「人は変化に抵抗するのではなく、変化を強要される事に抵抗するのである」
・・・深い
もくじ
顔面骨折(facial fracture)とは
顔面骨折の概要
ほなさっそく今日のレクチャーを始めていくで。
今日は顔面骨折についてや。
一言で顔面骨折といっても多くの種類があるから、今日はLe Fort分類と眼窩吹き抜け骨折を話していくで。
まずはこの2つについて聞いた事があるかどうかや。
聞いた事はあります。時に眼窩吹き抜け骨折は当直の時にたまに出てくる病名ですね。
この2つと三脚骨折は、前方からの鈍的外力が眼窩や顔面頭蓋に加わった結果、骨折を来している状態の事を指すねん。
骨折する場所によって眼窩吹き抜け骨折や、三脚骨折、Le Fort骨折なんかに分類されるで。
Le Fort骨折
まずは、Le Fort骨折からや。これは顔面頭蓋が神経頭蓋から外れる骨折の事を言うねん。顔面中央部骨折とも呼ばれとるで。
古典的にはⅠ型からⅢ型まであるで。一応、教科書的に話すと下記の通りや。
顔面骨骨折 | 病態 | 備考 |
---|---|---|
Le Fort Ⅰ型 | 両側の骨折線が梨状口の下部(硬口蓋の上)、 犬歯窩、上顎洞の前壁を通り、翼口蓋窩から 蝶形骨翼状突起の下部に達する上顎の横断骨折。 | 外科的治療は咬合の回復 |
Le Fort Ⅱ型 | 鼻骨を横断し上顎骨前頭突起、涙骨、眼窩下縁に 及び眼窩底の下眼窩裂から頬骨上顎縫合に至る骨折で、 後方は上顎骨外壁から翼口蓋窩に至る。 | ピラミッド型骨折 |
Le Fort Ⅲ型 | 骨折線が鼻骨を横断し、眼窩後壁を経て下眼窩裂、 頬骨の前頭突起を通り後方へ向かい、上顎骨と蝶形骨まで達する。 顔面骨が頭蓋底と分離する。 | 気道狭窄の原因となる咽頭後血腫を合併することがある |
まぁ簡単に言うと、Le Fort Ⅰ型は上顎下部を水平に骨折した状態、Le Fort Ⅱ型は上顎を鼻骨含めピラミッド型に骨折した状態、Le Fort Ⅲ型は眼窩付近から骨折して頭蓋骨と顔面骨が分離した状態や。
単独の骨折の場合もあれば、片側のみの場合、複合的な骨折もあるで。
眼窩吹き抜け骨折
次に眼窩吹き抜け骨折やけど、外傷などで圧力がかかった結果、眼窩内側壁や眼窩下壁の外側に向けて骨折した状態の事を言うねん。
眼窩底部型と内側型、混合型の3つに分類されるで。
複視や眼球陥没などが主な症状や。CTなんかをよく観察すると、外側に骨折して、そこから脂肪組織なんかが脱出してるのが確認出来るで。
あと眼窩底部型の診断にはコロナルが必須や。
眼窩底部骨折は通常2週間以内に手術される事が多いらしいねんけど、小児の場合は1週間で手術するケースもあるとの事や。
早期の症状改善が期待されるらしいで。
画像所見
顔面骨折の画像所見
次に画像所見についてやな。Le Fort型骨折については上で話した通りや。
骨折してるとこによって分類されるで。画像所見自体はエピソードと身体情報を元に読影すればそう難しい事も無いやろ。
骨条件で読影するのも基本やしな。あとは3Dを作ると立体的で分かりやすいで。微細な骨折はマスクされる事があるから注意やな。
さっきも言ったけど、眼窩吹き抜け骨折が疑われた時は冠状断も確認するんやで。
冠状断で見る事で眼窩内容物の逸脱が分かんねん。
外眼筋が骨折で絞扼してる場合は早めに解放する必要があるから、良く見ておいてな。
実際の症例
実際の画像や。
Le Fort Ⅰ型
Le Fort Ⅱ型
Le Fort Ⅲ型
次に眼窩底部骨折の例や。眼窩内側壁の骨折を認めるで。
鑑別診断のポイント
他の顔面骨折
さて鑑別診断やけど、今回の2症例の他にも顔面骨折は多くあんねん。
眼窩周囲だけでも三脚骨折、これは頬骨隆起が転位、陥没する骨折やし、視神経管骨折、これは眼窩上外側縁の骨折で視神経管の損傷や骨折を来す病態やし、これ以外にも鼻骨骨折なんかもあるで。
鼻骨骨折には鞍鼻型と斜鼻型があんねんで。
全部解説するとキリが無いから2症例以外は簡単に説明するだけになるけど、どこかのタイミングで詳しく話せたらええなと思とるわ。
せめて言葉となんとなくのイメージだけでも思い描いておいてや。
まとめ
今日は顔面骨折の中でLe Fort分類骨折と眼窩吹き抜け骨折をやったで。ポイントは1つだけや。
横断像だけじゃなく冠状断像、3Dも確認する!
特に眼窩吹き抜け骨折は、冠状断像を確認せんと眼窩内容物の逸脱の有無が分からへんで。
気をつけーや。
ほな、精進しいやー!