もくじ
【概要】
- 著者:中野 信子
- 発売日:2017年9月
- ページ数:192ページ
本の目次
第1章 いじめの快感―機能的・歴史的観点から考える第2章 いじめに関わる脳内物質
第3章 いじめの傾向を脳科学で分析する
第4章 いじめの回避策
【結論(1番の訴求ポイント)】
「いじめ」はなくならない
「いじめ」はなくならない。
残酷なようだが、これが真実である。
理由は2つ。
1つ目が「いじめ」は元々、人間が生き残るために必要な行動だった事。
2つ目が「いじめ」は快感を伴う行動である事。
つまり本能による部分が大きいのだ。本能である以上、いくら理性で制御しようとしても無理が出る。
となると、対処法を知っておかなければならない。放置すると最悪の場合、自ら命を絶ってしまうケースまである。
では、どう対処したらいいのか?
それも踏まえて、順に見ていく。
【ポイント】
「いじめ」が起きる原因
まず「いじめ」が起きる原因についてから見ていく。
「いじめ」は、似たような能力を持つ一定数の集団があり、その集団の行動から外れた行為をしたものに対して行われる事が多い。
身近な例でいうと学校のクラスだ。職場もそうだろう。
学校(義務教育)では、基本的に年齢で分けられる。大人の目線で見ると、各個人に大きな差はなく、似たような集団になる。職場などはもっと顕著だろう。新卒採用の場合、同じような年齢、学力の人が採用される。
人は同じような能力の人同士でグループを作りたがる。
これには、大昔は人間は弱い生き物で、集団になる事で生き延びてきた事が関係している。
集団にならないと生き残れなかった。
つまり集団を維持する事が、自分たちの生存の絶対条件だったのである。
なので、集団の中で外れた行動をするものがいると、これを排除する必要があった。
そこで生まれたのがいじめだ。
いじめという名の制裁行動をする事で、集団の中からリスクを排除していたのだ。
思い返してみてほしい。
自分が学生の頃にいじめられていた人は、何かしら他の大勢と違うものを持っていないかっただろうか?やたら勉強ができる、走るのが遅い、人前で話すのが苦手 など。
グループの中にはカースト上位になる判断基準があるのだが、これに該当していないと排除の対象になる。小学校では体が大きい、足が速いなどがあるだろう。逆に勉強が出来る事は、判断基準にならない事も多い。
こういった人達は良い意味でも悪い意味でも目立つので、いじめの対象になりやすい。しかも学校のクラスのような閉鎖的な空間では、より顕著になる。
今は昔ほど身近に危険がある訳ではなく、この能力はある意味では必要なくなったのだが、人間の本能を書き換えるのはそう簡単ではなく、長期の年月が必要になる。
ゆえに今でも残っている。
これがいじめが起きる原因の1つだ。
「いじめ」は快感
また2つ目として、人は自分の正義の名の下に制裁行動を行うと快感を感じる事だ。
よく芸能人のスキャンダルが炎上しているが、これはこの行動心理が裏にある事が多い。
人はf誰でも価値観という名の正義を持っているが、実はこの価値観は偏っている事が多い。
アインシュタインも次のように言っている。
「常識とは18歳までに積み上げられた先入観のかたまりである」
世の中は広く、この正義に反する事も多々ある。価値観は人それぞれ違うので、当たり前と言えば当たり前なのだが、多くの人はいわゆる多様性を認める事ができない。
自分の凝り固まった価値観がマジョリティになると、自分達に正当性があると判断して、他人を攻撃してもいいと解釈してしまう。
仮に反撃されても数の上では勝てるからだ。
しかも正義の名のもとに制裁行動をすると、ドーパミンが出る事が知られていて、これが快感に繋がる。
本人は、良い事をしたと思ってしまうのだ。
SNSのような匿名性が高いケースでは、これらが顕著になる。
しかも自分は匿名性に守られいる。
つまりほとんどリスクがなく快感が得られるのだ。
人間関係が親密になるほど「いじめ」が起きやすい
厄介なのが、人間関係(仲間意識)が親密になるほど、いじめが起きやすいという事だ。
仲間意識が高まると、集団のルールから外れる事を許されなくなる。同調圧力というヤツだ。
昨日まで仲が良かった人が、急に不仲になったりしたのを見た事があるだろう。それはこれが関係している。何か集団のルールに反してしまったのだ。
このルールは目に見える場合もあれば、見えないもの(暗黙の了解という形)もあるから厄介だ。
ただ対応策もあって、定期的に人間関係をシャフルする事で回避できたりもする。
学校のクラス替えなどだ。
人間関係をリセットする事で、仲間意識もリセットするのだ。
ちなみに、相手の意見を尊重しつつ自分の意見を通す姿勢をアサーティブと呼ぶが、特に日本人はこの能力が低い事が指摘されている。
話し合いをせずに、いきなりハブにしてしまうのが日本人なのだ。
相手の意見を聞く事ができないのは、ある意味、恐い事でもある。
実は、相手に何かしらの理由があるかもしれない、もしそれが自分ではどうしようもない理由だったら?
事実関係を無視して、目の前の現実だけで判断してしまうために、相手の意見や行動を受け入れられない。
自分がハブられる側になった時に、どうすればいいのだろうか。
【まとめ】
いじめられたら逃げる一択しかない
結論を言うと、いじめられたら逃げるしかない。
いじめる事が快感につながっている以上、完全になくすのは不可能に近い。
3人いればグループが出来るというが、日本人はグループを作りすぎだと思う。
どこに行くにもグループでという人も多い。
他人に依存しすぎなのだ。
よく考えてみて欲しい。
グループという事は他人の目があるという事だ。
ハブられないように他人の目を意識して生活する。これはこれで大変なんじゃないかと思う。
他人の目を気にせずに自分だけで行動してみると、世の中には色んな人がいる事が分かる。
色んな人と接する事で、自分の中の価値観も変化するかもしれない。
外国の人と話してみるのも有効だろう。自分の話しで恐縮だが、初めてアメリカに行った時は、それこそびっくりした。
日本の常識が通じないことも多くあったし、逆にアメリカの常識に驚いた事もある。
相手の話をじっくり聞いていたら、突然、「聞いているのか?」と言われた。
「当たり前だ」と答えると、「じゃあ、なぜ質問をしてこないんだ?」と言われた。
そうか、打ち合わせとは自分の意見を出す事が必要なんだと思い知らされた。
そんな経験を積んでいくと、色んな人がいる事が分かる。そして他人に対しても寛容になれると思う。
是非、外国に行ってみるといい。
誰もが多様性を認められるようになると、いじめも減ってくるのではないかと思う。