【臨床症状】50代 頭痛精査
【問題】画像所見と診断名は?
➡ 矢状断(T2WI、T1WI、CEの順で掲載)
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- 各種シーケンス矢状断で、下垂体がトルコ鞍底部に圧排され菲薄化しているのが確認できる
- 嚢胞状の腫瘤で充実成分は認めない
- また下垂体柄がトルコ鞍内の脳脊髄腔を通過しているのがか確認できる
- 上記より、empty sellaと診断できる
- その他、特記すべき異常所見はなし
【empty sella】
・empty sellaはくも膜下腔がトルコ鞍内に落ち込み、下垂体がトルコ鞍底部に圧排され菲薄化した状態
・鞍隔膜は鞍上部とトルコ鞍とを隔てる構造だが、その中央部に裂孔(鞍隔膜裂孔)があり、下垂体柄が通過する事で下垂体が圧排される
・トルコ鞍の拡大を伴う事が多い
・画像上で、鞍底部に下垂体が圧排された状態で、下垂体柄がトルコ鞍内の脳脊髄腔を偏位なく通過するのが確認できれば診断が可能
・特発性(primary empty sella)と続発性(secondary empty sella)に分類される
参考書籍:よくわかる脳MRI 改定第4版
- primary empty sellaがは明らかな原因のないもので、頭蓋内圧の上昇や横静脈洞の狭窄、妊娠などが関係していると言われている
- 肥満や高血圧を有する女性、妊娠経験のある女性に多い
- 多くは無症状だが、何らかの症状や内分泌検査異常を見られるという報告がある
- secondary empty sellaはトルコ鞍内部腫瘍の治療後や下垂体卒中、外傷などが原因となる