【臨床症状】90代 左下腹部痛 食事が取れない
【問題】画像所見と診断名は?
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- 小腸が拡張しているのが確認できる
- 拡張した腸管を追っていくと、右腸骨レベルの腹側にBeak signを認め閉塞起点になっているのが確認できる
- またその口側には腸管内に糞便様の所見(いわゆるSmall bowel faces sign)も認める
- 腸管を追っていくとbeak signのようなものが確認できる
- これらよりClosed loopを形成している可能性がある
- 腸間膜の浮腫と腹水も認める
- 上記より、(何らかの原因による)絞扼性腸閉塞と診断できる
- 他、肝・膵・腎に嚢胞疑い、子宮に石灰化(子宮筋腫疑い)あり
【絞扼性腸閉塞】
・腸閉塞とは物理的な腸管の狭窄で内容物が停留した病態
・その中でも血流障害を伴った腸閉塞は、絞扼性腸閉塞と呼ばれている
・未治療で進行すると、腸管壊死、穿孔、敗血症に至り、多臓器不全になり死に至ることもある
・イレウスは、炎症や蠕動麻痺などにより通過障害を起こした状態で、腸閉塞とは異なる
・腸閉塞の画像診断では下記の点を確認する
- イレウスの除外:イレウスでは閉塞起点が無い
- 閉塞程度の評価:口側腸管の拡張、肛門側腸管の虚脱の程度
- 閉塞部の同定:small bowel faces sign、beak sign、fat notch sign、whirl signなど
- 閉塞原因の特定:ヘルニア、癒着、メッケル憩室、悪性腫瘍など
- 血流障害の有無:Closed loop、腸管壁の造影効果の減弱、腸間膜浮腫/腹水/腸管気腫の有無、単純検査における腸管壁の高吸収など
・臨床症状は腹痛、腹部膨満感、嘔吐など
・治療は早急に絞扼を解除する事
・虚血から壊死にまで至ると、腸管切除をする事もある
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版