【臨床症状】70代 今朝からの頭痛と嘔吐
【問題】画像所見と診断名は?
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- 前大脳縦列やシルビウス裂、脳低槽、大脳谷槽、四丘体槽、第4脳室などに高吸収域を認める
- 脳室下角が拡大しているように見えるが、年齢を考慮すると判断が難しい
- 出血が左右均等に分布しているように見え出血元の特定は困難だが、第4脳室にも認める事から後方循環系からの出血の除外が必要
- 一方でfilling defect signは確認できない
- 上記画像所見と、臨床症状よりくも膜下出血と診断された
- 他、副鼻腔炎あり
- くも膜下出血発症の1年前のMRIでは、脳底動脈(basilar top)に約3mmの動脈瘤を認める
- おそらくこれが出血元と思われる
【くも膜下出血】
・くも膜下出血は、何らかの原因でくも膜下腔に出血が起きている状態
・動脈からの出血と静脈からの出血がある
・主な原因は、嚢状動脈瘤の破裂が最多で、他に解離性、外傷性などがある
・非外傷性の原因には次のようなものがある
- 動脈瘤破裂によるもの
- 能動静脈奇形(AVM)
- 脳動脈解離
- もやもや病
- 硬膜動静脈奇形
- 脳血管炎
- 感染性脳動脈瘤
- 脳アミロイドアンギオパチー
- PRES
- RCVS
- 脳腫瘍 など
・突然の頭痛で発症し、中年以降(50~70代)の女性に多い
・くも膜下出血の数日前に軽い頭痛(一過性)を認める事があり、これを警告頭痛と呼ぶ
・これは初回破裂が軽微で少量の出血のために起きるもの
・くも膜下出血発症直後の数日間は、二次的にびまん性脳腫脹と循環不全、脳動脈攣縮による虚血を合併する頻度が高く、厳重管理が必要
・脳動脈瘤の好発部位を知っておくと、出血の局在から破裂部位を推定する事ができる事がある
・くも膜下出血内に破裂動脈(動脈瘤)が低吸収域として観察される事があり、これをfilling detect signと呼び破裂部位の特定に有効な画像所見である
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版