硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dural AVF)

「必要なのは勇気やなくて覚悟」、ワシの好きな言葉や。

ようやく一生独身で生きていく覚悟を決めたんですね。

せやねん。もう誰もワシに振り向いてくれへんねん。話しかけてもオール無視や。ぼっち確定なんや。
・・・ってちゃうわ!誰が昼間の幽霊やねん!

硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dural AVF)とは

硬膜動静脈瘻の概要

Dural AVFの原因と好発年齢

我ながら、今の例えはええ感じやったな。今年イチや。

さて、今日は硬膜動静脈瘻や。もちろんこの病名は知っとるよな?

硬膜動静脈瘻はその名の通り硬膜に発生する動静脈の短絡病変や。

通常は硬膜の中やと動静脈は繋がらへんのやけど、何らかの原因で繋がってしまってる状態や。

原因の1つとしては外傷や術後変化などが考えられてるな。

ちなみに静脈洞血栓症の合併が多い事から、静脈洞血栓症が器質化や再開通する過程で動静脈短絡が起きてると考えられてるで。

7割が40~60代で発症、かつ女性に多いというデータがあるで。

AVMとの違いは、動脈と静脈のシャントが硬膜上にあるか脳実質内にあるかの違いや。

硬膜上にあるのが硬膜動静脈瘻(dural AVF)、脳実質内にあるのがAVMなんやけど、1番見分けがつくのがnidusの有無や。NidasがあるとAVMやで。

ちなみにdural AVFの流入動脈は硬膜動脈で、Nidusを形成せずに脳静脈へ流入するねん。

基本的に単発で多発は稀や。

Dural AVFの好発部位

好発部位は横静脈洞からS状静脈洞が60%、20~30%が海綿静脈洞、上矢状静脈洞の順や。

Dural AVFの臨床症状

臨床症状は横・S状静脈洞やと血管雑音や頭痛、脳出血、くも膜下出血などで、海綿静脈洞部の場合は眼球突出や血管雑音なんかや。

Dural AVFの分類

Dural AVFの分類はLalwani分類、Cognaed分類、Borden分類なんかがあるで。どれも静脈側の形態で分類してんねん。

なんで静脈側かというと、治療選択に静脈側の分類が必要不可欠やからや。

Dural AVFの治療法

治療法としては、カテーテル、外科的手術、放射線治療なんかがあるで。基本的にカテーテル治療が選択される事が多いとの事や。

Dural AVF概要のまとめ

これまでの概要を表に纏めておいたで。

臨床症状分類特徴
硬膜動静脈瘻横静脈洞からS状静脈洞は血管雑音や頭痛、脳出血
海綿静脈洞の場合は眼球突出や血管雑音など
Lalwani分類、Cognaed分類、Borden分類などがある
どれも静脈側の形態が分類ポイント
硬膜内でシャントが出来る事
後天的でAVMとの違いはnidusの有無とシャントの部位、硬膜内がdural AVFで脳実質内がAVM
中年女性に多い
好発部位は横静脈洞からS状静脈洞に60%で海綿静脈洞部で~30%、ほか上矢状静脈洞

内頚動脈海綿静脈洞瘻(CCF:carotid-cavernous fistula)

ちなみにCCFってのがあって、日本語で言うと、内頚動脈海綿静脈洞瘻になるんやけど、これはその名の通り、海面静脈洞内に内頚動脈との瘻孔ができた状態や

外傷性(直接型)と突発性(間接型)があって、直接型はICAの損傷が原因、間接型は硬膜動脈によるものが原因やで。

直接型は進行性で、間接型はゆっくりや。

ちなみに、直接型は頻度としてはかなり少ないと言われてるで。

ほんで、直接型は血流が逆流する方向に応じて、前方型と後方型に分けられてんねん。

  1. 前方型:海面静脈洞瘻孔から上眼静脈方向に血流が逆流する。症状としては眼球突出など。
  2. 後方型:海面静脈洞瘻孔から錐体静脈洞方向に逆流する。症状は拍動性の雑音など。

臨床で目にするのは、多くが間接型や。

ちなみに、正常例でもMRAの元画で下錐体静脈洞や海綿静脈洞が抽出される事があるから注意やで。

下は左海綿静脈洞瘻の症例や。MRAの元画で分かりやすいな。

頭部MRI-海綿状血管腫

画像所見

硬膜動静脈瘻の画像所見

次に画像所見についてや。これはAVMの時を参考にすれば分かるやろ?

T2強調でflow voidが見える事があって、これが診断の参考になる時があんねん。特に好発部位におけるこの所見はスルーせんようにな。

これが中等度以上のシャントがあるものはMRAでも見えるようになるで。硬膜動脈の拡張と流出静脈の抽出やな。

特にMRA元画が診断には有効で、静脈洞内外に高信号や流入血管が線状の高信号として確認できる事が多いんや。

ただ注意点として正常でも下錐体静脈洞や海綿静脈洞が抽出される事があるんや。間違ってdural AVFと診断せーへんようにな。難しいところやけどもな。

後はMRAの元画で判断が難しい場合は造影するとより分かりやすくなるでな。

時にダイナミックMRAを撮像すると、動静脈短絡の血行動態が見る事ができるで。これもポイントやから覚えておき。

画像所見についても簡単に纏めておいたで。何かあった時の参考にせぇ。

画像所見
硬膜動静脈瘻中等度以上のdural AVFはMRAで硬膜動脈の拡張と流出静脈が描出される
※正常でも下錐体静脈洞や海綿静脈洞が描出される事もあるので注意(血流の逆流が原因)
T2強調でflow voidとして見える事があるので脳表や脳槽の拡張血管を見逃さないようにする
診断にはMRAの元画が有効
MRAで診断が難しい場合は造影剤を使用すると分かる

実際の症例

実際の症例や。左小脳硬膜にdural AVFがあるやろ。

MRAの元画が一番わかりやすいな。

頭部MRI-dural-avf

別症例や。こちは右にあるな。

頭部MRI-dural-avf2
MRI(A)画像とCT造影画像

鑑別診断のポイント

AVM

続いて鑑別診断や。最初にも言ったんやけどAVMとの鑑別が問題になるで。

AVMとの鑑別はnidusの有無とシャントの部位が需要や。脳実質内にあるか無いかで見極めてや。年齢や臨床経過なんかも参考になるからな。

まとめ

今日は硬膜動静脈瘻についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

硬膜動静脈瘻は硬膜動脈と静脈洞が後天的にシャントしている状態

類似疾患にAVMがあり、シャントが出来ている部位やnidusの有無にて鑑別する

MRA(元画)が有効

これくらいやな。nidusの有無をチェックやで。

さて、今日の冒頭に言った言葉を覚えてるか?勇気やなくて覚悟って言葉や。自分も覚悟を決めんかいな。

もう桑さん号という舟に乗ってしもうてんねんやで?ここまできたら放射線科医並に読影が出来るようになってみぃや。

ええか?ええな?よし!

覚悟を決めれば物事は動きだすんや!

面倒な事考えてないで、取りあえず覚悟だけ決めて、後から色々考える。悩んでいる時間がムダや。

ワシなんて、覚悟決めてから大学受験に4回失敗してるし。でも最後には受かってるから結果オーライや。

ってなわけで、精進しいやー!

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