【臨床症状】10代 2日前に発熱、インフルエンザは陰性 SpO2:98% 呼吸時に右背部の痛み
【問題】画像所見と診断名は?
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- 右肺下葉にS6に気管支透亮像を伴う4cm大の空洞病変あり
- 周囲にすりガラス陰影(CT halo sign)もある
- 経過と画像所見から、肺膿瘍(肺化膿症)、もしくは真菌症が鑑別にあがる
- その後、治療のため他院へ転院したため最終的な確定診断は不明
- 診断は肺膿瘍、もしくは真菌症疑い
【肺膿瘍(肺化膿症)】
・肺膿瘍(lung abscess)は、化膿性の病原体の感染によって肺実質が破壊され壊死性空洞性病変が形成された状態
・壊死した肺実質は気管支を経由して体外に排出され、そのあとに空洞を形成し内部に膿が溜まった状態
・免疫力が低下している高齢者や長期臥床患者に多い
・原因は異物や唾液、腫瘍による気管支閉塞、細菌性肺炎の合併、敗血症性肺梗塞などがある
・起炎病原対は、ミレリ菌、嫌気性菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌、大腸菌などがあり、混合感染も多い
・肺の化膿性炎症が胸腔内に穿破すると膿胸を併発する
・主な画像所見は次の通り
参考書籍:困ったときの胸部の画像診断
- 単発や多発の腫瘤影や浸潤影
- 内部に壊死を示す低吸収域を認める
- 空洞壁は比較的厚く、内部に液面形成を認める事が多い
- 造影ではリング状の造影効果を認める
- 周囲に肺炎を示唆する浸潤影やすりガラス陰影を伴う事もある