うっさい、黙れハゲ!
まだ何も言ってへんやん。禿てへんし。発言がドギツイで。
もくじ
肺挫傷(pulmonary contusion)と大動脈損傷(aortic injury)
肺挫傷と大動脈損傷の概要
肺挫傷
なんやねん、姉貴め。まぁええわ、気分を変えていくで。
今日は肺挫傷について話していこかな。はい、若造くん!肺挫傷とはどんな状態の事を言うか言ってみぃ!
肺が外傷など何らかのダメージを受ける事で、肺実質が損傷を受ける事により生じた状態です。
さらに言うと、この時の外傷というのは交通事故などの高エネルギー外傷の事が多いですね。
肺挫傷は鈍的胸部外傷患者の最大70%に見られる所見です。そして損傷とはダメージにより肺胞や毛細血管が断裂して血液や血腫などが溜まっている状態の事を言います。軽度の肺挫傷であれば気がつかない事も多く、通常は受傷1週間程度で自然に回復していきます。
また、一部で陰影の増悪がある場合は肺炎や、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)を考慮する必要があります。
一方で重症のケースは、肋骨骨折や外傷性気胸、血胸、肺損傷などを併発している事も多いです。特に肋骨骨折を伴っている事が多く、複数箇所の骨折もめずらしくありません。
この時、胸郭動揺(flail chest:息を吸うと胸が凹み、、吐くと膨らむ現象)があると重症になります。
気胸は気管支や食道が損傷する事で見られます。血胸は大動脈損傷や心損傷が、肺損傷は肺胞構築の連続性が保たれているのを肺挫傷、連続性が途絶しているのを肺裂傷としています。肺裂傷の場合は外傷性嚢胞を生じる事もあります。
お、おお・・・急にどないし・・・
更に詳しい解剖についてはこちらを参照するといいでしょう。
大動脈損傷
さらに、胸部の外傷という点からだと大動脈損傷にも触れておかなければいけません。
大動脈損傷は、交通事故なのどの高エネルギー外傷の時に発生します。現場での致死率が高くおよそ80%程度と言われています。
そして搬送対象になるのが15%程度となっており、仮に搬送対象となっても早急な診断と治療が必要な状態です。
解剖上、上行大動脈、弓部、心臓は可動性がありますが、下行大動脈は胸壁に固定されているので、ここの境界部分、つまり大動脈峡部が損傷の典型的な部位になります。大動脈は内膜、中膜、外膜とありますが、外膜まで裂けると大出血となります。
・・・何があってん?ホンマに今までの自分か?
画像所見
肺挫傷と大動脈損傷の画像所見
ほな、次は画像所見についていってみよか!
まず肺挫傷の画像所見についてですが、末梢優位の非区域性の浸潤影やすりガラス陰影が出現します。
これらは肺炎など、その他の胸部疾患でも見られる所見であり外傷の有無が重要です。肺挫傷は外圧がかかった部位に損傷が起きますが、反対側にもcontrecoup injuryとして出る事もありますので、その点は読影時点で考慮すべきでしょう。
また、そもそもすでに肺炎や間質性肺炎に罹患している人は鑑別が難しい事があります。これは事項の鑑別診断のポイントの項目でも述べていきます。
重症例では先に述べた通り、肋骨骨折や外傷性気胸、血胸、肺損傷を伴っている事が多いため、CT検査時に肺野だけでなくその他の部位も確認する事が重要です。特に肺損傷は肺皮膜損傷を伴うと気胸や血胸の原因にもなります。
100点や!
次に胸部大動脈損傷についてでです。
これは単純X線写真上で、8㎝以上の上縦隔の拡大や大動脈弓の不鮮明化、大動脈と左肺動脈の透亮像の消失などの所見があります。
これらから大動脈損傷が疑われた場合は造影CTで精査する流れになり、CT画像では単純CTで新鮮出血の有無を確認し造影CTでは大動脈峡部に仮性瘤があるかどうかを確認します。この時、大動脈が造影されるタイミングを外さないように検査するのが重要です。
ちなみに仮性瘤とは、動脈壁の破綻や損傷で出血しているが、周囲組織や外膜だけなどで覆われている状態の事です。簡単に破裂するので対処が必要です。
120点や!
実際の症例
実際の画像です。肺挫傷の例ですが、左下肺にすりガラス陰影が確認出来ますね。
こちらは大動脈の仮性瘤の症例です。下行大動脈(大動脈峡部)に仮性瘤を認める事が出来ると思います。
鑑別診断のポイント
鑑別診断について
最後に鑑別診断についてや。ビシっと絞めるんやで!
肺挫傷の鑑別診断は、肺炎や間質性肺炎が時に問題になりますね。特に高齢者などですでに肺炎などに罹患している人は、それにマスクされてしまう可能性を考慮すべきでしょう。臨床情報が重要なのは言うまでもありません。
肺挫傷は重力非荷重領域かつ、非区域性である事が特徴です。ただ間質性肺炎も同様の所見を見る事があるので注意が必要ですね。
大動脈損傷では主に大動脈瘤との鑑別が必要になりますが、大動脈峡部の内側が損傷の典型部位なので、患者エピソードと合わせて診断すれば大丈夫でしょう。
特にハンドル外傷などの場合は本疾患を念頭において診断する事が必要です。
先生には不要かもしれませんが、もし大動脈峡部も仮性瘤が分からない人はネットで検索しておくと良いでしょう。
・・・アカン、ワシはとんでもないモンスターを育ててしまったのかもしれんな。
まとめ
僭越ですが本日のポイントをまとめさせていただきます。ポイントは2つ。
肺挫傷は患者エピソードを参考に重力非荷重領域かつ、非区域性の浸潤影やすりガラス陰影
大動脈損傷は、患者エピソードと合わせて大動脈峡部の仮性瘤を確認する事
以上になります。
大動脈損傷についてはCTで3DでVR(volume redering)画像を作るのも有効だと思います。ただ大動脈損傷の場合は、現場での死亡率が高いので中々検査まで遭遇するのは稀かもしれません。ただこういう所見だと知っておくのは重要だと考えます。
・・・完璧や。何も言う事ないで。なにがあったん?えらい変わりようやで。
このまま精進しいやー!