ビックマック指数って知ってる?
ビックマック指数?
そうや。マックって世界展開してるやろ?簡単に言うと世界のビックマック価格で国の経済力や物価などが比較出来る数字って事や。
日本はどれくらいのポジションか分知ってるか?
実はトップ30にも入ってへんねん。2023年時点で日本のビックマックは400円前後らしいから韓国よりも安いんやで。
ちなみに20年前の2000年前後はトップ5におってアメリカよりも高かってんで。2023年からすると考えられんけどな。
30年前は東南アジアに行けば物価が安くて、そんなに多くのお金が無くても豪遊出来てん。
でもそれは過去の話や。世界から見たら今の日本は、ワシらが当時感じてた東南アジアみたいに見えてるのかもしれんな。
良い悪いは別にして自分の国が貧しくなっていくのを実感するってのは寂しいもんやで。
貧しいって言っても世界から見ると、まだまだ恵まれている方なんやけどな。
もくじ
多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)とは
多系統萎縮症の概要
ちょっとセンチメンタルになってもーたけど、今日のレクチャーを早速始めてくで。
今日は多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)や。パーキソニズムを呈する神経変性疾患の1つやで。
今回のMSAは元々はオリーブ橋小脳萎縮症とShy-Drager症候群、線条体黒質変性症ってのがあって、これらは共存する事が多かった事から纏めようとして出来た疾患名や。
小脳症状が優位なのをMSA-C、パーキンソン症状が優位なのをMSA-Pとしてるで。MSAは脊髄小脳変性症の中にも分類されてんねん。
パーキンソニズムを呈する疾患一覧
下にパーキンソニズムを呈する疾患一覧を載せておくで。一言で神経変性疾患と言っても多くのパターンがあるんやで。
主な種類 |
病型 |
|
パーキンソニズム |
パーキンソン病(PD) |
Yahr分類 |
進行性核上性麻痺(PSP) |
PSP-RS PSP-P PSP-PFG PSP-CBS PSP-SL PSP-C |
|
多系統萎縮症(MSA) |
MSA-C MSA-P |
|
大脳皮質基底核変性症(CBD) |
||
本態性(薬剤性)振戦 |
臨床所見
臨床症状は、パーキソニズム、小脳症状、自律神経障害、錐体路障害が進行性で、かつ様々な程度の症状と組み合わせて出てくるで。
MSA-PとMSA-Cは進行してくると共通の症状になってくるで。つまりは一連の疾患って事やな。
重症度分類
MSAにも重症度分類があって、PSPと同様に日本版modified Ranking Scale(mRS )で重症度分類がされるで。中身は0~6まで分類されてて、0が無症状で6が死亡や。詳しく知りたい人はmodified Ranking Scale(mRS)で検索すれば詳細が出てくるで。
原因
MSAの原因は自律神経核や大脳皮質運動野の変性と言われとるわ。変性脱落にはαシヌクレインの蓄積が関係してるんやけど、大元の原因は分かってへん。好発年齢は40代以降で予後は良くあらへん。
治療法
MSAもPDやPSPと同じように根本的な治療法はあらへんねん。せやから投薬治療がメインになるんやけど、徐々に進行していってまうねん。罹患期間は9年程度やと言われとる。
画像所見
多系統萎縮症の画像所見
MSAの画像所見についてや。これはMSA-PとMSA-Cでそれぞれ特徴的な所見ががるから順に話していくで。
MSA-P
まずはMSA-Pからや。MSA-Pの画像所見は、何と言っても被殻の外側にスリット状の高信号域がある事や。これはT2強調で認めるで。
原因は被殻の萎縮や。萎縮を伴っているかどうかもポイントやで。萎縮が無ければ生理的なパターンもあるわ。
他には同部の鉄沈着の有無も原因やったりするで。これは基本的に両側性なんやけど、初期の場合は左右差を認める事も多い点に注意や。
MSA-C
次にMSA-Cについてや。MSA-Cは脳幹や小脳の萎縮と、橋横走繊維変性による十字状のT2強調画像での高信号や。
T字型に見える場合もあるで。これはhot cross bun sign:HCBSと呼ばれてるサインや。他には中小脳脚も高信号になる時があるな。
各々の所見をまとめるとこんな感じや。
分類 |
画像所見 |
|
多系統萎縮症 |
MSA-P |
被殻の萎縮と被殻外側にスリット状の高信号 |
MSA-C |
脳幹や小脳の萎縮と、橋横走繊維変性による十字状のT2強調画像での高信号(hot cross bun sign) |
実際の症例
ほな実際の画像を見ていこか。
MSA-Pの症例や。両側の被殻の外側にスリット状の高信号と萎縮しているの分かるやろ。これがMSA-Pの特徴的な所見やねん。
こっちはMSA-Cの症例や。脳幹に十字の高信号を認めるな。これはHCBSやで。
鑑別診断のポイント
パーキンソニズム症状を呈する疾患の鑑別
鑑別診断やな。これは他のパーキソニズムを呈する疾患との鑑別が重要や。PDやPSPの時にも出した表や。基本的にこれくらいは覚えておく必要があるで。
主な種類 |
画像所見 |
|
パーキンソニズム |
パーキンソン病(PD) |
MRI上は特異的な所見がない |
進行性核上性麻痺(PSP) |
中脳被蓋の萎縮と第3脳室の拡大 |
|
多系統萎縮症(MSA) |
基底核外側にスリット上、橋底部に十字状のT2高信号 |
|
大脳皮質基底核変性症(CBD) |
左右対称性の前頭後頭葉~頭頂葉の萎縮 中脳被蓋の萎縮 |
|
本態性(薬剤性)振戦(ET) |
DAT-SCANで被殻の集積低下の有無 |
まとめ
今日は多系統萎縮症をやったで。MSAにおけるポイントは1つかな。
MSA-P、MSA-Cの画像所見(MSA-Pは被殻の萎縮と外側の高信号、MSA-CはHCBS)
この辺りを覚えておくのと、他のPSPやCBDの画像所見を照らし合わせる事でパーキソニズムの画像診断能力は格段に上がるで。
ちなみに他にパーキソニズムを呈する疾患って何があるんですか?
血管性とか薬剤性とかがあるな。本態性(薬剤性)振戦は基本的に画像に所見はあらへんくて、原因となる薬剤の使用を中止すれば症状も出へーんようになるで。
こんなふうに、まだ覚えなアカン事は沢山あるで。一番最初に画像を見るのは技師はんやからな。そこで所見に気がついてくれて追加撮影しておいてくれると、かなり助かるねん。
なんかビックマック言ってたら食べたくなってきたわ。ってな訳で今日はこれで終わりにするで。
ほな、精進しいやー!