消化管出血(gastroinstestinal bleeding)

ヒャッホーゥ!!メッチャ楽しいやんけ。このスーパーウォータースライダー!県内最高峰やで!楽しまなきゃ損や!もう一回や、ほれ、行けや!wheeee!

僕、泳げな・・あばばば。

消化管出血(gastroinstestinal bleeding)とは

消化管出血の概要

(・・・くそ、いつか絶対にシバく!)

さて、楽しんだ後はお勉強の時間や。

今日は消化管出血やで。

消化管出血は、上部消化管出血と下部消化管出血に分かれるで。これらを分けるのは何か?

そうや、トライツ(treitz)靱帯や。

トライツ靱帯より口側を上部消化管、肛門側を下部消化管としてんねん。

ちなみに臨床症状からある程度の出血部位が絞れるで。割合的には上部消化管出血の方が多いな。

消化管出血の70~80%が上部消化管からの出血や。胃潰瘍や十二指腸潰瘍なんかが有名やで。

臨床症状原因
上部消化管出血コーヒー様残渣 吐血潰瘍、びらん、静脈瘤 Mallory-Weiss症候群 など
下部消化管出血下血 血便憩室からの出血、血管形成異常、腫瘍、炎症 など
胆管膵解剖

Mallory-Weiss症候群

Mallory-Weiss症候群ってのがあって、これは嘔吐を繰り返す事で食道に圧力が加わって食道胃接合部付近の粘膜に裂傷が起きる状態や。

鮮血なのが特徴やで。

Mallory-Weiss症候群 十二指腸潰瘍

obscure gastrointestinal bleeding

他にもOGIB(obscure gastrointestinal bleeding)と呼ばれるものもあるで。

これは各種検査をしても出血の原因が特定出来なかった消化管出血の事を言うんや。消化管出血の5%程度を占めると言われとる。

消化管出血の原因

出血原因は上部と下部で違ってくるんや。

上部消化管やと、潰瘍やびらんが最多(55~74%)で、次に静脈瘤(10%程度)やMallory-Weiss症候群(5%程度)なんかが続くで。

下部と比較して出血量が多いと言われとる。ひどいとショックにまでなるパターンもあるで。

下部消化管出血の原因は、憩室からの出血、血管形成異常、腫瘍、炎症性疾患なんかや。

これらは高齢者に多いというデータもあるな。

臨床症状

臨床症状は、コーヒー様残渣、吐血、下血、血便なんかや。

血便は出血の部位や量で変化するで。出血量が多かったり直腸に近いと鮮血便になんねん。

あまりにも出血が多いと貧血のような症状を認めて、それがきっかけで発見される事もあるで。

治療法について

治療法は上部下部両方とも内視鏡が第1選択になるんやけど、前処置や設備等の関係もあってすぐに出来ひん事もある。

その時は出血源特定のためにCTが撮影される事が多いんや。

造影検査をするとextravasationと言って造影剤の漏出所見を認める事があって、これを認める部位が出血源と診断する事が出来るで。

この時、単純検査は省略したらアカンで。造影剤でマスクされて本当にextravasationかどうか比較検討出来んくなるからな。

画像所見

消化管出血の画像所見

さて次に画像所見についてや。

消化管出血のCT所見は、出血があればそこが高吸収域として描出されるで。

これは他の出血の時と同じやな。他にも凝血塊を認める事もある。

また造影検査を行っててextravasationを認めれば出血源を特定出来るで。

Extravasationは発症からCT検査までの時間が短いほど、撮影時の血圧が低いほど抽出される頻度が高いことが知られているわ。

動脈相と平衡相で造影剤の形態が変化しないパターンは、仮性動脈瘤(pseudoaneurysm)で、容易にextravasationに移行しうる状態と言われとるな。

他には消化管の壁肥厚や造影効果から炎症性や腫瘍性などの出血原因が特定出来る事もあるで。

  1. 出血は単純検査で高吸収域
  2. extravasationの有無
  3. 仮性動脈瘤を認める事もある
  4. 穿孔するとフリーエアーを認める事もある

実際の症例

実際の画像や。右結腸に出血を認める事が出来ると思うで。Extravasationの所見や。

腹部CT 右結腸出血
Case courtesy of Bruno Di Muzio, Radiopaedia.org

別の症例や。こっちは左結腸に出血源を認める事が出来ると思うで。

腹部CT 左結腸出血
Case courtesy of Craig Hacking, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

下部消化管出血は間欠的に出血や自然止血する事もあるから、検査のタイミングによっては出血源の特定が難しい事があるで。

後は大腸憩室が高吸収を示した時に、それを出血と間違わないようにする事くらいやな。

まとめ

さて、今日は消化管出血についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

臨床症状からある程度の出血部位の想定は可能(つまり臨床データも重要)

造影CTでのextarvasationを見逃さないようにする(この時、単純検査も必要)

これやな。単純検査だけやと微妙な出血は分からん事も多いねん。せやから造影検査までやることをオススメするで。

上部消化管は内視鏡検査がファーストチョイスやから、検査と止血も出来て早く治療出来るで。

さて、もう一回スライダー乗りにいこか?

いえ・・・結構です・・・

遠慮すんなや! いくで! ほな、精進しいやー!