やってもうた・・・
今度は何をやらかしたんですか?
「部長」って書かなアカンとこを、「武将」と書いてメールを送ってもうたんよ・・・
傷心の桑さんを、なぐさめてや。
もくじ
外傷性くも膜下出血(traumatic subarachnoid hemorrhage)とは
外傷性くも膜下出血の概要
御意!畏まり候!
さっそくイジんなや!
ったく・・・どこでそんなスキル身につけたんや。
さて、気を取り直して、今日は外傷性くも膜下出血についてや。
外傷性くも膜下出血は、読んで字の通り頭部外傷が原因でくも膜下出血が起きた状態や。
頭部の挫創や皮下出血と共に、くも膜下出血があると外傷性の可能性ありやで。
頭部について簡単な解剖を話しておくと、外側から皮膚、頭蓋骨、髄膜(硬膜、くも膜、くも膜下腔、軟膜)、脳の順に構成されてんねん。
このくも膜下腔に出血が起きるんやけど、出血によって脳が虚血状態になったり、血種で脳幹が圧迫されたりすると、生命の維持にも関係してくる危険な状態なんや。

くも膜下出血は別の脳出血でも話してるから、そっちも参考にしてみてな。
外傷性くも膜下出血の原因
外傷性くも膜下出血の原因としては、転倒や高エネルギー外傷による外傷性血管損傷なんかがあるで。
この外傷性血管損傷には次の2つがあんねん。
- 動脈解離
- 仮性動脈瘤
外傷性動脈解離は椎骨動脈に多くて、頭蓋骨骨折も伴う事が多いらしいな。
仮性動脈瘤の発生部位は外傷機転と関係してて、頭蓋底骨折やと内頚動脈や脳底動脈に、鈍的動脈損傷の場合は、それより末梢で瘤を認める事が多いんや。
また一言で外傷性くも膜下出血と言っても、架橋静脈の破綻のみの場合は予後良好な事が多くて、むしろ脳挫傷や脳損傷を伴っているかどうかが予後に関係する事が多いで。ちなみに架橋静脈ってのは、脳表にある静脈の事や。覚えとき。
他の特徴として外傷性くも膜下出血は、出血源が分からへん事も多くて、出血量も少ない傾向にあるらしいな。
もちろん程度にもよるんやろうけどな。
臨床症状と治療法
臨床症状は頭痛が多いな。脳挫傷を合併してると運動麻痺や言語障害が出てきたりするで。
治療法は出血量が少ない場合は保存療法になる事が多いとの事や。
出血量が多い場合は脳血管攣縮という一過性の血管収縮になる事もあるから、それの治療も並行して行うとの事や。
- 外傷性くも膜下出血のまとめ
- 外傷による血管損傷(動脈解離、仮性動脈瘤など)によるもの
- 動脈瘤破裂の場合と比較して、出血量が少ない傾向がある
- 出血源を判明させるのは難しい事が多い
- 架橋静脈破綻のみの場合は予後良好
- 出血量が少ない場合は基本的に保存療法
画像所見
外傷性くも膜下出血の画像所見
続いて画像所見やけども、基本的に頭部の時にやったくも膜下出血と同じや。
CT画像で脳溝や脳脊髄腔に高吸収を認めるで。同時に脳挫傷なんかもチェックやで。予後に関係してくるからな。
他の特徴としては、くも膜下出血が微量だった場合は発症後数日で洗い出されて、高吸収域が無くなる事もあるで。
後ほど交通性水頭症を来す事もあるから、定期的に画像診断によるフォローが必要や。
実際の症例
実際の症例や。
くも膜下腔に高吸収域を認める事ができると思う。左前頭葉にの皮下に血種も認めるな。おそらくここが受傷部位や。

鑑別診断のポイント
鑑別診断について
さて鑑別診断やけど、これは非外傷性くも膜下出血があるで。
鑑別が難しいのが、脳動脈瘤が破裂によるくも膜下出血で転倒したパターンや。
外傷前にくも膜下出血が起きたのか、外傷後のくも膜下出血なのかで判断が難しい事があんねん。
鑑別所見は、外傷性くも膜下出血は外傷部位かもしくは外傷部位と反対側に出血を認める事が多いんやけど、動脈瘤破裂によるくも膜下出血の好発部位はシルビウス裂や鞍上槽に出血を認める傾向があるで。
他に、高度な脳浮腫が原因で脳溝の血管が高信号になる事があって、これが(外傷性)くも膜下出血との鑑別が問題になるケースがあるで。
これをpseudo-subarachnoid hemorrhageと呼んでるわ。
まとめ
今日は外傷性くも膜下出血をレクチャーしたで。ポイントは2つやな。
外傷性か動脈瘤破裂によるものかの鑑別を要するときがある
基本的に画像所見は動脈瘤破裂の時と同じ(ただ出血量が少なく所見が微細な事も多い)
頭部外傷は、くも膜下出血だけじゃなく、硬膜下血種、硬膜外血種、脳挫傷なんかも確認せなアカン。
所見を一つ見つけて満足したらアカンで。実は、もっと重大な所見が隠れてる事もあるからな。
あい、承知仕った!
イジった?
イジってへん!
ウソや!もう今日は終わりにするで。
ほな、精進しいやー!