今日は腸重積についてレクチャーしていくで!
救急で遭遇する急性腹症の1つですね!
もくじ
腸重積(intestinal intussusception)とは
腸重積の概要
腸重積とは何らかの原因で腸管が嵌入した状態を言うねん。
簡単に言うと、片方の腸がねじ込まれた状態やな。これが起きると腸管の血行不良が起きて、進行すると壊死するで。
9割以上が小児で発症して、幼少期の腹部救急疾患で最多というデータもあるほどやねん。
腸重積は部位によって次のように分けられるで。
- 小腸小腸型(enteroenteric type)
- 回腸結腸型(ileocolic type)
- 回腸盲腸型(ileocecal type)
- 結腸結腸型(colocolic type)
突発性の小児腸重積の9割は回腸結腸型や。
ちなみに入り込んだ腸管を嵌入部(intussusceptum)、それを包み込む側の腸管を嵌入鞘(intussuscipients)と呼ぶで。
腸重積の原因
上で小児が大部分って言ったけど、小児で発生する原因は突発的で原因不明な事が多いんや。
ただ腸重積発症時に風邪を引いていた割合が25%程度あるらしいから、風邪が何らかの形で影響しているのかもしれん。
ただ確定的な原因ではあらへん。
一方で成人の場合は原因がはっきりしている事が多いねん。脂肪腫や腺癌、悪性リンパ腫なんかの腫瘤性病変が原因で腸重積になる事が多いで。
臨床症状
臨床症状は腹痛や嘔吐、粘血便、腹部腫瘤などや。
乳幼児は自分で症状を話す事ができひんからギャン泣きがサインやと言われとる。
波があるから一定期間ギャン泣きして収まって、数十分後にギャン泣き、ほんでぐったりするらしいわ。
腸重積の3主徴として、嘔吐、腹痛(不機嫌)、粘血便とも言われとるな。
重症例になるとWBCやCRPが上昇するとも言われてて、WBCが15,000/μl、CRPが10mg/dl以上の場合は、中等度以上の可能性大や。
該当部分を触診すると腫瘤状の塊を触れる事もあるで。
治療法
治療法として整復があるんやけど、これには注腸整復と外科的整復があるで。
注腸整復は主に乳幼児の場合に選択されて肛門から空気や整理食塩水、造影剤なんかを圧力かけて入れる事で整復する方法や。
発症から24時間以内である事が条件やな。
ただこの方法は少なからず再発する事もあるんや。確率にして10%程度で、整復後すぐに再発する事が多いらしいで。
24時間以上経過してると腸管壊死の可能性が出てくるから、開腹手術が多くなるらしいな。
大人の場合で原因がハッキリしている場合は、その原因を取り除くために手術をする事が多いで。
腸重積は、腸管虚血から腸管壊死、敗血症、最悪の場合、死亡する事もある疾患やねん。
せやから早めの診断と治療が重要や。
画像所見
腸重積の画像所見
次に画像所見や。小児の場合はUSが第1選択になる事が多いな。
短軸断面だと同心円状の構造を認めて、target signと呼ばれる所見があるで。
長軸断面では長円形の腎臓に似た超音波像を示し、pseudokidney signと呼ばれてるわ。
これらはUSだけやなくてCTでも認める所見やで。
CTやと脂肪組織と血管が巻き込まれるのを認めれば腸重積の可能性が高いで。
腸管の虚血を疑う所見、腸管浮腫や腸管壁の造影不良、腹水などもチェックするんや。
後は成人の腸重積の場合は腫瘍によるものがほとんどやから、重積先端部の確認もするんやで。以外とこのポイントは重要やで。
実際の症例
ほな、実際の画像をみていこか。
70代女性 腹部痛精査
上行結腸から横行結腸に移行する部分で腸重積を認めて、横断像でTarget sign、冠状断で腸が嵌入しているのが分かると思う。
その後の精査で先端に4cm程度の大腸癌があったで。
60代女性 下腹部痛、吐き気の精査
腸重積は所見が派手やからスルーする事はあらへんやろ。指摘に加えて、壊死してるかどうかまで判断出来るようになると最高やな。
その為には造影効果の有無を見る事が重要やで。
鑑別診断のポイント
鑑別診断について
同じような画像所見を呈す疾患はそうあらへんから、一度画像を見ておいて特徴的な所見を覚えておけば、鑑別にそう困る事は無いやろ。
絞扼され続けると浮腫が進行して構造が不明瞭になって、さらに進行すると不均一な濃度の無構造となるので注意が必要やな。
まとめ
今回は腸重積をレクチャーしたで。ポイントは2つや。
圧倒的に小児(2歳までの乳幼児)に多く、成人の場合は癌などの腫瘍関係に起因する事が多い
target signやpseudokidney signが特徴的な画像所見
成人の場合は嵌入先端に病変が無いかどうかをチェックする事も必要やで。
脂肪腫が大半やけど、悪性腫瘍の場合もあるから注意せーよ。
腸重積は早めに診断できて治療ができれば虚血壊死による腸管切除をせんでも良いケースがほとんどやからな。
さて、今日はこれくらいにしとこかな。
ほな、精進しいやー!