もくじ
【概要】
- 著者:NHKスペシャル取材班
- 発売日:2016年11月
- ページ数:240ページ
本の目次
序章 殺人ストレスが隠れている第1章 これがキラーストレスの正体だ
第2章 脳を破壊するキラーストレス
第3章 体をむしばむストレスの暴走
第4章 対策1 脳を変化させる運動と病を防ぐ食生活
第5章 対策2 ストレスを観察し対処するコーピング
第6章 対策3 世界の注目を浴びるマインドフルネス
終章 ストレスから子どもを守る
【結論(1番の訴求ポイント)】
No more 慢性的ストレス
「魚でも鬱になる」
これは、ウソのような本当の話らしく、人間と同じようにストレス下に置き続けると、次第に餌を食べなくなり死ぬ事もあるらしい。ストレスマネジメントとは現代において喫緊の課題でもある。
そもそもストレスとは何か?厚生労働省のページには次のように記載されている。
「外部からの刺激(ストレッサー)に対して心身が適応しようとして生じる緊張状態や反応の総称」
ストレッサーには、物理的なもの(温度変化、騒音など)や、生物学的(病気、寝不足、空腹など)、社会的(人間関係など)があり、これらによってイライラや意欲低下、頭痛、不眠、ミスの増加などの反応が現れる。
ここで注目したいのは、ストレスは良いとも悪いとも記載されていない事だ。一般的にストレスといえば悪いものというイメージが強い。だが実はストレスには2種類あり、頑張るストレスと我慢するストレスというものがある。
我慢するストレスが一般的なイメージのものに近く、避けなければいけないものだ。
そして、この我慢するストレスは時に人間に牙を向く事もある。
【ポイント】
頑張るストレス
まず頑張るストレスについてだが、これは比較的短期スパンのストレスで、夏休みの宿題をやる時に発生するようなものだ。一過性のストレスとも言う事ができるだろう。
これには大抵ゴール(締め切り)が決まっていて、良くも悪くもこの締め切りを過ぎれば解放される。
そしてゴールが見えているので頑張りやすいという面もある。人は終わりが見えると頑張れるのだ。
フルマラソンも42.195kmという距離が決まっているから頑張れる。アスリートもオリンピックという目標(ゴール)があるから、日頃のキツイトレーニングにも耐えられるのだ。
ちなみに脳内ではノルアドレナリン系が出ている。この中にはドーパミンやアドレナリンも含まれている。だから頑張れるのだ。
一方で、「とりあえず走って」と言われても、最初のうちは頑張れるが、次第に気力が失われていく。
これが我慢するストレスになる。
我慢するストレス(キラーストレス)
一方の我慢するストレスは、満員電車通勤のような毎日繰り返す終わりのないストレスの事だ。
「終わりのない」というのがポイントで、すでに日常の一部になってしまっている事も少なくない。それゆえ、自分でもストレスと気が付いていない事もある。
ただ体はストレスに対応し続けている。最初のうちは耐えられるだろう。しかしいずれ限界が来て、鬱のような症状となって現れる。
ちなみにこの時、脳内ではコルチゾールが分泌されているが、このコルチゾールが厄介なのだ。
そもそもコルチゾールは生命維持には必要なホルモンである。主な作用としては、抗ストレス作用、脂肪分解、抗炎症作用/免疫抑制作用などだ。なので通常でもコルチゾールは分泌されている。問題になるのは、この分泌バランスが崩れた時だ。
コルチゾールには偏桃体に作用しストレスに対する反応を上げる作用があるので、慢性的なストレス下では常にコルチゾールが分泌され、偏桃体が活発になり、よりストレスに敏感になってしまう。そこにストレスが加わる事により、更にコルチゾールが分泌されるといった悪循環に陥る事もある。
また過剰なコルチゾールには海馬へのダメージを与える事が分かってきたらしい。これによって引き起こされる症状が認知機能の低下だ。
加えて、セロトニンの分泌も抑える役目もあるので、睡眠不足などの症状も出てくるようになる。
しかも長期ストレスによってコルチゾールが常に分泌され続けると、免疫作用低下などが常に起きているような状態になる。病気になりやすくなるのは勿論の事、血管病変や老化リスクの進行など、良い事は何もない。
これらのようにコルチゾールが過剰に分泌される事は、日常生活の質を下げる事に直結している。
これがキラーストレスと呼ばれている所以である。
このキラーストレスを無くす事が重要だが、現代人では簡単ではない。
なお、子供の頃のストレスが大人になって影響が出る研究結果が出たらしい(2014、東大、滝沢ら)。子供の頃のイジメによるストレスが偏桃体を大きくさせる傾向があり、これが大人になっても影響し小さなストレスを敏感に感じ反応してしまうとの事だが、大人になってからのストレスだけでなく、子供の頃からケアする必要があるということなのだろう。
キラーストレスへの対応方法
ではこのキラーストレスの対応方法には何があるのだろうか?
本書では次の3つを提案している。
対策1:運動(30分/週3回程度)、食事(魚中心)
対策2:コーピング
対策3:マインドフルネス
コーピングとは、自分のテンションが上がる事をストレスを感じた時に実行することで、そんなに大がかかりな事じゃなく、小さな事でOKらしい。
例えば、上司から怒られたら頭の中で「サンサーラ@ザ・ノンフィクションのテーマ」を歌ってみたらどうだろう。目の前で怒っている上司と、怒られている自分が客観的に見えて面白いかもしれない。
「生きて~る 生きている~、(中略)、生きる~こと~は~サンサーラ~ あぁ~~~!」
でも決して実際に歌ってはいけない。面白いが、さらにダメージは大きくなる。
このコーピングを行うコツは、楽しくなる事のリストアップで、これは小さな事でもいいのでとりあえず数を出す事がポイントだ。多くあればある分だけ、使える場面が増えるからだ。
苦手な人に出会ったら、相手がTM revolution西川氏のハイプレッシャーのコスチュームを着ていると想像してみよう。
体が夏になるかもしれない。
マインドフルネスについては、馴染のある言葉だと瞑想だ。
意識的に何も考えない、今を感じる事。
これはマインドワンダリング(過去の情報に引っ張られている状態)の対局にあって、15分/日でもやる事で、コルチゾールが低下し偏桃体も小さくなる事が実験によって明らかになりつつあるらしい。
ネットやスマホが登場して、常に情報が身の回りにある状態だし、意識的に無になる場面を作らないと脳も疲労してしまうという事なのだろう。
上記は単体でも効果があるが、複合的に実施する事も可能だし、全部やる事もそれほど難しくない。どれもこれもコストがそれほどかからずに実践できる事ばかりなので、騙されたと思ってやってみるのもいいんじゃないかと思う。
ちなみに、子供のストレス対策は家族とのコミュニケーションらしい。これによりコルチゾールが低下する事が判明しつつあるとのこと。
子供は学校と家庭が全てだ。学校でイジメられた時に家庭で助けてあげないと、どこにも居場所がなくなる。まさに終わりのないストレスだ。
学校がダメなら、せめて家庭ではストレスが減らせるような環境にしてあげたいものだ。
家庭円満は子供にとって最良の薬なのだ。
【まとめ】
ストレスを軽減させる事
現代において、ストレスを全くゼロにする事は不可能だろう。
ならばその対応策を身に付ける必要がある。
そのためには、ストレスというものを知る必要がある。
本書は2つの側面を持ったストレスがある事が記載されている。
悪いストレスもあれば、良いストレスもあるのだ。
ストレス地獄に嵌ると、生活の質がグッと下がってしまう。不眠になると、その次の日はまともに稼働できないだろう。
ストレスを知り、対応策を知る事で、少しでもキラーストレスが軽減される事を願う。