子宮筋腫赤色変性(uterine leiomyoma with red degeneration)

あいたた・・・下腹部が痛い。生理痛かもしれん。仕事ができひんわー。

あんた、男でしょ。

子宮筋腫赤色変性(uterine leiomyoma with red degeneration)とは

子宮筋腫赤色変性の概要

ふん、ちょっと言ってみただけやがな。まったく・・・

さて、今日は子宮筋腫赤色変性や。これも急性腹症の1つやで。

子宮筋腫赤色変性やけど、これは子宮筋腫がメチャ関係してくんねん。

子宮筋腫は子宮の平滑筋に出来る良性腫瘍でエストロゲンによって増大すんねんけど、あまりにも大きくなると血液供給が追い付かずに変性する事があんねん。

種類としてはヒアリン変性や粘液水腫様変性、石灰化変性、嚢胞変性、脂肪変性、赤色変性なんかや。

この中で赤色変性は急性腹症の原因になったりするで。

子宮筋腫赤色変性

赤色変性は子宮筋腫が静脈閉塞をおこして出血性梗塞が起きた状態の事やねんけど、基本的に妊娠中に起きる事が多いと言われてんねん。

頻度としては子宮筋腫全体の3%、また妊娠中では8%程度らしいな。

理由は妊娠によって子宮が増大するからとも言われてるんやけど、これの何が問題かというと疼痛は勿論の事、子宮内膜からの感染が合併する事もあって、炎症波及による流産の原因にもなったりするんや。

せやから子宮筋腫持ちで妊娠中に急性腹症様の症状を認めたら、本症例を疑う必要があるんやで。

ちなみに赤色変性は筋腫の表面が暗赤色をするから赤色変性と呼ばれてんねん。

子宮筋腫 種類

臨床症状と治療法

臨床症状は下腹部痛や。筋腫の位置が痛む事が多いで。

他に発熱や炎症反応が上昇したりするな。

治療法は基本的に保存療法やけど、症状が強い場合は外科的治療をする事もあるとの事や。

画像所見

子宮筋腫赤色変性の画像所見

画像所見やけど、上で話した通り筋腫に出血性梗塞の所見を呈するで。CTやと微妙でMRIが有効や。

具体的には、筋腫の辺縁がT2で低信号、T1で高信号、T1脂肪抑制で抑制されない事、造影不良などが特徴的な所見や。

T1-FSで高信号かつ造影されへんって事は、筋腫の静脈閉塞と出血性梗塞を起こしてる状態とも言えるんやで。

出血性梗塞で時間が経過すると、内部腫瘤がT1で高信号になってきたりT2で低信号が出現してくるからその点も知っておくとええで。

子宮筋腫が原因になりうる急性腹症は、子宮筋腫赤色変性と子宮筋腫茎捻転ですね。他にありますか?

おおよそその2つかな。急性腹症と一言で言っても色々な原因があるから、子宮筋腫というくくりだけで考えてもダメやで。

あくまで色んな可能性を考慮して画像を見る事が大切や。

実際の症例

実際の画像を見ていこか。

40代女性で腹痛精査や。子宮頚部に15mm大の腫瘤病変を認めるで。

骨盤MRI 子宮筋腫赤色変性
左上段からT2WI、T1WI、T2FS、下段左からT1FS、DWI、CE

鑑別診断のポイント

鑑別診断について

鑑別やけどT1で高信号な子宮筋腫で、脂肪平滑筋腫があるねん。

これは脂肪抑制画像で信号が低下するから、それで鑑別が可能やで。

他の鑑別疾患は、肉腫や子宮筋腫茎捻転なんかやな。肉腫も造影の有無で鑑別が可能な事が多いで。

こう見ると造影した方が鑑別に有効な事が多いですね。

せやな。でも一概に単純<造影という事でも無いんやで。

これは臨床のDrと放射線科と意見が分かれるところや。勿論、情報量としては造影した方が多いのは間違い無いんやけどな。

この辺りは追々機会があったら話していくわ。

まとめ

今日は子宮筋腫赤色変性についてレクチャーしたで。ポイントは2つや。

赤色変性は静脈閉塞で起きて、妊娠期間中に多い

T1脂肪抑制で高信号、造影効果無しが鑑別のポイント

こんな感じやな。妊婦や子宮筋腫を持った人の急性腹症は本例を選択肢に入れながら画像をチェックせなアカンで。

基本的に保存療法やけど、ケースによっては外科的治療が必要になる事もあるからな。

ちなみに読影なんてのは小さな事の積み重ねなんや。日々の症例を蓄積していく事が一番の近道やねん。

ただこれは時間が必要や。せやから毎日少しづつでも継続する事が重要やで。

ほな、精進しいやー!