アドラーに学ぶ部下育成の心理学

【概要】

  • 著者:小倉 広
  • 発売日:2014年8月
  • ページ数:200ページ

本の目次

第1章 ほめてはいけない
第2章 叱ってはいけない
第3章 教えてはいけない
第4章 自然の結末を体験させる
第5章 「論理的結末」を体験させる
第6章 課題を分離し、境界線を引く

【結論(1番の訴求ポイント)】

褒めない、叱らない、教えない

部下育成。

管理職にとって永遠のテーマだろう。特に今は少子化による影響が顕著で、求人をかけても応募が無いという話もよく聞く。

今までは中の上くらいの学生が大手を落ちて中小企業に就職をしていたが、少子化の影響で、場合によっては中の中まで大手に就職できるようになった。当然、中小に流れてくる学生のレベルは低下してくる。その下の零細は応募自体が無くなる。

その厳しい環境の中で、やっと応募があった人材をどう育成するか。

これが今後のカギになるだろう。

アドラー心理学では、褒める事はせずに、勇気づけを行う。

勇気づけとは何か?

勇気づけとは、ありのままの存在を認め、プロセスや努力に焦点を当てて自信を育む事だ。似ているものとして、「褒める」があるが、これとは違う。

褒める行為は、上下関係がベースにある。片方が習熟者といってもいいだろう。一方の勇気づけは、あくまで対等の関係である。

ここが大きな違いだ。他の、叱る、教えるも上下関係がある。それゆえ、アドラー心理学では、褒めない、叱らない、教えないのだ。

【ポイント】

相手との信頼関係が重要

勇気づけの基本形は、主観伝達と質問+誘い水だ。

あくまで相手の自主性が重要視し、自ら発言してもらう事が必要だ。人はやらされた体験からは何も学べない。

ここで、褒めると勇気づけの違いを少し詳しく記載しておく。

褒める  → 相手の優れた点を評価し賞賛する事。一見すると良い行動に見えるが、これは上下関係があって成り立つ行為。基本的に上から下へ。この背景には相手をコントロールしたいという気持ちがある事が多い。

勇気づけ → 相手が困難を乗り越えるサポートをする事。これは上下関係ではなく、横の関係性。

ただし実際には、褒める事と勇気づけは明確に区別するのが難しい事も多い。

また、勇気づけを行うには、兎にも角にも相手との信頼関係が重要だ。

信頼関係を悪化させた後でサポート(勇気づけ)を行うとしても上手くいかない事が多い。俗に言う、お前が言うな状態で、この状態になるとどうにもできない。

信頼関係は重要だが、似たような言葉で信用というのがある。これと信頼の違いについて少し述べる。

信用は実績など第3者からも評価できるバックグラウンド(証拠)があって初めて成り立つが、信頼には条件がない。あえて言えば主観的な部分が大きい。自分の腹決め次第だ。

アドラー部下育成では、人を育てる事は、人を信頼する事。つまり無条件で相手を信頼する事と言っている。

では、こんな質問が出てくるだろう。

どんな相手でも信頼して勇気づけをすれば成長するのか?

ここからは個人的な意見だが、信頼するにしても、相手の最低限の知識や知能は必要だと思う。

どんなに信頼して勇気づけ行ったとしても、そもそも相手の共感能力が低かったらどうしようもない。

極端に言うと、サイコパスだったら無意味なものになってしまう。ここの選別ラインを誤って誰しも無条件で信頼すると、後々大変になると思われる。

ただこれは後述する課題の分離が出来ていれば(個人的な)ダメージはそれほどでもなくなる。

そして、まずは自分から信頼しないと、相手も自分の事を信頼してくれない事も多い。

課題の分離

育成に必要な項目として、課題の分離がある。

課題の分離とは、自分がコントロール出来る範囲とコントロールが難しい事を明確にする事だ。

基本的に変えられるのは自分だけだ。相手を変えるのは簡単な事じゃないし、天気などの自然的なものであれば尚更だ。

ただしその対策は自分事なので可能な範囲になる。

例えば、明日の天気はコントロール出来ないが、雨予報であれば傘を持っていく事は可能といった具合に。

雨が降るのをどうにか晴天にしようとして、できなくてイライラしているケースが多い。自分がコントロールできない事とコントロールできる事を明確に分離する事で、余計なストレスを受けないようにする。

この課題の分離が出来ない事は、人間関係がこじれる主な原因でもある。

何か課題があったとしよう。一人ではこなすのは難しく、相手と共同で実施していくものとする。

この時、自分の価値観をベースに相手への期待値を見積る。ただ相手がそれに応えられるとは限らない。そして期待に応えられなかった時に、失望しイラつく。このケースでは期待値はコントロール可能だが、それに対して相手がどうするかはコントロールできない。

課題の分離ができていれば、相手がどんな行動を取ろうとも、自分にはコントロール不可なので一喜一憂しない。ただ信頼する。

期待じゃなく信頼なので、余計なイライラは基本的に起きない。

相手も自分に期待値を持っていて、それに応えられなかった時は、イライラする様子を見せるかもしれない。

ただ相手がイライラしても自分には、それをコントロールする事は出来ないのだ。

このように思えるかどうか。

ここだろう。

管理職がやること

管理職がやらなければならない事に環境を作る事がある。というのも、個々の振る舞いは、性格×環境という方程式で成立しているためだ。

性格は個々特有のものなので変えようがないが、環境は変える事ができる。

例えば、収入アップについてだと、求める水準までのプロセスを組むまでが上司の役割で、それを実施するかどうかは相手次第。あくまで相手の判断に委ねる。

そうじゃないと、やらされ感が出るので何も学べないのと責任転嫁という反発が起きる。

あくまで相手が決めること。そして実施できなくても、それは相手の問題と捉える事。

仮に未達でも失望はしない。失望するという事は期待をしている事でもある。

期待はせずに信頼する。自分にできる事を整えて、後は相手に委ね、変わるかどうかは相手次第と考える。これが課題の分離になる。

馬を水辺に連れていく事はできるが、飲ませる事はできないとはこの事。

また管理職は部下との適度な距離が必要だ。なぜなら距離が近いと公平に扱えなくなるから。そう言った意味では、管理職は孤独ともいえる。この孤独に耐えられるかどうかも資質の一つだろう。

双方の信頼構築、その上で横の関係性である事、課題の分離が出来ている事、環境を作る事が管理職のやる事である。

書くのは簡単だけど、実際にやるのは難しい時もしばしばだ。

【まとめ】

やるべき事をやって、あとは相手次第

双方の信頼、課題の分離、環境整備、これが今の部下育成に必要な事だろう。

そのためには、まずは部下とコミュニケーションを取ってみよう。

最初はそっけない態度かもしれない。でも信頼して話しかけて続けてみる。

プライベートの事まで話す必要は無い、挨拶程度でもいい。

何度か話しかけて、話しかけやすい雰囲気を作る事が目標だ。

少なくとも相手から話しかけてくるくらいを目指してみよう。

毎日1回は会話するとかでもいい。

ここができれば信頼構築の入り口に立てたといえる。

相手を信頼する事は簡単な事じゃないが、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

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