ヒャッホーゥ!!メッチャ楽しいやんけ。このスーパーウォータースライダー!県内最高峰やで!楽しまなきゃ損や!もう一回や、ほれ、行けや!wheeee!
僕、泳げな・・あばばば。
やっぱ夏はこうでなくちゃアカン。これぞ夏や。見てみぃや、あんなちっちゃい子供でもガンガン滑っとるで。メチャ楽しそうやん。
っていうか、あの目、完全にこっちを挑発してるな。ふっふっふ、こりゃ負けてられへん。若さでは負けるけどもこっちには人生経験という武器があんねんで。人生の酸いも甘いも知ってんねん。
オラ!そこのガキンチョ!ワシとどっちが早いか勝負や!ワシが負けたらアイス買うたるわ!絶対負けへんけどな。絶対負けへんけどな!
・・・クソ、痛い出費やで。3連続負けや。屈辱や、これ以上無い屈辱や。もう財布がすっからかんやで。
しかもおやつの時間やから帰るやと?ワシとの勝負よりおやつかいな。あのガキンチョめ。
あの顔・・・覚えたで。いつか勝ってみせるからな。
くそ、腹いせにお前らを虐めたるわ。早速、今日のレクチャー始めるで!覚悟せーや!
もくじ
消化管出血(gastroinstestinal bleeding)とは
消化管出血の概要
ほんとにこの流れでレクチャー始めるんですか?
やるで。流れっちゅーか、プールだけにな。
ワシ天才!
・・・ってな訳で今日は消化管出血や。
消化管出血は、上部消化管出血と下部消化管出血に分かれるで。これを分けるのは何か?
そうや、トライツ(treitz)靱帯や。トライツ靱帯より口側を上部消化管出血、肛門側の出血を下部消化管出血と呼んどるんや。ちなみにこれらは臨床症状からある程度の出血部位が絞れるで。割合的には上部消化管出血の方が多いな。消化管出血の70~80%が上部消化管からの出血や。
臨床症状 | 原因 | |
---|---|---|
上部消化管出血 | コーヒー様残渣 吐血 | 潰瘍、びらん、静脈瘤 Mallory-Weiss症候群 など |
下部消化管出血 | 下血 血便 | 憩室からの出血、血管形成異常、腫瘍、炎症 など |
![胆管膵解剖](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-89.png)
Mallory-Weiss症候群
ちなみにMallory-Weiss症候群は、嘔吐を繰り返す事で食道に圧力が加わって食道胃接合部付近の粘膜に裂傷が起きる状態や。鮮血なのが特徴やで。
![Mallory-Weiss症候群 十二指腸潰瘍](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-90.png)
他にもOGIB(obscure gastrointestinal bleeding)と呼ばれるものもあるで。これは各種検査をしても出血の原因が特定出来なかった消化管出血の事を言うんや。消化管出血の5%程度を占めると言われとる。
消化管出血の原因
出血原因は上部消化管やと、潰瘍やびらんが最多(55~74%)で、次に静脈瘤(10%程度)やMallory-Weiss症候群(5%程度)なんかが続くで。下部と比較して出血量が多い傾向があるわ。ひどいとショックにまでなるパターンもあるからな。
続いて下部消化管出血の原因やけど、憩室からの出血、血管形成異常、腫瘍、炎症性疾患なんかや。これらは高齢者に多いというデータもあるな。
臨床症状
臨床症状は、コーヒー様残渣、吐血、下血、血便なんかや。血便は出血の部位や量で変化するで。出血量が多かったり直腸に近いと鮮血便になんねん。あまりにも出血が多いと貧血のような症状を認めて、それがきっかけで発見される事もあるで。
治療法について
治療法は上部下部両方とも止血も出来る事から内視鏡が第1選択になるんやけど、前処置や設備等の関係もあってすぐに出来ひん事もある。その時は出血源特定のためにCTが撮影される事が多いんや。造影検査をするとextravasationを認める事があるからより診断しやすくなるな。
この時、単純検査は省略したらアカンで。本当にextravasationかどうか比較検討出来んくなるからな。
画像所見
消化管出血の画像所見
さて次に画像所見についてや。
消化管出血のCT所見は、出血があれば高吸収域として認める事が出来るで。これは他の出血の時と同じやな。他にも凝血塊を認める事もある。また造影検査を行っててextravasationを認めれば、出血源を特定出来るで。Extravasationは発症からCT検査までの時間が短いほど、撮影時の血圧が低いほど抽出される頻度が高いことが知られているわ。
動脈相と平衡相で造影剤の形態が変化しないパターンは、仮性動脈瘤(pseudoaneurysm)で、容易にextravasationに移行しうる状態と言われとるな。他には消化管の壁肥厚や造影効果から炎症性や腫瘍性などの出血原因が特定出来る事もあるで。
実際の症例
実際の画像や。右結腸に出血を認める事が出来ると思うで。Extravasationの所見や。
![腹部CT 右結腸出血](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-91.png)
別の症例や。こっちは左結腸に出血源を認める事が出来ると思うで。
![腹部CT 左結腸出血](https://radiologyvillage.com/wp-content/uploads/2023/09/image-92.png)
鑑別診断のポイント
鑑別診断について
鑑別診断のポイントは特に無いな。下部消化管出血は間欠的に出血して、自然止血する事もあるからCT検査時に活動性出血が無ければ、出血源の特定が難しい事があるわ。後は大腸憩室が高吸収を示した時に、それを出血と間違わないようにする事くらいやな。
クソ、さっきからあの小さいガキンチョがワシの事を挑発してきよるわ。おやつタイム終わったんやな。待っとれや。このレクチャー終わったらボコボコに負かしたるからな!
まとめ
今日は炎天下のプールの際という最高のロケーションの中で消化管出血についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。
造影CTでのextarvasationを見逃さないようにする(単純検査も必要)
憩室などの高吸収部位を出血と間違えないようにする
これやな。単純検査だけやと出血の活動性が高いやつは高吸収を示す事があんねんけど、微妙な出血は分からん事も多いねん。せやから造影検査までやることをオススメするで。上部消化管は内視鏡検査がファーストチョイスやから、検査と止血も出来て早く治療出来るで。
何にせよ出血と原因を画像上で見逃さない事が大切やで。
さて、ガキンチョ、再戦や。今度は負けへんで!大人の力ちゅーのを見せてやるわ!こちとら競泳様の水着を買うてきたからな。準備万端や!
大人げない・・・しかもまた負けてるし。
なんで勝てへんねん!くそ、今回はワシに向けて言うで。
ほな、精進しいやー!