悪性腫瘍40

【臨床症状】50代 男性 口腔内の痺れ

【問題】画像所見と診断名は?

CT_20241028111421_Image001
 
➡ CT 造影画像
CT_20241028111421_Image043
 
➡ MRI画像
MR_20241028111638_Image001
 

    ▶答えはこちら
    • CT画像で右上顎洞に2.5cm*4cm*4cmの軟部腫瘤影を認める
    • 内部不均一の造影効果を認め、膨張性の発育形態である事が分かる
    • 上顎洞後壁は菲薄化(もしくは骨破壊)し、上顎骨では骨膜反応も認める
    • 眼窩下壁は保たれていると考えられる
    • 真菌症ゆあ副鼻腔炎も鑑別にあがるが、まずは上顎洞癌を考える
    • MRI画像でも上顎洞内に腫瘤性病変を認める
    • 分葉状の腫瘤で、T2WIで不均一、造影でも不均一の効果を認める
    • また上顎骨への浸潤も否定できないが、翼口蓋窩への浸潤は認めない
    • 上記より上顎癌(T3以上)と診断できる

    【上顎洞癌】

    ・鼻腔癌、副鼻腔癌は扁平上皮癌が多い(65~70%)

    ・発生部位は上顎洞が最多(60%)で、鼻腔(25%)、篩骨洞(9%)、蝶形骨洞、前頭洞(1%)

    ・扁平上皮癌でも病理組織学的には複数あり、治療法も違ってくるためより詳細な診断が必要になる

    ・鼻腔副鼻腔癌の扁平上皮癌は、WHO分類には次のように記載されている

    1. 角化型(80~85%):上顎洞発生が多く、喫煙と関連が高くリンパ節転移は稀
    2. 非角化型(15~20%):40%以上がHPV陽性、鼻腔や上顎洞発生が多く、放射線感受性が高い
    3. 他:高齢者、喫煙者に関連し、肉腫様成分が混在、時に急速に進行する事もある

    ・画像診断の主な役割は、両悪性鑑別、浸潤範囲(病期診断)になる

    ・浸潤範囲では、前方への進展(上顎洞前壁など)、後方への浸潤(後壁、翼突窩、眼窩下縁、翼状突起など)、眼窩への進展(眼窩低、眼窩前部、眼窩尖部など)を確認する

    ・AJCC・UICC第8版における鼻腔副鼻腔の癌のT分類は次の通り

    《上顎洞癌》

    • T1:上顎洞粘膜に限局
    • T2:骨びらん、骨破壊、硬口蓋、中鼻道に浸潤
    • T3:眼窩下壁、内側壁、篩骨洞、皮下組織、上顎洞後壁の骨や翼突窩に浸潤
    • T4a:眼窩内容前部、皮膚、翼突板、前頭洞、蝶形骨洞、側頭下窩、篩板に浸潤
    • T4b:眼窩尖端、硬膜、脳転移、V2以外の脳神経、上咽頭、斜台、中頭蓋窩に浸潤

    《鼻腔・篩骨洞癌》

    • T1:1亜部位
    • T2:2亜部位
    • T3:上顎洞、口蓋、篩板に浸潤
    • T4a:前頭蓋窩に軽度進展している
    • T4b:眼窩尖端、硬膜、脳転移、V2以外の脳神経、上咽頭、斜台、中頭蓋窩に浸潤

    ・画像所見は非特異的な事が多く、特に組織型分類までは画像診断では難しい

    ・骨破壊を伴っていない早期癌の場合は、慢性副鼻腔炎やポリープとの鑑別が問題になる事がある

    参考書籍:頭頸部の画像診断 改定第2版
    参考文献:山内英臣、上顎洞の画像解剖と上顎洞癌の病期分類に関わる画像解剖、耳展 63:4:87~189、2020
         鈴木幹男、鼻副鼻腔腫瘍の診断と病理、日耳鼻、2014、1212-1215

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