ん?何言ってるん?
〇×だと思うんです。
いや、だからなんで〇×っていう答えが出たのかを聞いてんねん。
だって〇×じゃないですか?
ちゃうねん。その〇×という結果に至った過程を聞いてんねん!
そこをすっ飛ばして話すから会話のキャッチボールが出来ひんねん。あと主語と動詞と目的語を言えや。特に目的語をすっ飛ばされると意味が分からんくなんねん。
いや、ワシやから本当は分かるよ。理解神って異名を取るくらいやからな。
でもや、でもや!世の中の人はワシ並の理解力を持っとるとは限らんやん。そこを考慮してーな。自分の見えてる景色が他人も同じのが見えてると思ったら大間違いなんやで!
1人2役・・・
全く、日本の国語力も落ちたもんやで。将来が心配やで。
もくじ
海綿状血管腫(cavernous hemangioma)とは
海綿状血管腫の概要
今日は海綿状血管腫や。これもたまに見る疾患やな。AVMと並ぶ脳血管奇形の2大巨頭や。ちなみに脳血管奇形にはあと2つあって大きく分けて4つに分類されるんやけど、知ってるか?
動静脈奇形、海綿状血管腫(血管奇形)、静脈奇形、毛細血管拡張症(capillary telangiectasia)の4つや。これらは独立して発症する事もあんねんけど、併存してる例も多くあるんやで。
今日のレクチャーのお題でもある海綿状血管腫は、内皮が配列した洞様血管腔の集合体で静脈形成異常の1つや。
簡単に言うと、血流が遅い血管が海綿状に膨らんだ塊の事を指すねん。ちなみに海綿状ってのはスポンジ状に変化した状態の事を言うで。
正常の脳実質が介在せんくて、周囲が境界明瞭で内部に様々な出血の信号強度が見られるで。
好発年齢は一般的に20~60代で、特に性差は無いと言われてんねんけど30~40代に多い印象やな。後は、家族性だったり多発性だったりもするで。
好発部位は大脳、橋、小脳の順や。ほとんど大脳(90%程度)やで。てんかんや脳内出血で発症するわ。小さければ無症状の事も多いで。頻度としては脳血管奇形の10%程度って話や。
静脈奇形
あとせっかくやから、静脈奇形と毛細血管拡張症も話しとこか。
静脈奇形は、放射状に配列する髄質静脈と1本の太い流出静脈が特徴や。髄質静脈は別名umbrellaやcaput medusaeとも呼ばれたりしてるで。ちなみに動脈は問題あらへん。血管奇形としては多くて全体の2%に見られるらしいで。
単発がほとんどで20~50代に多く、前頭葉、頭頂葉、小脳が好発部位や。脳室近傍に多く見られるで。
猛先血管拡張症
毛細血管拡張症、Capillary telangiectasiaは文字の通り拡張した毛細血管の集合体や。血管網の間に脳実質が存在するで。10mm未満で橋に多く発生して、テント上や脊髄にも発生するで。
臨床上、問題となる事はあまりあらへんから放っておいても基本的に問題あらへんと言われとる。
これらのまとめを表にしておいたで。AVMの時と合わせて確認してみるとええで。
特徴 | |
---|---|
海綿状血管腫 | 内皮が配列した洞様血管腔の集合体で静脈形成異常の1つ 境界明瞭で内部に様々な出血の信号強度がある 脳血管奇形の10%程度で30~40代に多い 大脳に発生するのが90%で残りが橋や小脳 |
静脈奇形 | umbrellaやcaput medusaeと呼ばれる放射状に配列する髄質静脈と1本の太い流出静脈が特徴的 動脈に異常はない 20~50代に多くほとんどが単発 前頭葉、頭頂葉、小脳が好発部位で脳室近傍に多く見られる |
毛細血管拡張症 | 拡張した毛細血管の集合体 血管網に脳実質が存在 10mm未満で橋に多く発生 臨床上、特に問題となるような事は少ない |
画像所見
海綿状血管腫の画像所見
次に画像所見についてやな。前項でせっかく3つの病態について喋ったから、画像所見も同様に3つを話していくわ。
海綿状血管腫
まず海綿状血管腫やけど、前項で様々な出血の信号強度があるって話したやろ?それを反映してT2強調で低~高信号が混在するpopcorn-likeな内部構造を呈するねん。
ほんで、これはヘモジデリンで低信号になっているrimに囲われてるのが特徴的や。出血やからT1強調でも様々な信号強度を示すで。ヘモジデリンがあるからT2スターやSWI(磁化率強調)も有効やで。
後は石灰化がだいたい半数程度に見られる事かな。popcorn-likeな内部構造ってのがイマイチピンとこない人は、胸部CTで過誤腫の時のポップコーン上の石灰化~ってのがあるやろ。あれと似たような腫瘤が頭部にもあるようなイメージが近いで。
静脈奇形
次は静脈奇形やな。これは造影MRIで特徴的な所見があるで。
それは放射状の細かい血管が1本の太い静脈に集まる所見や。SWIなんかでも細かい血管は描出される事もあんねんけど、造影MRIが1番分かりやすいわ。他にはT2強調でflow viodとして低信号の血管が見られたり、でも血流が遅いと高信号になったりとかあんねんけど、造影MRIには敵わんで。
かなり特徴的な所見やから、1回でも見ておくとええで。
毛細血管拡張症
あとは毛細血管拡張症やな。これはT1強調でやや低~等信号、T2強調で等~やや高信号なんやけどもT2スターやSWIが有効やで。これらを纏めると下記のようになるで。
画像所見 | |
---|---|
海綿状血管腫 | 様々な出血を反映してT2強調でpopcorn-likeな内部構造を呈する ヘモジデリンの影響でT2スターやSWIで低信号のrimがあるのが特徴的 石灰化が半数に見られる |
静脈奇形 | 造影MRIでumbrellaやcaput medusaeと呼ばれる放射状の細かい血管が1本の太い静脈に集まる所見が特徴的 SWIでも見られる事がある |
毛細血管拡張症 | T1強調でやや低~等信号、T2強調で等~やや高信号 T2スターやSWIが有効 造影される |
実際の症例
さて、実際の画像を見ていこか。T2WIでpopcorn-likeな所見があるのが分かると思うで。
30代女性で交通事故での検査で見つかった例や。T2強調画像でpopcorn-likeの画像所見があるで。
次は静脈奇形や。右小脳にあるのが分かると思う。SWIが分かりやすいな。
40代女性で頭痛精査や。右小脳に静脈奇形があるで。
鑑別診断のポイント
AVMやアミロイドアンギオパチー
海綿状血管腫はAVMとの鑑別が問題になる事があるな。鑑別ポイントとしてはnidusがあるかどうかが参考になるで。
小さい海綿状血管腫が多発する場合はアミロイドアンギオパチーが鑑別にあがるわ。これは年齢や既往歴から判断する形かな。
静脈奇形は拡張した血管が1本である点がAVMとの鑑別ポイントや。
毛細血管拡張症は造影されるものやと腫瘍や脱髄病変との鑑別が必要になるんやけど、T2スターで低信号を示さへんからこれが鑑別ポイントやで。
まとめ
今日は海綿状血管腫(と静脈奇形、capillary telangiectasia)についてレクチャーしたで。ポイントは多くあったと思うんやけど、これだけ覚えておけばええわ。
海綿状血管腫はpopcorn-likeな画像所見
静脈奇形はcaput medusaeと呼ばれる放射状の細かい血管が1本の太い静脈に集まる所見が特徴的
これらは特徴的な画像所見があるから覚えとき。これを見たら鑑別の選択肢にあがるようにしとくんやで。
T2強調で複雑な信号強度でヘモジデリンのrimに囲われている。細かい髄質静脈と1本の静脈に集まる所見。造影されてもT2スターで確認する。・・・頭がパンクしそうです。
1回に覚えようとせんでもええ。着実に確実に覚えていけばええんや。まだ若いねんから時間はいくらでもあるやろ。理解神への道も1歩1歩やで。
さて、今日はこれくらいにしよかな。
ほな、精進しいやー!