【臨床症状】50代 鼠径部から睾丸付近の痛み CRPが上昇している
【問題】画像所見と診断名は?
▶答えはこちら
- 単純検査において精巣上体に周囲と比較して高吸収域を認める
- 造影画像では、造影効果を認め右精索から精巣上体が腫脹しているのが確認できる
- 上記所見、臨床データから精巣上体炎疑いとなった
- 数日後に撮影したMRI画像でも同様の所見で、精巣上体炎疑いの診断となった
▶MRI画像
- 他に特記すべき異常所見はなし(左腎嚢胞のみ)
【精巣上体炎】
・陰嚢内容の急性有痛性病変は、急性陰嚢症(acute scrotum)と総称され、急性精巣上体炎も含まれる
・精巣上体は、精巣上端から精管に移行するまでの細長い管腔器官の事
・尿路感染症などに合併する上行性感染などが原因の急性炎症
・若年者では性感染症が多く、高齢者では前立腺肥大症などの流出路障害や医原的処置によって続発する
・小児発症の場合は、尿路奇形が関係している事がある
・主な症状は、発熱や陰嚢部痛、腫脹などで、WBCやCRPの上昇を認める事が多い
・抗菌薬による治療が一般的だが、重症化したり両側性の場合は不妊の原因になる事もある
・画像所見は、CTやMRIで精巣上体の腫脹や陰嚢水腫、造影効果などが認められる
・膿瘍を形成している場合は、拡散強調で高信号、ADCで低信号を示す
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版