米軍式 人を動かすマネジメント

【概要】

  • 著者:田中 靖浩
  • 発売日:2016年6月1日
  • ページ数:256ページ

本の目次

第1章 機動戦経営とは何か?
第2章 OODAで「動く」個人をつくる
第3章 ミッション・コマンドで部下を「動かす」
第4章 クリティカル・インテリジェンスで「動ける」組織を目指す
第5章 DIOODA(ドゥーダ)で戦う機動戦経営

【結論(1番の訴求ポイント)】

スピード重視!

米軍式人を動かすマネジメントは現場の判断による行動を推奨している。

なぜか?

ニーズの移り変わりが早い現代においては、従来のピラミッド型の組織では意思決定までのスピードに時間がかかり、行動が後手になりがちになるためだ。

行動が後手に回ると、時に致命傷になりかねない。

一方でフットワークが軽ければ、次から次へと打ちてが出せる。間違っていても、すぐに修正ができる。ベンチャー企業が急成長するのは、これが理由の一つでもある。

この症状は大企業になるほど顕著だと言われている。

一時期は隆盛を極めていた大企業が、時代の変化に適応できずに衰退してくのは多くの例がある。

大企業は最終意思決定までのプロセスが多く、それに時間を要する事が多い。ただでさえ多忙な役職員の複数人の決済が必要なために、どうしても時間がかかる。

大企業病と言うと、日本特有の問題のように思うかもしれないが、実はかつては欧米でも問題になった事があった。

アメリカのコダック社は、かつてフィルム業界でリーディングカンパニーだった。ただ時代がデジタルに移行しつつある時に決断できなかった。結果、連邦破産法の適応を受けるまでになってしまった。

アメリカもバカじゃない。当初は効率化を追求する事で対応しようとしていたが、それも限界がきた。

これを打開するために現場によるリーダーシップ主導型(米軍式人を動かすマネジメント)が生まれたのだ。

ただ何でも現場判断に任せると間違った方向に進みかねない。

それを正すためにはトップが方向性を示しておく必要がある。

米軍式人を動かすマネジメントには3つの必要な条件がある。
OODA、ミッションコマンド、クリティカルインテリジェンスだ。

【ポイント】

OODA

OODAは各々の頭文字で、observe、orient、decide、actだ。

簡単に言うと、相手を観察して、出方に合わせて臨機応変に対応させる事で、必然的に現場の裁量をある程度認めている。

ただ何でもかんでも認めてしまうと収拾がつかなくなるので、守るべき最低ラインを明示して、あとは現場に任せるというのが一般的だ。

この時のポイントが、消極的ミスは許さないが積極的ミスは許すという方針。
現場に任せる以上、どうしてもミスは生まれやすくなる。
全員が経験豊富なベテランではなく、中には若手もいるからだ。

ただしミスにも大きく2つのパターンがある。

それが消極的ミスと積極的ミス。

消極的ミスは、ルールを守らずに起きたミスのようなもので、言い換えると怠慢による人的ミス。

これはダメ。

防げるミスなので、これを犯したものは相応の指導が必要になる。

一方の積極的ミスは、良かれと思ってやった事が結果的にミスになってしまったケースだ。

後者は考え方としては間違っていないので、例えミスになってしまっても不問にする事が重要。

これをやらないと、誰も行動しなくなる。失敗するのが恐いからだ。これでは頑張った人が損をする組織になってしまう。

OODAを実行するには、現場だけでなく管轄する上司の考え方も変える必要がある点には注意しておきたい。

ミッションコマンド

これは作戦の大枠(戦術)にあたる。

企業には理念という形で進むべき方向性が定められている場合が多い。

例えば、「ITで医療難民を減らす」などだ。

しかしこの理念は、大抵の場合において抽象的である事が多く、部門にはもう少し具体的な形への変換が必要になる。

この変換されたものを実行する戦術がミッションコマンドにあたる。

進むべき(決断すべき)方向性を決めるためのもので、北極星のようなものといえばイメージが分かりやすいかもしれない。

北極星は常に同じ方向に見える。
これを利用して北極星の位置を確認しながら進んでいけば、いずれ目的地に辿りつける。
現代風にいえば、地図アプリ。
目的地が示されていて、その道順が表示されている。
道路工事で通行止めになっていても臨機応変に軌道修正してくれて、最終的に目的地に着くようになっている。

ただしミッションコマンドの設定が適切じゃないと、進む方向が間違ってしまう。

ここには注意が必要だ。

クリティカルインテリジェンス

クリティカルインテリジェンスとは、判断や行動に直結する動ける情報の事を指す。

情報には2つの種類がある。

インフォメーションとインテリジェンスだ。

インフォメーションは加工されていない生データ(1次データ)で、これを加工、統合、分析する事でインテリジェンスになる。

これらのインテリジェンスの中から重要なインテリジェンス(クリティカルインテリジェンス)をピックアップし、それをミッションコマンド策定に使う。

人は見たいものしか見ない。
しかし見てないものの中に重要なものがある場合が多い。

クリティカルインテリジェンスは、この見えない問題を含んでいる事が重要である事が多い。
では見えない問題はどう見えるようにするか。

これは米国のパウエル元国防長官の言葉(情報についての4か条ルール)が分かりやすい。

分かっている(裏が取れている)事を言え、分かっていない(裏が取れていない)事を言え、その上でどう考えるのかを言え、この3つを常に意識しろ。

自分が気づいていない事は無いか、漏れやダブりは無いのかを今一度考えてみる。
そうすると、見えない問題を含んだクリティカルインテリジェンスにする事ができる。

クリティカルインテリジェンスを探すためには、まず自分の常識を捨てることが重要だがこれは中々に難しい・・・

【まとめ】

上司は腹をくくる覚悟が必要

インフォメーション(情報)を集めクリティカルインテリジェンスを見つける。

クリティカルインテリジェンスからミッションコマンドを策定し、現場に北極星となるものを示す。

そしてミッションコマンドを念頭に現場にOODAを実行してもらう。

その結果、主体的に動くチームになる。

積極的ミスは不問にする事。
上司側からすると腹をくくる必要があり、実はこれが一番のキーワードなのかもしれない。

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