日本人の9割が知らない遺伝の真実

【概要】

  • 著者:安藤 寿康
  • 発売日:2016年12月
  • ページ数:224ページ

本の目次

第1章 不条理な世界
第2章 知能や性格とは何か?
第3章 心の遺伝を調べる
第4章 遺伝の影響をどう考えるか
第5章 あるべき教育の形
第6章 遺伝を受け入れた社会

【結論(1番の訴求ポイント)】

人の能力の半分は遺伝、残りは環境によって決まる

才能や収入には遺伝が関係している。
本書はこのような当たり前のことを行動遺伝学という分野を絡めて書かれている。

能力が高いと収入も高い傾向がある。希少価値が高いからだ。
そして本書はこの能力に対して次のように述べている。

「人間の能力の半分は遺伝、残りの半分は非共有環境にて決定される」

ここでの非共有環境とは、学生生活などの外部環境要因だと思えばいい。
一方の共有環境は、家庭のようなイメージだ。
能力によっては多少のバラつきがあるが、概ねこの傾向だという。

遺伝の強さは能力によって多少のバラつきがあるが、その中でも音楽、スポーツ、ADHD、うつ病などが遺伝の影響が高いらしい。
音楽やスポーツのような芸術分野や言われても納得できるが、病気まで遺伝が大きく関係しているのは初めて知る人も多いかもしれない。
考えてみれば当然かもしれないが、遺伝には秀でた面を受け継ぐ事もあれば、逆のパターンもある。

例えば、HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群、BRCA1またはBRCA2遺伝子の生まれつきの変異により、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなどの発症リスクが著しく高まる体質)のように、遺伝が関係しているのが判明しているのもあるのだ。

親がスポーツが得意だった、父親が癌家系、このような言葉には、一見何もエビデンスが無いようで、実はそれなりの関係があったのである。
これらは一卵性双生児と二卵性双生児を比較した大規模な研究結果なので、信頼のおけるデータだと思われる。
能力は遺伝の影響が大きく、また、家庭環境(親のしつけ等)の影響はほとんど無いらしい。

これは、ある意味、子を持つ親にとっては認めたくない事実かもしれない。

遺伝というと、才能のようなプラス面が見られがちだが、マイナス面の遺伝もあるのだ。
飛びぬけた才能を持っている人がいる一方で、逆側の人も必ずいる。

これは事実として知っておくべきだろう。

【ポイント】

知能(学力)の遺伝

諸説あるが、学力における遺伝の割合は50程度らしい。半分は親からの遺伝という事だ。

N数が少ないので正確性には欠けるが、当方の周りでも東大卒業生の親も東大を出ている(もしくは高学歴大学)事が多いし、医師の親も医師という事が多い。

当然、全員がそうとは言わないが、親の学力が高ければ、子供も高い傾向にあるとは言えそうな気がする。

現代において、高収入を得ようとすると、知能(学力)については必要な能力だ。

一部上場企業に就職しようとすれば、高学歴な大学を卒業するのが一番の近道だ。いわゆるFランの大学では、書類選考の段階で落とされる場合がほとんだろう。

また、士業は国家資格が必要な事も多い。

その中でも医師免許はとりわけ入口が狭い。医師になるためには医学部を出る必要があるが、まずこの医学部に入るのに学力が必要だ。

受験戦争を勝ち抜き、医学部に入学したら、卒業と同時に国家資格(医師免許)を取得する必要がある。その為には学力が必要だ。

このように収入と学力は密接に関係している。
実際に東大出身者には高収入の傾向との報告もある。

また、普段の生活で生きていく上でもある程度の学力は必要だ。
それは現代では抽象的な思考が求められている事が大きく関係している。
抽象的と言われてもピンと来ないかもしれないが、例えるなら、「きれいにしろ」、と言われて前後の文脈から、掃除をすればいいのか、着飾ればいいのかが分かる能力だ。
これが出来ないと、そもそも会話にならない。
会話にならなければ、関係性も築けない。
これには学力が関係大きく関係している。
学力は高収入の入り口だけではなく、普段の生活にも密接に関係しているのだ。

性格の遺伝

性格については、遺伝の影響がそれほど関係ないらしい。

ちなみに、性格については概ね次の5つの要素のポイントで表される事が多い。
好奇心、勤勉、外向性、協調性、情緒不安定性だ。
これらを測定する事で、その人の性格が1次的に見る事ができるのだが、一般的に性格が良いとされる人にはIQとの相関は見られなかったらしい。
IQが高いから性格も良いとはならないのである。

家庭での教育は無意味なのか?

能力に家庭環境の影響がないのであれば、家庭での教育は不要なのか?
筆者は家庭ではむしろ、様々な事を経験させる事を推奨している。

能力と一言で言っても様々なものがある。
社会で必要とされる能力は、知能や勤勉さ、協調性などがあるだろう。
他には、オリンピックに出られるようなスポーツの能力もある。
この中から自分に合ったものを見つける事が重要だと言っている。

才能には多くの種類がある。最初から自分の才能が分かっている人はいない。

じゃあ、その中からどうやって見つけていくか?

ショートカットなんてものは存在しない。ひたすらカードを次々とめくっていき、自分の当たりのカードを見つけるのだ。
その為に勉強だけでなくスポーツや職業体験などを経験してみるといいだろう。

とにかく、色んな事を経験してみる事だ。食わず嫌いが一番もったいない。

遺伝の影響

またもう一つの大きな事実として、人間は年齢を重ねていくうちに、遺伝による影響が大きくなってくるらしい。

最初はコネなどの環境による底上げがあるが、年齢を重ねると実力で評価されるためだ。
収入の例を取ってみると、入社時には、家庭環境、親のコネなどを利用して入った人も、実力で入った人も同一で扱われる。

そして、色々な部署で経験を積まされるだろう。
最初のうちは差がはっきりしなくても、10年も経つと実力が明確になってくるので、当然、収入は自身の能力に比例してくる。
年齢を重ねて様々な環境に晒されるうちに、遺伝的な要素が引き出されて本来の自分になっていくという事なのだろう。

【まとめ】

自分の才能を見つけるために

人間の行動のほとんどは遺伝や非共有環境で説明できる。

赤ちゃんは可能性の塊である。
これは確かにそうだろう。

ただ無限に能力を伸ばす事ができるという意味ではなく、適正がある能力が未知数という方が合っているかもしれない。
人が大人になるのは12歳前後と言われている。
いわゆる思春期だ。
この思春期を経て肉体的にも大人と同じようになる。
言い換えると、それまではエネルギーを脳に割り振っているという事だ。
小学生までは勉強一辺倒じゃなく、広く浅く経験する方が今後の時代には必要なのかもしれない。

とにかくカードをめくっていく。

自分の才能を見つけよう。

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