【臨床症状】70代 夕方から心窩部痛付近の痛みがある
【問題】画像所見と診断名は?
➡ 造影(横断像)
➡ 冠状断像
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- 単純、造影検査にて虫垂壁の肥厚と濃染が確認できる
- また周囲の脂肪組織濃度上昇も認める
- 虫垂内に糞石などの所見なし
- 穿孔や膿瘍形成も認められない
- 上記より急性虫垂炎の診断となる
- 同時期に撮影されたMRI画像でも同様の急性虫垂炎の画像所見が認められる
- 他、CTにて前立腺右葉(内線域)に早期濃染する結節影あり(その後、定期的にフォローし、2年後にPSAが10を超えた時に生検を実施し前立腺癌、adenocarcinoma、GS 5+4の診断となる)
【急性虫垂炎】
・リンパ濾胞の過形成や糞石などで虫垂起始部が閉塞し、虫垂内圧が上昇、虚血性変化や感染を生じる事によって発症するもの
・組織学的に次の4つに分類される
- カタル性虫垂炎:炎症が粘膜や粘膜下層に限局している状態
- 蜂窩織炎性虫垂炎:全層に好中球が浸潤するが、層構造は保たれている状態
- 壊疽性虫垂炎:壁に壊死が見られる状態
- 穿孔性虫垂炎:穿孔を伴っている状態
・臨床症状は、心窩部痛から臍周囲痛にはじまり、右下腹部痛が出現する
・Mucburney点の反跳痛や筋性防御といった症状も見られる
・CT検査検査で見つかる事が多く、画像所見は以下のようなものがある
- 虫垂の腫大(径6mm以上)
- 虫垂壁の全周性の肥厚(3mm以上)
- 虫垂壁の濃染
- 糞石
- 周囲脂肪組織の混濁
- 穿孔や腹膜炎を生じた状態では、膿瘍形成や腸管外ガスを認める事もある
・なお、正常例でも径が10mm程度まで拡大する事もあるので注意が必要
参考書籍:わかる!役立つ!消化管の画像診断、すぐ役立つ救急のCT/MRI 改定第2版