common disease38

【臨床症状】80代 歩行障害(右半身のパーキソニズム症状)、尿失禁、認知機能低下

【問題】画像所見と診断名は?

011
012
013
014
015
016
017
018
019
0110
0111
0112
0113
0114
0115
0116
0117
0118
0119
0120
0141
0142
0143
0144
0145
0146
0147
0148
0149
0150
0151
0152
0153
0154
0155
0156
0157
0158
0159
0160
0162
0163
0164
0165
0166
0167
0168
0169
0170
0171
0172
0173
0174
0175
0176
0177
0178
0179
0180
0181
0182
0183
0184
0185
0186
0187
0188
0189
0190
0191
 

    ▶答えはこちら
    • 脳室の拡大を認める
    • シルビウス裂の拡大も認める
    • 高位円蓋部の脳溝狭小もある
    • Evans Indexは0.4
    • 脳梁角は80°
    • 上記よりDESH所見ありとされ、臨床症状と合わせて特発性正常圧水頭症と診断される

    【特発性正常圧水頭症】

    ・特発性正常圧水頭症(iNPH:idiopathic normal pressure hydrocephalus)とは、くも膜下出血や髄膜炎などの先行疾患がなく、歩行障害を主体として認知症障害、排尿障害をきたす脳脊髄液吸収障害に起因した病態

    ・高齢者に多く見られ、緩徐に進行する

    ・適切なシャント術によって症状の改善を得る可能性がある症候群である

    ・歩行障害、認知機能低下、尿失禁を3徴とする

    ・60代以上に多く見られ、DESH(Disproportionately Enlarged Subarachnoid space Hydrocephalus)と呼ばれる特徴的な所見がある

    《DESH所見》

    1. 脳室拡大(Evans Index(両側側脳室前角間最大幅/その部位における頭蓋内腔幅)>0.3)
    2. 高位円蓋部脳溝の狭小化
    3. シルビウス裂や脳低槽の拡大

    ・脳梁角(callosal angle:CA)はほとんどが90°以下を示す

    ・脳梁角はAC-PCラインに垂直な後交連上の冠状断で測定する(AC-PCラインに垂直じゃないと誤差が大きいと言われている)

    ・MRIでDESH所見を呈しているにも関わらず、症状が無い(無症候)場合もあり、これはiNPHの前駆状態と考えられている

    ・高齢者の1.5%程度で見られるともいわれている

    参考書籍:よくわかる脳MRI 改定第4版
    参考文献:特発性正常圧水頭症診療ガイドライン 第2版