急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫(acute subdural hematoma、acute epidural hematoma)

なぁ、自分らの時って部活動はどんな感じやったん?

バリバリの体育会系でした・・・

やっぱその年代か・・・今考えると理不尽の塊やったな・・・

急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫(acute subdural hematoma、acute epidural hematoma)とは

急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫の概要

アカン、少しノスタルジックになってもうたわ。

早速今日のレクチャーにいこか。

今日は硬膜下、硬膜外血腫や。これも外傷シリーズの1つやで。

これらはどちらも外傷が主な原因というのは一緒やねんけど、出血が硬膜の中か外かの違いや。

それぞれに特徴的な所見もあるから順に説明していくで。

まずは概要からや。

急性硬膜下血腫は、硬膜とくも膜の間に血腫が出来る病態や。

一方の急性硬膜外血腫は頭蓋骨内板と硬膜の間に血腫が出来る病態や。

簡単に言うと、硬膜を基準にして骨側に血腫が出来れば硬膜外血腫、脳側に血腫が出来れば硬膜下血腫という事やな。

頭蓋骨の縫合線を越えて広がってるかも鑑別の参考になるで。

硬膜外血種は縫合線を越えないんや。

硬膜下血腫が起きる仕組み

急性硬膜下血腫

急性硬膜下血腫について話していくで。

急性硬膜下血腫の特徴として、基本的に外傷が原因の事が多いな。外傷による脳挫傷が起きて、そこからの出血すんねん。

血腫が出来る場所は前頭葉付近に多いんやけど、中頭蓋窩、大脳半球縦裂、小脳テントにも出来るで。

ちなみに血腫は受傷側だけやなく反対側にも所見があったりするで。

これは衝撃によって脳が揺れたりしてその反動で逆側もダメージを受ける事が原因やねん。

車で急ブレーキかけて止まった時に反動で体が元に戻るやん。それと同じような事が頭蓋内で起きてるんや。

受傷側をcoup injury、反対側をcontrecoup injuryと呼んだりするで。

これは別の機会に脳挫傷の回に詳しく取り扱おうと思うてる。

急性硬膜下血腫の臨床症状

受傷直後の意識清明期は認めない事が多くて、受傷直後から意識障害がある場合が多いとの事や。

他に脳挫傷や脳浮腫を合併してると予後が悪くなるで。

ちなみに意識清明期ってのは、受傷直後に一見元気に見える期間の事や。

元気な期間はおおよそ数時間の事が多いんやけど、この間も出血は続いているから次第に状態が悪くなっていくねん。

治療法

治療法は開頭しての血腫除去と止血や。急性硬膜下血腫の予後は意識障害の有無と相関があると言われとる。

もちろん意識障害がある方が予後が悪いで。

急性硬膜外血腫

次は硬膜外血腫や。

これも高エネルギー外傷によるものが多いで。硬膜外血腫は中硬膜動脈の破綻が原因になる事がほどんどや。

その割合は80%程度とも言われとる。ほとんどが中硬膜動脈の破綻やな。

ちなみに中硬膜動脈は外頚動脈の枝の1つで、中硬膜動脈は硬膜と頭蓋骨の間を走ってるで。

硬膜外血種は約90%で頭蓋骨骨折も伴うねん。

他に乳幼児は頭蓋骨が柔らかくて、血管溝が浅いために硬膜動脈の損傷が少ないのと、高齢者は頭蓋骨と硬膜が密に接してる事が多くて、硬膜外血腫を生じにくいというデータもあんねん。

急性硬膜外血腫の臨床症状

受傷直後の意識清明期は半数に認められるで。

この意識清明期を認めるのが硬膜外血腫の特徴や。

中には24時間経過後に症状が出始めるケースもあるらしいな。出血の量や程度によるで。

もちろん重症例やと意識清明期が無くて意識障害になるパターンもあるで。

治療法

治療については、出血量が少なくて特に自覚症状を認めへん場合は保存的療法になる事が多いらしいな。

重症例やと血腫の除去と止血目的に開頭手術をするで。

硬膜外血腫 硬膜下血腫
Case courtesy of Matt Skalski, Radiopaedia.org

画像所見

急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫の画像所見

次にそれぞれの画像所見についてや。

硬膜下血腫の場合は、三日月型の高吸収域を認める事が多いんやけど、凸レンズ型を認める事もある。

一方の硬膜外血腫は凸レンズ型の高吸収域や。

これは血腫の広がり方に関係しているんやけど、凸レンズ型は両方に認められるから高吸収域の形だけで判断するのはアカンで。

今まで血腫の形で判断してました。凸レンズ型は両方にもあるパターンなんですね。

形に加えて、骨折線があるかどうかや縫合線を参考にしてみるとええで。

急性硬膜外血腫は縫合線を超えへんねん。

ちなみに縫合線には次のようなものがあるで。

頭部 骨 解剖
・冠状縫合:前頭骨と頭頂骨のつなぎ目
・矢状縫合:左右の頭頂骨のつなぎ目
・ラムダ(人字)縫合:頭頂骨と後頭骨のつなぎ目
画像所見骨折の有無損傷血管意識清明期縫合線
急性硬膜下血腫三日月状の高吸収域
凸レンズ状の高吸収域
低頻度架橋静脈なし超える
急性硬膜外血腫凸レンズ状の高吸収域高頻度中硬膜動脈などあり超えない

実際の症例

実際の画像や。

急性硬膜下血腫の症例や。両側に高吸収域を伴う三日月状の所見を認めるで。

頭部CT画像 硬膜下血腫
Case courtesy of Nina Li, Radiopaedia.org

急性硬膜外血腫の例や。凸レンズ状の高吸収域と該当部位に骨折線も認めるで。

頭部CT画像 頭部骨折 急性硬膜下血腫
Case courtesy of Ian Bickle, Radiopaedia.org

鑑別診断のポイント

各種鑑別診断

鑑別診断やけど、そもそも硬膜外血腫なのか硬膜外血腫なのかがメインで、その見分け方法は述べてきた通りや。

他の特徴を簡単に話しておくと、硬膜下血腫は血腫の広がりスピードは速いで。一方の硬膜外血腫はゆっくりや。

あとは肥厚性硬膜炎や髄膜炎との科別を要する事があるんやけど、上の内容をよく確認しながら見れば、それほど迷う事も無いやろ。

delayed traumatic intracranial hematoma:DTICH

ちなみに、ゆっくり繋がりで遅発性外傷性脳内血腫(delayed traumatic intracranial hematoma:DTICH)というのがあるで。

これは受傷後の数時間から数日後に血腫が出現する事や。

受傷直後から48時間後に最も発生頻度が高いと言われているで。

早めに見つかれば予後の改善に繋がるから、DTICHを疑う場合は6~24時間後にフォローのCTを撮影する事が望ましいとされとる。

遅発性に出てくる血腫もあるんですね。

せや。やから交通外傷なんかやと落ち着くまで定期的にフォローする必要があんねん。

まとめ

今日は急性硬膜下血腫と急性硬膜外血腫についてレクチャーしたで。ポイントは以下や。表にしといたで。

病態特徴画像所見
硬膜下血腫硬膜からみて脳側に血腫が出来る事脳挫傷を伴う事が多い
頭蓋骨の縫合線を越える
意識清明期は半数で認める
coupとcontrecoup
三日月型の高吸収域
凸レンズ型もあり
硬膜外血腫硬膜からみて頭蓋骨側に血腫が出来る事骨折を伴う事が多い
頭蓋骨の縫合線を越えない
意識清明期は無い事が多い
凸レンズ型の高吸収域

上の表をあと1時間で1字1句まで完璧に暗記せぇ。ええか、これは先輩命令や。1文字も間違えたらアカンで。合格するまでは飲食禁止や!

1回間違えると足つぼマッサージ10分間のペナルティが入るで。3回間違えたら膀胱内に尿をMAXまで溜めて膀胱ツンツン50回の刑や。

ええか、いますぐやれ。Noという回答はあらへんで。

理不尽・・・

Hahaha!精進しいやー!