【臨床症状】40代 下腹部痛
【問題】画像所見と診断名は?
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- 上行結腸に複数の憩室を認め、その周囲に脂肪組織濃度上昇を認める
- 造影にて上行結腸に3層構造(粘膜層、粘膜下層、筋層)を保った肥厚像を認める
- また後腹膜筋膜も肥厚している
- 上記より憩室炎が疑われた
- フリーエアーは認めず、腹膜腔への穿孔は無いと考えられる
- また虫垂は特に肥厚などを認めず、炎症は波及していないと考えられる
- 他に特記すべき異常所見はなし
【憩室炎】
・大腸憩室は粘膜が筋層を貫き、漿膜側へ嚢状に突出した状態
・腸管内圧の上昇や加齢による腸管壁の脆弱化が原因と考えられている
・多くは無症状で、10~20%程度で食物残渣や糞石が憩室内に停留し、感染や虚血を生じる事で発症する
・右結腸型が70%、左結腸型が15%、全結腸型が15%という割合になっており、圧倒的に右結腸が多い
・保存的治療で軽快する事も多いが、腹膜炎や穿孔による膿瘍形成などを生じドレナージが必要な事もある
・主な症状は、腹痛や発熱、嘔吐など非特異的な症状が多い
・右下腹部痛がある場合は、虫垂炎との鑑別が問題になる事がある
・画像所見は、憩室周囲の脂肪組織濃度上昇(dirty fat sign)、3層構造を保った壁肥厚などがある
・大腸癌の場合は3層構造は保たれない事が多い
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版