整形６１

• 軟部条件の画像で、篩骨の骨折と眼窩脂肪が篩骨洞内に脱出しているのが確認できる
• 冠状断（軟部条件/骨条件）にても同様の所見を認める
• その他に頭蓋冠の骨折や頭蓋内出血は認めない
• 上記より左眼窩吹き抜け骨折と診断された

【眼窩吹き抜け骨折】

・眼窩吹き抜け骨折は、外傷等の何らかの原因により眼窩内圧が上昇し、眼窩壁が破綻（骨折）した状態

・骨折により眼窩内脂肪や外眼筋が脱出する事もあり、外眼筋が嵌頓すると複視の原因にもなる

・骨折箇所は眼窩下縁、もしくは内側壁（紙様板）に多い

・骨折部位から眼窩底部型、内側型、混合型に分類される

・内側壁骨折では眼窩内気腫が見られる事もある

・成人での骨折では、骨片が元に戻らず眼球陥没や眼列の左右差（punched out fracture）の原因にもなりうる

・小児では若木骨折が多く、骨折部は復元される事が多い

・眼窩上縁の骨折は眼窩骨折の5％程度で、前頭骨に対する鈍的外傷に多い

・外側壁骨折は単独の骨折は稀で、三脚骨折（tripod fracture）やLe FortⅢ型骨折に合併する

・画像所見は、CTで眼窩壁（下壁、内側壁）に骨折や、それに伴う眼窩内脂肪や外眼筋の脱出など

・下直筋が上顎洞に脱出し、眼窩内から消失する事がある（missing muscle syndrome）

・視神経血種は失明の原因にもなる事があるので注意する

・骨折の有無、骨欠損部の大きさ、眼窩内容の逸脱の有無、眼窩内気腫などを確認する

参考書籍：すぐ役立つ救急のCT・MRI 改定第2版
　　　　　ジェネラリストを目指す人のための画像診断パワフルガイド 第2版