救急43

【臨床症状】40代 左下腹部痛

【問題】画像所見と診断名は?

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    ▶答えはこちら
    • 多数(少なくとも3ヵ所)の大きな子宮筋腫を認める
    • その中で左下腹部の筋腫は石灰化を伴っているのが分かる
    • また左肋骨弓下縁レベルに周囲に組織濃度上昇を伴う脂肪織を認める
    • 腸管と連続しておらず、腹膜垂炎が疑われた
    • 下腹部痛の原因は、子宮筋腫よりもこちらが首座だと考えられる
    • 他の特筆すべき異常所見はなし
    • 1週間後のMRI画像でも同様の所見(多発子宮筋腫、腹膜垂炎)
    • MRIではCTでは指摘困難だった筋層内に多発する子宮筋腫を認める事ができる
    左からT2WI冠状断像、T2-FS矢状断像、T2WI横断像
    左からT2-FS、拡散強調y、ADC

    【腹膜垂炎】

    ・腹膜垂は結腸の自由紐や大網紐などから腹腔内に垂れ下がる葉状脂肪組織

    ・直腸以外の結腸に存在するが、盲腸とS状結腸に多い

    ・腹膜垂の捻転や血栓による梗塞、直接圧迫などによる循環障害が原因

    ・主な症状は腹痛で盲腸にある場合は、虫垂炎との鑑別が難しい事がある

    ・発熱やWBC増多は軽度の事が多い

    ・40代の男性に多い

    ・腹膜垂が炎症を起こし、石灰化、遊離するといわゆる腹膜ネズミになる

    ・治療は基本的に保存療法で投薬治療によって1週間程度で回復する場合が多い

    ・画像所見は、数センチ大の卵円形の脂肪織を認め、周囲に脂肪組織濃度上昇を認めるのが特徴

    ・この時の脂肪織は通常の脂肪より高い吸収値を持つことが多い

    ・MRIでも同様で、造影すると辺縁に著明な増強効果を認める

    参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版