性(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 など)
    • T/NK細胞性(抹消T細胞性リンパ腫 など)
  • 高悪性度(進行は週単位)
    • B細胞性(バーキットリンパ腫 など)
    • T/NK細胞性(成人T細胞白血病/リンパ腫(急性型/リンパ腫型) など)

割合でいうと、7割弱がB細胞リンパ腫やで。

ホジキンリンパ腫の方が予後が良い傾向があるで。

中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL)

ほんで、今回の中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)やけど、ほとんどが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に分類される事が多いんや。他にはT細胞性リンパ腫の場合もあるで。

PCNSLは診断時に、他部位に病変がなくて、中枢神経系原発で発症したリンパ腫の事や。

PCNSLは原発性脳腫瘍の2%程度、悪性リンパ腫全体でも1%程度の頻度やと言われてて、男性、高齢者に多い傾向があるで。

ちなみにDLBCLは免疫不全者に多くて、発症年齢はもう少し若く傾向があるのに対して、T細胞性リンパ腫は免疫健常者でも発症する事があるんや。

PCNSLは中枢神経系のどこにでも生じる可能性はあるんやけど、好発部位としてはテント上の脳脊髄液に接する部位が多くて、深部灰白質や脳室、脳溝、脳槽あたりで90%以上の割合やで。

脳室上衣への進展が特徴的と言われてて、血管周囲腔に沿って浸潤していくわ。

臨床症状は認知機能低下や麻痺で、腫瘍が出来る位置で症状も変わってくるで。

テント上下-解剖

簡単にまとめると、こんな感じや。

  • 中枢神経系悪性リンパ腫(PCNSL)は男性の高齢者、免疫不全者に多い
  • 発生する原因は良く分かっていない(免疫抑制剤を長期服用している場合は移植後のリンパ増殖性疾患として悪性リンパ腫が発生する事がある
  • 臨床症状は認定機能低下や麻痺など、腫瘍が出来る部位によって異なる
  • 好発部位はテント上の脳脊髄液部分
  • 最終的な確定診断は生検にによって確定される
  • 多発する場合もある
  • 治療法は化学療法
  • 非常に進行が早く、予後不良

免疫不全患者では若年層でも発症し、AIDS患者に合併しやすいとも言われとるが、あまり頻度は高くないと思うで。

経過は数週間単位で進行していって、メッチャ早いで。予後は不良や。無治療やと余命が半年程度とも言わてとる。

画像所見

PCNSLの画像所見

次に画像所見についてや。

未治療の場合やとPCNSLが壊死、嚢胞変化、出血、石灰化を伴う事は希で、浮腫も比較的少ないことが多いで。

T2強調では等~軽度高信号、拡散強調画像では高信号で、造影効果も均一や。

造影効果は脳室上衣への進展が典型的で、血管周囲腔に沿った刷毛で掃いたような造影効果を見た場合はPCNSLが鑑別にあがるで。

他には脳梁を介して両側に広がる事もあって、これも特徴的な所見とされとる。別名、butterfly patternとも言われてるな。

T2強調で等~軽度高信号ということは、細胞密度が高い腫瘍、つまりは増殖が早いっちゅー事やねん。

DWIT2WIT1WICE
悪性リンパ腫高信号等~軽度高信号等~低信号均一に造影刷毛で掃いたような血管周囲腔に沿った造影効果がある

ちなみに病変が単発やとも限らんくて、多発してる場合もあるで。FDG-PETやガリウムシンチなんかが全身検索には有効やな。

免疫不全者に発生したPCNSL(AIDS-related DLCBL)は、多発/リング状造影効果を認める事も多いで。

PCNSLの臨床画像

次は実際の臨床の画像や。今回は適当な症例が無かったからRadiopediaから参照してるで。

上段左側からT2WI、DWI、FLAIR、下段左からCE2方向

Case courtesy of Frank Gaillard, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

脳腫瘍との鑑別

主な鑑別疾患は膠芽腫、転移性腫瘍、脳膿瘍、脱髄性疾患、サルコイドーシスなどや。

膠芽腫との鑑別は、不整形で不均一な造影効果や内部壊死の有無などや。

転移性腫瘍は概して多発し大きくなると周囲の浮腫も強くなるで。またリング状の増強効果も鑑別出来るポイントの1つやな。

脳膿瘍は拡散強調画像で著明な高信号を示してT2強調で被膜が低信号となるわ。また造影すると均一な厚さのリング状の増強効果を示すで。

脱髄疾患は増強効果が乏しい点が鑑別になるし、サルコイドーシスはT2強調と拡散強調画像の低信号が特徴的や。

これらは共通する画像所見である事も多いんやけど、臨床経過やデータを見れば参考になる事も少なくないで。

まとめ

今日は悪性リンパ腫についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。

テント上の脳脊髄液に接する部位に多い

T2強調で等~軽度高信号で、均一に造影される事と脳室上衣への進展が典型的

脳梁を介して両側性に病変が広がるのも特徴的な所見

他に鑑別すべき疾患も多くあったん覚えてるか?それぞれ画像所見の特徴があるからそれも覚えておくようにな。

ふぅ、エエ声でしゃべるのもこれが限界や。やっぱ普段の話し片が1番楽やな。

てな訳で今日はこれで終わりにするで。

ほな、精進しいやー!

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