【臨床症状】50代 女性 ある疾患で数年来フォロー中
【問題】画像所見と診断名は?
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※ 数年来、MAC症としてフォロー中
- 多発性の線状ー索状ー粒状ー結節状ー空洞性病変を両側肺に認める
- 特に右中葉、舌区の浸潤影は著明で、気管枝の拡張も伴う
- 上記より非結核性抗酸菌症、Mycobacterium Avium Complex (MAC)の憎悪疑い
- 他に、肺水腫や心不全を示唆する所見はなし
【非結核性抗酸菌症 nontuberculous mycobacteriosis:NTM】
・結核菌と、らい菌以外の抗酸菌による感染症を包括した疾患軍
・Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium kansaiiが多く、NTMの9割はM avium-intracellulare complex(MAC)症によるもの
・なのでMAC症の特徴を押さえておく事が重要
・病初期では症状に乏しく、偶発的に発見される事も少なくない
・進行すると、咳嗽や血痰、喀血などが見られる
・MAC症には複数の病型があるのと、MAC症とM kansasii症は画像所見がやや異なる
<MAC症>
- 小結節・気管支拡張型:基礎疾患の無い非喫煙者の中年女性に多く、右中葉と舌区に病変(気管支拡張や小葉中心性の小結節や粒状影、tree-in-bud appearance)を認める事が多い
- 線維空洞型:高齢男性や、陳旧性肺結核などを背景として発症し、肺結核と類似し、S1、S2、S6に好発し結節や空洞性病変を認める
- 孤立結節型:1~3cm程度の境界明瞭な結節影を認め、検診などで発見されることも多く、時に肺癌や結核腫との鑑別が問題になる
- 全身播種型:AIDSなどの免疫低下者に見られ、両肺にびまん性に粒状影が認められる
- 過敏性肺炎型:循環型のジェット噴流を備えた浴槽でMACに汚染された湯などを吸入する事で発症
<M kansasii症>
参考書籍:困ったときの胸部の画像診断
- 中年男性に多く、S1に空洞性病変を来す事が多く、半数以上が片側性
- 化学療法に対する反応は良く、完治が見込める
- 粉塵吸入や喫煙歴が危険因子
- MAC症と比較して、空洞は円形よりも管状や蛇行した形状として見られる事が多い