なぁ、ちょっと愚痴聞いてくれるか?
はいどうぞ。
ガマ腫ってあるやん?あれって、なんでガマ腫っていうん?
昨日からガマ腫って何でガマ腫っていうのかなって考えてたら、ガマ腫のゲシュタルト崩壊が起きてん。
っていうかガマ腫って何でガマだけカタカナなん?我間じゃダメなん?
そこからはもう迷子や。ガ迷子や。
そんなこんなで朝になってもーてん。だから今日は徹夜やねんガマ!
もくじ
舌癌(tongue cancer)とは
舌癌の概要
さて、ガマ腫は口腔内に出来るという事で、今日は舌癌についてや。
まず、舌癌とは?というところからや。
そもそも舌癌は口腔癌の中の1つやねん。口腔は、口唇、舌、口腔底、頬粘膜、歯肉、唾液腺などから構成されるんやけど、この中で癌化したものが口腔癌と言われてるんや。
口腔癌は頭頚部癌の中で25%程度の割合を占めてて、その中でも舌癌が最も多いんや。ほとんどが扁平上皮癌なんやで。細胞密度が高くて周囲への浸潤傾向も強いねん。
しかも舌癌は、初診時に3~4割がリンパ節転移があるとまで言われていて、顎下リンパ節、内頸静脈リンパ節が多いんや。
舌根部は中咽頭に含まれるために、この部分に発生した癌は、中咽頭癌に分類されるで。
50代後半から発生確率があがってくるんやけど、~30代までの若い人にも発生して、男女比は2:1で男性に多いねん。
これは喫煙や飲酒なんかの慢性的な化学的刺激の他に、歯並びによる機械的刺激の影響もあると言われとる。
舌の解剖と役割
舌の解剖
次に舌の解剖やな。まぁ解剖といってもそんなに複雑やないから、ここはサラッとで大丈夫やろ。
一言で舌と言っても、舌体(舌可動部)と舌根があるんやで。

頸部リンパ節のレベル
これは頸部リンパ節の解剖や。画像診断の時は頸部リンパ節への転移の有無の診断が重要やから、覚えておくべき内容やな。
特に舌癌の場合は、Level2までの範囲で転移しやすいと言われとる。
ちなみに、レベルⅠ~ⅡとⅢ、Ⅵの境目は舌骨を、ⅢとⅣの境目は輪状軟骨を基準にするとええで。
ⅢとⅤA、ⅣとⅤBの境目は内頸静脈を基準にするんや。

- レベルIは、オトガイ下リンパ節および顎下リンパ節を含む
- レベルIIは、上内頸静脈リンパ節(顎二腹筋の上方)を含む
- レベルIIIは、中内頸静脈リンパ節(肩甲舌骨筋と顎二腹筋の間)を含む
- レベルIVは、下内頸静脈リンパ節を含む
- レベルVは、後頸三角リンパ節を含む
- 咽頭後リンパ節
舌の役割
舌は味覚、咀嚼、嚥下、発声に関係してるで。
舌は筋肉で出来てて動かす事が出来るから、その動きで咀嚼や嚥下、発声の手助けをしてんねん。
この舌の動きがあるおかげで、食べたり喋ったり出来る訳やな。
他に味蕾という器官で味を感じたりもしてるで。ちなみにこの味蕾は10,000個ほどあるとも言われてんねん。中々の数やな。
舌癌の原因と治癒率
舌癌の原因
舌癌の原因は、明確なものは明らかになってへん。
危険因子は喫煙やアルコールのような慢性的な化学刺激をもたらすもの、歯による慢性的な物理刺激なんかや。
つまり刺激による損傷と修復を繰り返す内に癌化した細胞が出てくるって事やな。
ちなみにChatGPT先生はこんな感じで答えてくれるで。もうワシいらんやんって感じやで。

舌癌の治癒率
ちなみに5年生存率についてはこんな感じや。これらは全国がんセンター協議会生存率共同調査(2005~2009)のデータから算出してるで。
やっぱり早期発見になればなるほど5年生存率も高くなるな。
- 舌癌の5年生存率 ⇒ Ⅰ期:94% Ⅱ期:79% III期:59% IV期:45%
舌癌のTNM分類
次に舌癌のTNM分類についてや。表にしといたから確認してみてや。いずれも日本頭頚部学会編「頭頚部癌取り扱い規約第6版」を参考に作成してあるで。
T分類 | T1 | T2 | T3 | T4a | T4b | ||
腫瘍が2cm以下で、深さが5mm以下 | 腫瘍が2cm以下で、深さが5mm以上 または2cm以上4cm以下で深さが10mm以下 | 腫瘍が2cm以上4cm以下で深さが10mm以上、または4cm以上で深さが10mm以下 | 腫瘍が4cm以上で深さが10mm以上、または腫瘍が舌の深部、骨、神経、軟部組織に浸潤している | 腫瘍が喉頭、頸部の大動脈、気管、食道などに浸潤している | |||
N分類 | N0 | N1 | N2a | N2b | N2c | N3a | N3b |
リンパ節転移がない | 片側の首のリンパ節に3cm以下のリンパ節転移が1個ある | 片側の首のリンパ節に3cm以上6cm以下のリンパ節転移が1個ある | 同側の首リンパ節に6cm以下のリンパ節転移が2個以上ある | 異側の首のリンパ節に6cm以下のリンパ節転移がある | 6cm以上の頚部リンパ節転移がある | 臨床的節外浸潤がある | |
M分類 | M0 | M1 | |||||
遠隔転移なし | 遠隔転移あり |
次はステージ分類や。下咽頭癌とほぼ同じやな。
N0 | N1 | N2 | N3 | M1 | |
---|---|---|---|---|---|
T1 | Ⅰ | Ⅲ | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T2 | Ⅱ | Ⅲ | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T3 | Ⅲ | Ⅲ | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T4a | ⅣA | ⅣA | ⅣA | ⅣB | ⅣC |
T4b | ⅣB | ⅣB | ⅣB | ⅣB | ⅣC |
取りあえず、舌癌の概要についてはこんな感じや。
画像所見
舌癌の画像所見
次に画像所見についてやで。
舌癌は周りに歯がある関係で、CTやと金属アーチファクトを生じやすいねん。あまりにもアーチファクトがひどい場合は診断が難しくなる事があるから注意や。
主な画像所見については下記の通りやで。
- CT
- 淡い造影効果を伴う不整形腫瘤を認める
- MRI
- T1強調で低信号、T2強調で高信号、拡散強調で高信号、ADCで低信号、造影効果あり
- 他
- レベルⅠ,Ⅱ領域のリンパ節転移の頻度が高いので注意する
- 金属アーチファクトで評価が難しい場合がある
- FDG-PETでは高集積を示す
実際の症例
ここからは実際の画像やで。50代女性の例や。
生検してSCCが出たために病期診断で検査したんや。
舌の左側に造影効果のある腫瘤を認められると思うで。腫瘍径が45mm、DOI(浸潤深度:depth of invasion)が19mmやから、T3の症例になるな。


こっちも舌癌の症例や。30代で若い人やってん。若い人にも発生する癌なんやで。
拡散強調画像で高信号、ADCで信号低下、造影効果があるのが確認できると思うで。


NCCN(National Comprehensive Cancer Network)によると、腫瘍のDOIが4mm以上の舌癌は予防的頚部郭清が推奨されてて、そのためにMRIでの評価はメチャ重要なんや。
ただ注意点としては、造影後の画像で評価すると炎症効果で過大評価される可能性がある点やな。この辺りも考慮に入れて画像をチェックしてくれや。
後は嚥下などでモーションアーチファクトが出ないように撮影出来るかが腕の見せ所やと思うで。
鑑別診断のポイント
腺様嚢胞癌、ガマ腫など
次に鑑別診断についてや。鑑別診断に挙がるのは、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、舌甲状腺、ガマ腫なんかやな。
各々については、次のような特徴があるで。
鑑別疾患 | 鑑別ポイント |
---|---|
腺様嚢胞癌 | 神経周囲進展が特徴的 |
粘表皮癌 | 充実性、浸潤性腫瘍が特徴的 |
舌甲状腺 | 異所性甲状腺が舌根正中にあり、CTで境界明瞭、高濃度腫瘤が特徴的 |
ガマ腫 | 舌下間隙由来の粘液貯留嚢胞でT2強調で高信号が特徴的 |
ガマ腫の画像もあったから参考までに載せておくでガマ。

頭頚部の他の悪性腫瘍
他の頭頚部の悪性腫瘍や。以下に載せておくから見ておいてーな。
まとめ
今日は舌癌についてレクチャーしたで。ポイントは3つや。
口腔癌の中で1番多いのが舌癌で、ほぼ扁平上皮癌
高い細胞密度で周囲への浸潤傾向も強い(初診時に3割程度でリンパ節転移を認める)
画像診断時には体動や金属アーチファクトが出やすい部位なので、検査時に注意する
こんなとこや。舌癌に関してはステージによって、部分切除、半側切除、亜全摘に分けられんねん。外科的治療後に放射線治療も行う事も多いで。
半側切除や亜全摘は治療後に再建術をする事もあるわ。そのままやと舌の機能が足らへんからな。
悪性腫瘍に限らず他の病気でも早期発見出来れば、肉体的にも金銭的にも負担は全然違うねん。もっと言えば予防医療が大切って事や。ただあまり摂生しすぎて人生楽しくなくなったら元も子もあらへん。そのムダが楽しかったりもするしな。
おっと、もうこんな時間や。ようやくガマのゲシュタルト崩壊も治まってきたし、そろそろ締めにするわ。
ほな、精進しいやー!