ほんでな-、これは、この所見が重要やねん。
ここですか?
ちゃうちゃう。そっちやのーて、こっちの所見や。ほれメチャ造影されとるやろ。ここやて。
どこ見てんねん!ここやって!
・・・何1人で騒いでるんですか?
もくじ
憩室炎(diverticulitis)とは
憩室炎の概要
おお!これか?これは若手教育の予行練習や。
いま、こう思うたやろ?
「なにも1人でやらなくても・・・」
しゃーないやん、教える相手がおらへんし。だから1人で自己練するしかないねん。
「今の状況で何が出来るか考える、そして出来る事をやる。」
コレやで、コレ。アカン、名言はいてもうたわ。
さてと、今日は憩室炎についてやっていくで。
憩室炎は比較的よく見る疾患や。是非ともマスターしておきたい所やな。憩室炎と言えば通常は大腸憩室炎の事を指すで。
日本人の1/4は大腸憩室を持ってるとも言われとるくらい多いんや。
そもそも大腸憩室とは、粘膜が筋層を貫いて漿膜下へ突出した状態の事を言うねん。簡単に言うと、大腸の壁が外側に袋状に突き出た状態や。
憩室が出来る原因は腸管内圧の上昇、つまり便秘や加齢によるものが大きいんや。
ほとんどのケースでは憩室があっても問題無いんやけど、20%くらいで食物や糞石が憩室内に入って細菌感染して増殖した結果、炎症を起こすねん。これが憩室炎になる過程や。
頻度としては、右側結腸が70%、左側結腸が15%、全結腸型が15%となっとる。
アジア人は上行結腸~肝弯曲に出来やすくて、加齢と共に下行結腸やS状結腸に発生する割合も増えてくるらしいな。

大腸の解剖
一応、大腸の解剖も載せておくわ。
知らん人がおったら確認しといてや。

臨床症状と治療法
臨床症状
臨床症状としては、下腹部痛や発熱、嘔吐なんかや。
特に右側結腸に病変がある場合は、右下腹部痛になるから虫垂炎との鑑別が重要やで。
治療法
治療は基本的に保存的加療で軽快する事が多いねんけど、重症化すると膿瘍や腹膜炎なんかに発展して経皮的ドレナージや外科的手術が必要になる事もあるで。
画像所見
憩室炎の画像所見
続いて画像所見や。
憩室の壁肥厚と造影効果の増強、憩室周囲の脂肪組織の濃度上昇、大腸壁の浮腫性肥厚などがあるで。
脂肪組織濃度上昇の事をdirty fat signと呼んだりもするわ。
炎症が憩室だやけなくて大腸にも波及した場合、結腸壁の肥厚が3層構造(粘膜、粘膜下層、筋層)を伴っているかを確認するんや。
3層構造が無くなってる場合は結腸癌の可能性があるで。また壁肥厚が全周性なら腸炎の方かもしれん。
あと進行すると、穿孔して周囲に膿瘍形成や腹腔内ガスを呈する事もあるわ。
- 憩室炎の画像所見
- 層構造を保った壁肥厚と、造影効果(全周性なら腸炎疑い 3層構造無しなら結腸癌疑い)
- 憩室周囲の脂肪組織濃度上昇(dirty fat sign)
- 炎症を起こしている憩室が同定出来るとは限らない
- 進行すると穿孔して膿瘍形成や腹腔内ガスを生じる
実際の症例
50代女性で右下腹部痛の精査や。
上行結腸に憩室を認めて、その周囲に脂肪組織濃度上昇もあるで。大腸憩室炎として加療されたわ。

別の症例や。60代女性で下腹部痛の精査や。
盲腸付近に多数の憩室と壁肥厚、濃染を認め憩室炎の診断となったで。

50代男性でCFで多発憩室を認めて、CRPの上昇精査や。
盲腸付近の憩室の周囲に脂肪組織濃度上昇を認めるで。

鑑別診断のポイント
大腸疾患との鑑別
鑑別診断は、虫垂炎、大腸癌、感染性腸炎、Crohn病、虚血性腸炎なんかやな。
特に虫垂炎と大腸癌の鑑別が難しいときがあるで。
虫垂炎との鑑別は、複数方向から観察して時にはthin sliceも使って虫垂が正常かどうかの確認が必要や。
憩室炎はほとんどが盲腸付近で起きるのと、虫垂は様々な方向に存在している事が多いから特に注意して見てみてーや。
大腸癌との鑑別は3層構造を伴った肥厚かどうかで鑑別出来る事が多いで。
まとめ
今日のまとめや。今日は憩室炎についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。
大腸憩室は右結腸(特に盲腸~肝弯曲)に多く発生し、おのずとこの部位の憩室炎が多い
画像所見は大腸の3層構造を保持しているか、Dirty fat signはあるか、炎症所見の中心に憩室があるかどうか
こんな感じや。炎症の長さが15㎝以上なら腸炎の方が可能性が高いで。3層構造が破壊されてる場合は大腸癌の可能性ありやで。
全部分からんくてもええ、自分に出来る範囲の事からやってけばええんや。
それが遠いようで一番の近道やで。
さて名言も吐いた事やし、今日はこれくらいで終わりにしよかな。
ほな、精進しいやー!