アカン、後頭部痛や。解離かもしれん。
アンギオしましょう!
もくじ
椎骨動脈解離(vertebral artery dissection)とは
椎骨動脈解離の概要
さて、完璧な前振りだった所でレクチャー移るで。
今日は椎骨動脈解離についてや。
椎骨動脈解離は読んでその字の通り、椎骨動脈に解離が起きている状態の事や。これぐらいは分かるやろ。
動脈は内側から内膜、中膜、外膜の3層構造をしているのは知ってるよな?
この中で内膜に何らかの原因で傷がついて、その間に血液が流入している状態やねん。
頭部血管の中で解離するのは、椎骨動脈が1番多いで。
これの何が問題かと言うと、まず解離してる場所は血管壁が薄くなってんねん。
つまり小さなキッカケで破れて出血してしまうって事なんや。脳出血やな。
あとは解離腔が大きいと血管そのものを狭窄してまう事もあんねん。
これは脳梗塞の状態やな。
しかも椎骨動脈が閉塞するからラクナ梗塞とは訳が違うで。心原性梗塞で脳の広い範囲が損傷されるで。
椎骨動脈解離の原因
原因は外力によるものが多いと言われとる。
具体的にはスポーツやったり、マッサージやったり交通事故なんかの外傷や。
交通事故はまだしも、マッサージを受けに行って解離が起きたとか洒落にならんな。
他には高血圧、Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群、あとは突発性で発症する事もあるで。
臨床症状と治療法
臨床症状
好発年齢は若年~中年の男性に多くて、主な初期症状は頭痛や後頭部痛、めまいなどの神経学的症状を示すで。
進行してくると、くも膜下出血や延髄外側症候群(Wallenberg症候群)のような虚血症状を伴う事も多いな。
ちなみにWallenberg症候群ってのは、後下小脳動脈閉塞(PICA)による延髄外側部の障害の事や。
原因の40%が椎骨動脈解離なんやで。
治療法
治療法は解離の程度によって変わってくるで。
軽度やと投薬治療で経過観察をする事もあるし、進行した場合はカテーテルで塞栓術やステント留置をやったりするな。
まずは出血や梗塞せんようにする事が第1や。
軽症の場合やとリモデリングといって自然と修復される事もあるらしいな。
マメ知識として知っておくのもええかもしれん。
画像所見
椎骨動脈解離の画像所見
解離の診断には、真腔と偽腔、およびintimal flapを同定する事や。
Intimal flapは解離した動脈の内側に見える、真腔と偽腔を隔てる隔壁の事やで。
通常はMRIが撮影される事が多いんやけど、MRIでも解離腔が血栓化してないと薄いintimal flapの描出は難しい事があるで。
造影MRAの元画が有効な事も多いな。
あとはMRAで椎骨動脈が抽出不良の時にBPASを撮影しておくと、先天性の椎骨動脈低形成なのか、解離や狭窄なのかの判断が出来る事があるんや。
読影医の立場からすると、BPAS撮影しておいて欲しいなと思った時にちゃんと撮影してあると、「コイツ、分かっとるな」って思う訳よ。
照れますね。
ん?
実際の症例
実際の画像や。
40代男性で左後頚部痛の精査や。両側のVAがV2~V3レベルで解離しているのが分かると思うで。
50代男性や。Intimal flapを認めるのと、MRAで狭窄部位を認める箇所にBPASでは異常を認めてへんやろ。
MRAの方が実際の血流に近い画像やねん。BPASは血管の外形を見るイメージや。
つまり血管はあるけど、解離かなんかで血流があらへん部位って事やな。
これも解離診断には有効な検査シーケンスやで。
鑑別診断のポイント
椎骨動脈解離が起きる部位
鑑別診断のポイントやけど、別の疾患との鑑別というよりはどのタイプの椎骨動脈かの鑑別が必要やな。
頭蓋内なのか頭蓋外なのか、MRAのMIPで椎骨動脈の抽出不良があったら、先天性の低形成なのか、解離によるものなのか等や。
頭蓋内の解離でくも膜下出血を起こした場合は、24時間以内に再出血を起こす事が多いのは知っておいてもええと思うで。
再出血の頻度は15~70%と幅があるんやけど、これは予後が悪くなるヤツや。
まとめ
今日のまとめや。椎骨動脈解離のポイントは2つや。
主な初期臨床症状は後頚部痛で、原因は外力によるものが多い
画像所見では、intimal flapの同定が重要
こんな感じや。解離の部位によって症状が違ってくるで。
頭蓋内に解離がある時は出血や虚血で、頭蓋外の時は虚血やで。
後頭部痛で精査に来た人がいた時は、椎骨動脈解離が無いかどうかを確認しながら検査してみてーや。
ほな、精進しいやー!