【臨床症状】50代 AST:96 ALT:53 γ-GTP:441 肝内胆管拡張 HCV陽性
【問題】画像所見と診断名は?
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- 胆石を複数認めるが胆嚢壁肥厚や胆管拡張などの所見は認めない
- Periportal collarを認める
- Dynaminc早期(動脈相)での早期まだら濃染は認めないが、臨床データと合わせて急性肝炎が疑われる
- 他、上行~横行結腸にて腸管壁に気腫を認める
- 腸管の造影効果は保たれており、SMAの血栓による虚血やsmaller SMV signなども認めないため、良性の腸管気腫と考えられる
【急性肝炎】
・急性肝炎とは、主に肝炎ウィスルの感染が原因の急性肝機能障害を呈する状態
・他にはアルコールや薬剤性など
・一般的には半年程度で治癒するが、一部劇症化し予後不良になるケースもある
・原因別のウィスルでは、A型が30%、B型が30%、C型が10となっている
・横断、食欲不振、嘔吐、全身倦怠感、発熱などが主な症状
・血液検査では肝酵素やビリルビンの上昇などが認められる
・主な画像所見は次のようなものがあるが、急性肝炎に特異的なものは少ない
- 肝腫大
- Periportal coller(MRIではperiportal abnoemal intensity:PAI):門脈周囲に沿った低吸収域の事で浮腫性変化を見ている
- 胆嚢壁の漿膜下浮腫
- 動脈相でのまだた状(びまん性)の不均一な濃染(early patchy enhancement)
・periportal collerと管内胆管拡張の違いは、全周性に浮腫性変化を認めるかどうか
・全周性ならperiportal collerの可能性が高い
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版
【腸管気腫症】
・腸管気腫症は消化管壁内にガスを認める病態の総称
・腸管気腫を生じる機序は、腸管粘膜の破綻、透過性の亢進による内圧上昇:機械説と、ガス産生菌が損傷した粘膜から侵入し壁内で気腫を形成する:細菌説の2つがあると言われているが、明確に解明はされていない
・臨床像から次の2つに分類される
- 致死性腸管気腫:SMA閉塞やNOMIなどによる腸管虚血や壊死などが原因で発生する腸管気腫
- 良性腸管気腫:ステロイドや免疫抑制剤の使用歴、糖尿病、抗腫瘍薬の使用などが原因のケース
・腸管虚血における気腫を伴った腸管壁は、必ずしも全層壊死に至っておらず保存的に軽快するケースもある
・つまり壁内ガスは虚血による障害の早い段階の所見である事が示唆されている
<各々の画像所見>
・致死性腸管気腫の画像所見は次のようなものがあるが、あくまで参考程度
・気腫の壁が薄い、層構造の消失、腸間膜の濃度上昇、壁肥厚(3mm以上)など
・良性腸管気腫の画像所見は次のようなものがある
・気腫の壁が厚い、消化管の層構造が保たれる、内腔の拡張なし、壁に造影効果あり
参考書籍:すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版