痛たた・・・放屁で体が浮くとか、ちょっとやりすぎたわ。
えっ?
もくじ
腎梗塞(renal arterial infaction)とは
腎梗塞の概要
なんや、聞いてたんか。盗み聞きとか変態の極みやん。
さて、レクチャー始めるわ。今日は腎梗塞についてや。
腎梗塞の概要
まず腎梗塞ってのはどんな病態か分かるか?おおよそ次のような状態の事を指すで。
- 片側性、あるいは両側性に何らかの原因で血管(腎動脈)が塞栓して、腎臓が虚血、壊死に至る事
- 急性腎梗塞と慢性腎梗塞があり、急性は血栓等で梗塞した状態
- 慢性腎不全は徐々に狭窄から梗塞に至るケースで、自覚症状が無い事も多い
- 急性腎梗塞の場合は腹痛(背部痛)を伴う事もあり、急性腹症の原因にもなる事がある
- 腎機能が低下する事で尿の濃縮率が低下し、多尿や頻尿といった症状が出てきたりする
- さらに進行すると尿量が低下して水分が対外に排出されずにむくみ等の症状が出てくる
- 血尿を伴う事もあり、尿管結石と紛らわしい事もしばしばある
- 60代以降に多く、やや男性に多い
- 原因には塞栓性と血栓性がある
ざっとこんな感じやな。
尿量が低下するって事は、体外に排出されるべきやった不溶物が体内に残ってまうって事でもあるんや。
その場合は当然、透析になるという選択肢も出てくるで。
腎梗塞の原因
塞栓性と血栓性、医原性
腎梗塞の原因としては上で話した通り、塞栓性、血栓性、医原性の3つがあるで。
内訳的には塞栓性(心疾患関連)が9割を占めてて、基礎疾患に心房細動、心弁膜疾患、心膜炎がある事が多いな。
心房細動(AF)で血栓が飛んで梗塞するパターンが最多やで。
一方で血栓性の場合は、動脈硬化なんかで発生する事が多いな。つまり慢性の方は生活習慣病が多いに関係してるって事や。
他には医原性による梗塞のパターンもあるで。
どのパターンに言える事なんやけど、どこのレベルの腎動脈が閉塞するかで梗塞範囲が変わってくるで。
腎動脈本管が塞栓すれば腎臓全体が虚血状態になるし、1次分岐以降の血管が塞栓すると、そこに該当した部分的梗塞になんねん。
部分的梗塞に伴う動脈攣縮
マメ知識として知っておいて欲しいのは、部分的梗塞の場合でも動脈攣縮を起こして腎臓全体が虚血状態になる事があるって事や。
つまり本管が閉塞していないのに、腎臓全体が梗塞する場合があるんや。
とは言っても、この辺りは画像診断上では中々見分けがつかん事も多いんやけどな。
そういう事もあるって覚えときや。
臨床症状と治療法
臨床症状
臨床症状は腹痛や、吐き気、血尿なんかや。
これらは特異的な臨床症状やあらへんくて、特に一側性背部痛の場合はまず尿管結石が疑われる事が多いで。
治療法
治療法は症状の程度によって違うで。
発症から数時間の早い段階(発症から6時間程度まで)やと、カテーテルで血栓溶解術や血栓除去術が有効や。
なるべく早く血流を回復させんねん。ただ腎機能が完全に回復する事は少ないとも言われとる。
慢性の場合はステント挿入や経皮的血管形成術(PTA)が実行されるとの事や。
画像所見
腎梗塞の画像所見
腎梗塞の画像所見については、正直、造影やないと分からん事が多いで。
単純検査で軽度の腎腫大や腎筋膜肥厚を認める事があるけども、所見が微妙な事も多いし、そもそも全例で認める訳でもあらへん。
一方で造影すれば、塞栓が生じた領域が欠損像として描出できるから有用や。
他に腎梗塞に特徴的な所見として、cortical rim enhancementがあるで。
覚えてるか?cortical rim enhancement。腎盂腎炎~腎膿瘍の回でやったで。
cortical rim enhancementとは側副血行による梗塞部皮質の造影効果を認める事を言うんやけど、画像上やとうっすらと欠損部の外周が帯状に造影される事があるんや。
割合的には腎梗塞患者の50%くらいに見られると言われとるな。ただ微妙な所見である事も事実や。
- 腎腫大や腎筋膜肥厚
- 造影欠損像
- cortical rim enhancement
このあたりが腎梗塞で覚えておくべき画像所見やな。
関連疾患としては、腎炎関係があるで。
実際の症例
さて、実際の画像や。40代の女性で左腎の梗塞や。AMLの直下に梗塞巣を認めるで。
経過としては、AMLの治療のために塞栓術を実施して、その合併症として腎梗塞を起こした例や。
このように梗塞範囲が造影欠損領域として描出されんねん。
cortical rim sign
cortical rim signの例も載せておくで。
ただcortical rim signは微妙な事が少なくないんや。せやから、あまりこの所見に固執せんでもええかもしれん。
体感的にはほとんど認める事が無いってレベルや。
鑑別診断のポイント
急性腎盂腎炎や尿管結石など
鑑別診断として、急性腎盂腎炎や尿管結石やな。他には腎腫瘍なんかも鑑別診断の対象になるな。
これらとの鑑別はcortical rim enhancementがあるんやけど、このサインを呈さない腎梗塞もあるから、これだけに頼るのは危ないで。
血液検査や病歴なんかも参考にする事が必要や。
心疾患既往を有する急性腹症の場合は、腎梗塞も鑑別に入れる可能性があるって事を覚えておいてくれや。
まとめ
今日は腎梗塞についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
原因は心房細動(AF)による血栓によるものが最多
造影パターンによって腎盂腎炎やAFBNと鑑別をする
臨床症状から尿管結石と紛らわしい事がある
cortical rim enhancementは出現する割合は50%くらいやけど、腎梗塞に特徴的な所見と言われとるから覚えておくようにな。
梗塞の原因として心血管疾患と関係する事が多いのも頭に入れておくんやで。
先生、放屁で空中浮揚の件が気になって・・・
さて、今日はこんな感じにしよかな。
ほな、精進しいやー!