物語思考

【概要】

  • 著者:けんすう
  • 発売日:2023年9月6日
  • ページ数:260ページ

本の目次

  • オープニング 「物語思考」とはなにか?
  • ステップ1 頭の枷を外しながら、なりたい状態を考える
  • ステップ2 「キャラ」の作り方
  • ステップ3 「キャラ」に行動させよう
  • ステップ4 キャラが最高に活きる環境を作ろう
  • ステップ5 物語を転がそう
  • エンディング 物語にゴールはない

【結論(1番の訴求ポイント)】

人生はロールプレイングゲーム、何にでもなれる!

今や人生100年時代とまで言われている。調べてみると戦国時代の平均寿命が武士で40歳程度、庶民だと30歳程度らしい。合戦があったりと、環境が違うのはあるにしても倍以上になっている。ではこの長くなった人生で何をするか?

本書は人生をRPG(ロールプレイングゲーム)に見立て、自分をキャラ化する事を提案している。

人が変わりたいのに変われない理由は何か?

それは、失敗した時の他人からの目、すなわち自分を否定されるという恐怖が大きいからだ。

それを回避するためにキャラ化してしまおうと本書は伝えている。キャラ化する事で何度でもやり直しが利くようになる。またRPGは道中に困難があった方が面白い。むしろ必要不可欠でさえある。この理屈なら失敗も1つのイベントとして見る事ができるし、ダメージもそれほどでも無い。これは確かに一理ある。人生はRPGだ。冒険に出よう。

【ポイント】

目標に対してキャラを育てていく

なにかやってみたい目標がある。でも失敗した時が恐くて一歩が踏み出せない。

こんな経験をした事がある人は少なくないだろう。

「最初の一歩が重要、まずは始める事」

色々な本やサイトに記載されている事である。多くの媒体に記載されているという事は、それが本質であるという事でもある。ではその一歩を踏み出すためにはどうしたらいいのだろうか?

本書では目標に対してキャラを育てていく感覚を推奨している。キャラにする事で出来るだけ最初の一歩を簡単にしようという事だ。ドラクエで言うと、まずはスライムを倒す事から始めるのと一緒だ。この最初の1歩さえ踏み出せれば、後は意外と動ける事が多いのだ。

この最初の1歩は何でもいい。本を数ページ読むのでもいいし、なんなら理想をイメージして紙に書き出してみるだけでもいい。そして頭の中で「経験値を〇ゲットした!」と言ってみるのだ。何になりたいかをイメージして、それに関連する事を実際にやってみよう。意外とクセになるかもしれない。

失敗しても大丈夫、キャラなら何度でもやり直せる

RPGをやった事がある人なら分かると思うが、RPGは道中色んな困難が待ち受けている。時には敵にやられてしまう事さえある。しかしこれが醍醐味でもある。経験値を溜めてレベルアップして、ボスが倒せるようになる。こうやってキャラを育ていく。失敗してもやり直せばいい。何回でもチャレンジが可能だ。そう考えると、失敗も楽しさの1つにならないだろうか?

こう考えると、一歩を踏み出す事に対してハードルを感じる事も少なくなるだろう。

本当の自分とは違うキャラを作る

キャラを作るにあたって重要な事、それは本当の自分とは違うキャラを作るという事だ。/span>

冒頭にも書いたが、人は自分を否定されるのが一番堪えるしキツイ。だから1歩が踏み出せないのだが、本当の自分をキャラにしてしまうと、これと同様の事が起きる。つまりせっかくキャラ化した意味が無くなるのだ。

キャラ化するメリットは2つある。

1つめは、本当の自分とは違う自分をプレイ出来る事にある。本当の自分とは違うから、仮に失敗してもやり直す事が出来る。これが大きい。冒険に出てみて、ちょっと違うなと思ったら再度キャラ設定しなおせば良いのだ。

2つめが、キャラを設定する事でダメージを受け流す事が出来るという点だ。冒険に出ると山あり谷ありの困難が待ち受ける。当然ダメージも受ける事もある。しかし、キャラを作る事で、冒険の途中で受けたダメージも自分本体には届いておらず、効いているようで効いていない状態になる。

一方で本当の自分をキャラにしてしまうと、受けたダメージがそのまま自分に来る事になってしまう。最初の数回は耐えられるかもしれない。しかし、ラスボス級の敵にあたった時に挫折してしまうのだ。

キャラを作っただけではダメ、環境を整備して行動させよう

当然ならがキャラを作っただけでは物語は進まない。キャラには達成する目的があり、その目的のために冒険に出る。つまり行動させる必要があるのだ。

著者は本の中でこう述べている。

「行動を変える事で、自分のキャラを変える事が出来る。自分が変わった結果、行動が変わるのではない」

最初に行動が必要なのだ。勇者も最初はただの青年だったりするが、行動し冒険を進めるに従って勇者になっていく。ではどうすれば行動出来るようになるか?

簡単に言うと、なりきるのだ。今がどうとかは関係無い。勝手に自分で思い込んでしまうのだ。

面白い事に、キャラを設定してその通りに振る舞っていると、周囲からの扱いが変わってきて、キャラに応じた扱いになってくる。そうなると自分の本当の行動も変わってくる。行動が変わると性格も変わってくる。つまり設定したキャラがあたかも本当の自分の一部になったような感覚になるのだ。キャラ化したメリットだけ享受して、ダメージはキャラに受け流してもらう。まさに良いとこ取りの状態だ。

行動が出来ていても環境が間違っていると、あまり意味が無いパターンもある。せっかくキャラを設定して行動出来ているのであれば、それが生きる環境で行動してみよう。

本書ではこれを「キャラが最高に活きる環境を作ろう」と言っている。魔法使いが力自慢トーナメントに出ても活きないのだ。魔法使いは、魔法トーナメントに参加するから活躍する事が出きるのだ。

ここまでくれば後はキャラ(物語)を転がすだけだ。そうすれば、なりたい自分になれる事が出来る。

【まとめ】

良くも悪くも環境に影響される

本書では他に、そもそもキャラ化するにあたっての目標の作り方や、著者の実際の体験談が記載されている。特に体験談は、どのようにして今のようになったかが記載されている。これを読む事で、自分が変わるだけではなく、環境が重要な事も分かるだろう。良くも悪くも人は環境に流される生き物なのだ。どん底の環境から自力で這い上がってこれるような人は一握りで、実はその裏で数多くの人が環境に影響されたまま生活している。

そして新しい事をする時は必ずリスクがつきまとう。しかしリスクは取るものではなく管理するものだと思う。リスク管理というイメージだと以外と上手くいく事が多い。本書のキャラ設定も、自分がダメージを受けないようにするリスク管理の1つだ。

キャラを作って、行動させて環境を整える。

やりたい事があるいのに、1歩が踏み出せない人。そんな人は本書を一読してみるといいかもしれない。