【臨床症状】50代 DM、高コレステロール血症 検診異常精査
【問題】画像所見と診断名は?
➡ 冠状断(造影)
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- 腹部大動脈は紡錘状に拡張しているのが確認できる
- 一部低吸収域を認め、造影効果も認めない事から壁在血栓疑い
- 前回と比較して32mmから48mmと、2年間で1cm以上増大しており、腹部積極的治療対象なる可能性がある
- 上記より腹部大動脈瘤(紡錘状)と診断された
- 他、左卵巣動静脈瘻あり
【腹部大動脈瘤】
・大動脈瘤とは、大動脈が局所的に突出もしくは、全周性に拡大した状態のこと
・大動脈の一部が局所的に拡張してこぶ状に突出する「嚢状瘤」と、前周性に拡張して径が正常の1.5倍以上となった「紡錘状瘤」がある
・腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm:AAA)は腎動脈分岐レベルとの関係から次の3つに分類される
- 腎動脈上腹部大動脈瘤(suprarenal AAA)
- 傍腎動脈腹部大動脈瘤(para-juxtarenal AAA)
- 腎動脈下腹部大動脈瘤(infrarenal AAA)
・AAAの多くは腎動脈下部に見られ、40%の割合で腸骨動脈にまで径の拡大が及ぶ事が多い
・腎動脈上AAAや傍腎動脈AAAでは腎動脈上に大動脈遮断を置く必要があり、手術手技が複雑になる
・紡錘状の動脈瘤では、瘤径5cm未満では自然破裂率は3%程度だが、5~7cmでは6~11%、7cm以上では20%との報告がある
・また瘤径の拡大速度が半年で5mm以上の場合も破裂の可能性が高いと言われている
・嚢状瘤の場合は、瘤径が小さくても破裂のリスクが高い事が知られている
・動脈瘤が今にも破裂しそうな状態の事を大動脈瘤切迫破裂と言う
・主な所見は腹痛や腰痛、背部痛など
・画像診断では、切迫破裂には次のようなものがある
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版、これだけは知っておきたい心臓・血管疾患の画像診断
- high-attenuating crescent sign:HAC(壁在血栓に亀裂が入り単純写真で新鮮血種/高吸収域を認めること)
- 大動脈瘤周囲の液体貯留
- 急な瘤径の拡大
- 内腔や壁在血栓の変形
- 血栓内腔比の低下 など