なんやねん、この胸のドキドキ。息苦しいねん。
おぉ!肺炎ですか?
GLAYやん!グロリアスやん!ってか今の若い人でグロリアスを知ってる人は少数なんちゃうん?
ってなんでやねん!
今回は正解をブチ込んできよったで。まさかの不意打ちや。っていうか、流石にこのネタこすりすぎたな。ワシもちょっと飽きてきたわ。何ならこの後のネタも無くなってきたしな。この流れがイマイチ分からん人は、気胸、肺炎、間質性肺炎の順で冒頭だけでもチェックしてもらえると分かると思うで。
もくじ
各々の概要
肺炎シリーズも今回で一区切りや。長かったで。よくついてこれたな。今回は複数の肺炎をやっていくで。
急性好酸球中肺炎(AEP)
まずは急性好酸球中肺炎(AEP)や。これは好酸球中肺炎の病型の1つやで。そのそも好酸球中肺炎は下記を満たす疾患の総称やねん。
- 肺に異常陰影がある
- 末梢血または肺内に好酸球の増多を認める
またその他のリストは次のようなものがあるな。
- 単純性好酸球中肺炎(Loeffler's syndrome)
- 慢性好酸球性肺炎(chronic eosinophilic pneumonia:CEP)
- 好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)
好酸球は白血球の1種である顆粒球の1つで、寄生虫感染が起きた時にこの細胞が攻撃してくれんねん。またアレルギー反応を起こす細胞としても知られてるな。好酸球が多くなるとサイトカインを産生して炎症を起こして、その結果、組織障害が起きるという流れやねん。
急性好酸球中肺炎は喫煙や薬剤、粉塵などに対する急性過敏性反応や。喫煙し始めの若年層が多く、ほとんどが煙草へのアレルギー反応や。
症状は発熱や咳嗽、低酸素症などを発症して急速に進行するねんけど、ステロイドが有効な事が多いから予後も良いで。
原因を取り除けば再発もほとんどせーへん。禁煙せーよって事やな。
慢性好酸球中肺炎
また慢性好酸球中肺炎についても簡単に話しておくで。慢性好酸球中肺炎も同様に好酸球の増加によるものやねん。ただ急性との違いは原因不明な事が多いって事やな。数週間から数ヶ月かけて進行するんや。好発年齢は特になくて、性差は女性に多いんやで。
ウィルス性肺炎
ウィルス性肺炎はインフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、水痘ウィルス、サイトメガロウイルスなんかによる肺炎や。成人の場合はインフルエンザウィルスが最多やで。細菌はコロナウィルスも該当するかもしれん。乳幼児は他にRSウィルス、アデノウィルスなどが原因に多いで。
種々のウィルスによる炎症が気管支から肺胞まで進展すんねん。気管支・細気管支炎と種々の程度のびまん性肺胞損傷(diffuse alveolar damage:DAD)やcrazy-paving appearanceを呈する事も多いな。
またインフルエンザ肺炎は3つに分類されてとる。
- 純ウィルス性肺炎:インフルエンザウィルスによって発症した状態
- 2次性細菌性肺炎:インフルエンザウィルス肺炎治療後に損傷した気道上皮から細菌が感染し再度肺炎を発症した状態
- ウィルス/細菌混合性肺炎:インフルエンザウィルス肺炎と細菌性肺炎が混在している状態
飛沫感染がメインで発熱、咳、呼吸困難なんかが主な症状や。
サイトメガロウィルス肺炎
ウィルス性肺炎の中で一番多いのはインフルエンザウィルスによるものやけど、その他にサイトメガロウイルス肺炎も知っておいてもええと思うで。
サイトメガロウイルス肺炎は、その名の通りサイトメガロウイルスにより肺炎なんやけど、このサイトメガロウイルスはヘルペス科に属するDNAウィルスや。日本人のほとんどはこのウィルスへの抗体を持ってるんやけど、ステロイド使用中やったりで免疫力が低下すると発症する事があんねん。臓器移植後やAIDS患者さんで起きる事が多いで。
免疫低下時の肺炎はこの症例も考慮するんやで。
誤嚥性肺炎
後は誤嚥性肺炎や。誤嚥性肺炎も読んで文字の通りや。誤嚥された口腔内細菌などが炎症の原因になるで。
種類的には腸内細菌や黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などやな。誤嚥のパターン別で3つに分けられてるで。
- 口腔内の細菌などが肺に入って炎症が起きる:誤嚥性肺炎、びまん性誤嚥性細気管支炎
- 胃の内容物が肺に入って炎症が起きる:Mendelson's syndrome(症候群)
- 人口呼吸器が関連する肺炎:人口呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)
この中のびまん性誤嚥咳細気管支炎は少量の口腔内容物を持続的に誤嚥する事で起きるで。長期で寝たきりの場合に認める事が多いな。
Mendelson症候群は、胃内容物を嘔吐して誤嚥する事で胃液が気道内に入る事で起きる疾患や。簡単に言うと、胃酸による肺障害(肺炎)を起こした状態やな。少量の胃酸でも重篤な症状になりやすいんやで。
これらの誤嚥性肺炎は高齢者に多く、咳や発熱が主な症状や。原因は嚥下機能の低下、つまり老化による所が大きいで。
誤嚥性肺炎については別で取り上げてるから、そっちでも確認してみてな。
肺の解剖
肺の簡単な解剖も載せておくで。この辺りは別で話したから、そっちを見てもらえるとええな。
画像所見
各々の画像所見
さて、これからは各々の画像所見についてや。
急性好酸球中肺炎(AEP)
AEPはびまん性すりガラス陰影と小葉間隔壁、気管支血管束の肥厚が代表的な所見やで。crazy-paving appearanceや小葉中心性の粒状影、胸水や軽度リンパ節腫大も認める事が多いで。
慢性好酸球中肺炎(CEP)
ちなみに慢性好酸球性肺炎(CEP)にも特徴的な所見があって、単純X線やと、photographic negative of pulmonary edema(肺水腫のネガ像)があったり、CTやと胸壁に並行に線状(索状影)が認めんねん。特にCTの所見は特異的やで。
ウィルス性肺炎
次にウィルス性肺炎やけど、広域なすりガラス陰影があり、その内部に網状影が混在し、俗に言うcrazy-paving appearanceを呈する事も多いで。ただcrazy-paving appearance=ウィルス性肺炎ではあれへんから注意が必要や。というのも、この所見は他の病態でも認められんねん。やから補助的な感じで使うてや。
ちなみにcrazy-paving appearanceは、すりガラス陰影の中に小葉間各壁肥厚、小葉内網状影が見られる所見の事や。当初は肺蛋白症に多いとされていたんやけど、その後多くの症例で認める事が確認されたんやで。
サイトメガロウイルス(CMV)肺炎
サイトメガロウイルス肺炎についても話しておこうかな。境界不明瞭な粒状影や小結節影が混在して見られるで。下肺優位に認めるのが特徴や。結節病変を多く認めるのもウィルス性肺炎の特徴とされとる。
誤嚥性肺炎
最後に誤嚥性肺炎やな。背側に優位に気管支を中心とした浸潤影が特徴的や。寝たきりで重力が関係しているのかもしれんな。
その中でもMendelson症候群は広範な浸潤影とすりガラス陰影を認めるで。
各疾患まとめ
急性好酸球中肺炎 | びまん性すりガラス陰影と小葉間隔壁の肥厚 |
ウィルス性肺炎 | 広域なすりガラス陰影と網状影 crazy-paving appearance |
誤嚥性肺炎 | 背側優位の気管支を中心とした浸潤影 Mendelson症候群は広範な浸潤影とすりガラス陰影 |
実際の症例
40代の男性でウィルス性肺炎疑いの症例やで。両肺にすりガラス陰影を認めるわ。
こっちは誤嚥性肺炎の症例や。80代の女性で口腔癌術後やねん。右気管支に異物を認める事から誤嚥性肺炎の診断になったで。
ちなみにcrazy-paving appearanceの症例や。
鑑別診断のポイント
鑑別診断について
鑑別診断のポイントや。AEPは肺水腫やウィルス性肺炎、急性間質性肺炎なんかがあるで。喫煙歴や薬剤使用歴が鑑別に重要や。
ウィルス性肺炎は気管支肺炎やな。これも臨床経過をチェックする事が重要やで。
最後に誤嚥性肺炎やけど、浸潤影がメインやから他の肺炎との鑑別が必要やけど、背側に所見があるかどうかと、臨床経過で判別可能やで。
まとめ
今回はAEPとウィルス性肺炎、誤嚥性肺炎をやったで。ポイントは2つ。
AEPは喫煙歴の有無とびまん性すりガラス陰影と小葉間隔壁、気管支血管束の肥厚
ウィルス性肺炎は広域なすりガラス陰影と網状影、crazy-paving appearance、小結節を認める事が多い
誤嚥性肺炎は背側優位の気管支を中心とした浸潤影
こんな感じやな。肺炎シリーズも中々ボリュームが多いで。
これで肺炎は一段落ですかね。
まだ教えてへんやつもあんねんで。他にもまだまだあるわ。これらも機会を見て話していこうかと思うとるわ。
さて、今日はこの辺にしよかな。
ほな、精進しいやー!