悪性腫瘍35

【臨床症状】70代 検診精査

【問題】画像所見と診断名は?

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➡ 造影検査
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    • BPE(background parenchymal enhancement)はminimal
    • 左乳房のAC領域に、区域性かつnon-massに造影される(clumpedパターン)のが確認できる
    • T2WIでは高信号、T1WIで低信号、拡散強調で高信号を認め、上記所見からDCISが最も疑われる
    • また乳頭進展や腋窩リンパ節腫大は認めない
    • その後、生検を実施しDCISが検出
    • 病期診断のためにFDG-PETを実施しリンパ節を含む遠隔転移なし
    • 紹介先の施設にて手術を行い、Tis N0 M0(Stage0)の診断となる
    左からMMG(非提示)、造影MRI、PET-CT(非提示)

    【乳癌】

    ・乳癌(breast cancer)は9割が乳管から、~10%が小葉から発生する

    ・乳管に発生した癌は次の2つに大別される

    1. 乳管内のみ進展している状態をDCIS(非浸潤性乳管癌 ductal carcinoma in situ)
    2. 乳管外に進展している(間質浸潤)のをIDC(浸潤性乳管癌 infiltrating duct carcinoma)

    ・上記を加えた主な組織型分類は次の通り

    1. 非浸潤癌:乳管癌(DCIS)、小葉癌(LCIS)
    2. 浸潤癌:浸潤性乳管癌(腺管形成型、充実型、硬性型)、特殊型(小葉癌、髄様癌、粘液癌、管状癌など)
    3. 炎症性乳癌
    4. Paget病

    ・腋窩リンパ節への転移の有無は予後決定に重要で、N0乳癌についてはセンチネルリンパ生検を行い、リンパ節郭清を省略することもある(センチネルリンパ節とは、リンパ管経由で最初にいきつくリンパ節)

    ・DCISは転移の可能性が低く、一般的に予後が良い

    ・低悪性度型DCISと高悪性度型DCISがある

    ・IDCは癌細胞が乳管の基底膜を破り間質浸潤している状態で、転移している可能性もある

    ・サブタイプ分類があり、ホルモン受容体、HER2蛋白の有無等によってLuminal A、Luminal B(HER2陰性)、Luminal B(HER2陽性)、HER2陽性、TN(triple nagative)の5つに分類される

    ・分類する理由は、各々で治療法が違ってくるため

    ・炎症性乳癌は、腫瘤を形成せずに癌細胞が皮膚内のリンパ管を閉塞する事で、腫大や発赤を認める状態

    ・Paet病は、乳頭や乳輪の表皮内進展を特徴とする状態

    ・主な画像所見については次のようなものがある

    • MMG検査にて、微小石灰化、集簇/線状/区育性の石灰化はDCISに多く、スピキュラを伴う腫瘤はIDCが多い
    • USではDCISでは低エコーの非腫瘤性病変で、IDCは低エコーの腫瘤性病変
    • 縦横比が0.7以上で悪性の可能性が高くなる
    • 脂肪組織が多いdense breastの乳房にも有効(MMGはdense breastでは分かりずらい事がある)
    • MRIでは、腫瘤の形状(分葉状)、辺縁(不整、スピキュラ)、造影(不均一、rim状エンハンスメント)、Dynamic Curveで急激な立ち上がり、wash out型などがあると悪性(IDC)の可能性が高くなる
    • 主病変から少し離れたところに娘病変を認める事があるので注意が必要
    • DCISでは、リング状造影効果を認める集合(clustered ring enhancement)、粒の集合状陰影(clumped)、乳管に沿った区域性に造影される小腫瘤(branching ductal pattern)などがある
    • MRI画像所見を客観的に評価する指標としてBI-RADS-MRIがある
    • BI-RADSは腫瘤性病変と非腫瘤形成性病変に分け、各々の画像所見からカテゴリー分類を決定するもの

    ・遺伝性によるものもあり、BRCA1、BRCA2遺伝子変異が原因なものを遺伝性卵巣癌症候群(HBOC:hereditary breast and ovarian cancer)と呼ぶ

    ・BRCA遺伝子に変異がある場合、80歳までに69~72程度が乳癌に、17~44%が卵巣癌に罹患する発症リスクがあると言われている

    ・BRCA1型はNT乳癌が60%を占め、BRCA2型乳癌はluminalタイプが多い

    ・治療法は基本的に切除、術後に放射線治療を行うが、進行度によっては化学療法を先行して実施する事もある

    ・DCISが広域に存在していると、非浸潤性でも全摘になる事もある

    参考書籍:ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド 第2版

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