もくじ
【概要】
- 著者:速水 敏彦
- 発売日:2006年2月
- ページ数:214ページ
本の目次
第1章 感情が変わった第2章 やる気が低下する若者たち
第3章 他者を軽視する人々
第4章 自己肯定感を求めて
第5章 人々の心に潜む仮想的有能感
第6章 自分に満足できない人・できる人
第7章 日本人の心はどうなるか
【結論(1番の訴求ポイント)】
仮想敵有能感
これが本書のキーワードだ。
仮想的有能感とは、他者を軽視する事で得られる偽りの自己肯定感である。
自分に自信が無い(と感じている)ために自己肯定感が得られず、代わりに他人を見下して優位に立とうとする(自己肯定感を得ようとする)事だ。
一般的には小さなステップを順に踏む事で、自分に自信を持つ。
ただ現代においては、SNSの発達などで、そのステップが省略されて結果だけを見せられている。
インスタなどを開けば自分と同年代の人がキラキラした生活を送っている。多くの「いいね!」を稼いでいたりする。いわゆるインフルエンサーだ。しかも調べてみると、数年前までは自分と同じような生活を送っていた事も多い。
実際には、そういった人達は全体からするとほんの一握りで、大多数は自分と同じような境遇であるにも関わらず、どうしても比較してしまう。
勇気を出して実際に行動してみても、上手くいく事の方が少ない。
ここで自己肯定感が低下してしまう。
一方で、プライドや自尊心は肥大化している。本当の自分はこんなもんじゃないという考えだ。
ただ現実とはマッチしない。なので他人を見下す事で辻褄を合わせようとする。
それが他者を見下すという行動に繋がる事も多い。
本来の自己肯定感は、確かな努力や経験から得られるものだが、仮想的有能感はこの裏付けが無いので非常に脆いという特徴がある。
そして仮想的有能感が崩れると、他者に対して妬みや攻撃的になったりする。
これが一番の問題点なのだ。
【ポイント】
仮想敵有能感は自分の経験の少ない分野でおきやすい
仮想敵有能感は、自分の経験が少ない分野に対して起きやすいと言われている。
何故か?
それは、経験が少ないために評価基準が定まっていないためだ。
ゆえに自分を高く見積もってしまう。
ちょっと経験して、出来る事が増えてくると、全てが分かった気になってしまうアレだ。
これは経験を重ねる事で、本来の評価レベルで自分を評価する事ができるので、習熟度が高くなるにつれて低くなっていく。
昨今のSNSに見られる、多少の経験程度で、「アイツのやっている事はダメだ、自分の方が上手くできる」と言ってしまうのは、ほとんどがコレなのだろう。
中には経験が無くても、自分の常識と照らし合わせて自己有用感を得ようとするケースまである。
この場合は、自分の常識が非常に偏った可能性がある事を認識していないので、非常に厄介でもある。
希薄する人間関係
他者軽視による仮想敵有能感が生まれる背景には、希薄する人間関係がある。
人は相手の事をリアルで知っていると、簡単には軽視しないようになる。
一つの例が、引っ越した場合に、上下左右の住人に挨拶に行っておくといいケースだ。
簡単な手土産でも持って挨拶に行くと、顔見知り程度にはなる。何度か挨拶を交わす間柄にもなるかもしれない。
一般的な共感能力を持っていれば、相手が顔見知りだと迷惑をかけずらくなる。相手の困ったシーンをイメージできてしまうからだ。
また相手の家族構成も知っていれば、多少の事も容認できるようになる。
小さい子供がいるのを知っていれば、多少の足音なども我慢できるだろう。
しかし相手の事を知らないと、うるさいな!となってしまう。
人間関係が希薄だと、相手の事を軽視してまうのだ。
今はスマホの普及により、バーチャル空間で簡単に人と繋がれるようになった。手軽がゆえに簡単に関係も切れるようになった。気に入らなければ即ブロックしてしまう。
ここに深い人間関係はない。
人は知らない人に対しては残酷になれるのだ。
仮想敵有能感が崩れると
この仮想的有能感が崩れると、他人の成功を見ても妬みや攻撃的な感情が生じると言われている。
自分を保つためには、自己肯定感の低下を他の何かで代用しなければならないが、他に方法が無い。
結果として、暴力的な行動や陰湿な影口になったりする。
例えるならドラえもんのジャイアンのようなヤツなのかもしれない。もしくはスネ夫か。
ちなみに、仮想的有能感が高い人は共感力が低いらしく、友人も少ない傾向にあるようだ。(そういった意味ではジャイアンやスネ夫は違うこかもしれない)
確かに、簡単に人を見下して優位に立とうとする人と友達になろうなんて人はいないだろう。
いたとしても、かなり少数なのは間違いない。
仮想敵有能感が高い人は、プライドだけ高い面倒くさいヤツなのだ。
自分の周りにも思い当たる人が一人はいるんじゃないだろうか?
【まとめ】
本当の自信を持つために
仮想的有能感は文字の通り仮想的である。
実態に即したものではない。
なので本当の自信を身に付ける必要がある。そのためには成功体験を得てみよう。
仮想的有能感は、「他者軽視→仮想的有能感→努力軽視→努力経験の乏しさ→失敗→他者軽視」といった負のループになってしまうこともある。
こうならないためには、子供の頃から結果だけでなくプロセスや努力を認めよう。
認める事で、ある種の成功体験になる。
結果が重要なのは間違いないが、それは社会に出てからの話しで、子供や学生のうちからそれを求めるのも酷なのかもしれない。
小さい時はプロセスを認め、時には失敗経験も認める。
その子の軸を育てる。
結果を重要視するのは大人になってから。
こんな感じで育成するといいのかもしれない。